幼稚部から大学・大学院までがワンキャンパスに集まる玉川学園。
人間形成には、真、善、美、聖、健、富の6つの価値を調和的に創造することが必要であるとする「全人教育」、語学力と視野を広げるグローバル教育で、海外大学進学もバックアップする「国際標準の教育」、そして、生徒たちが主体的に学ぶSTEAM教育を取り入れた「探究型学習」を教育の柱としています。
▲2011 年より自由研究の一環としてスタートしたサンゴの飼育。玉川学園育ちのサンゴを、2015 年に石垣島の海に移植しました。|玉川学園中学部・高等部|東京都町田市
STEM教育+ART それが、STEAM教育
「STEAM教育」は、STEM
(Science、Technology、Engineering、Mathematics)にArtを統合した教育です。
自由研究などの探究型学習の授業に加え、芸術性や表現力を育みます。自由研究は毎週2時間あり、合言葉は「ゴールフリー」。もっと発展させたいと思えば、放課後などに続けることもでき、長期の休みには研究を深めます。
たとえば、「サンゴの研究」は、沖縄のサンゴが絶滅の危機に瀕していることを知った生徒たちが、海の環境とサンゴを守りたいという思いから2011年にスタートしました。
玉川学園はスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けており、物理・生物・化学ごとにエリア分けされた理科専門施設「サイテックセンター」で高度な研究を行うことができます。ここでサンゴの調査・研究、そして飼育を行います。
サンゴの飼育環境の整備は非常に難しく、約5年間の試行錯誤を繰り返しました。専門知識が必要なシーンでは、玉川大学工学部や農学部などの教員や学生がバックアップ。大学・大学院がワンキャンパス内に集まる総合学園ならではです。
毎年2月の研究発表の場「玉川学園展」には、マーケティング力や図表作成、人の心に訴えるプレゼン力やインパクトのあるポスター制作などの総合力も必要となります。まさに、STEAM教育が目指す探究型の教科横断の学びが行われています。
▲理科専門施設「サイテックセンター」。プラネタリウム「スターレックドーム」も併設されています。|玉川学園中学部・高等部|東京都町田市
カラス対策からミュージカル そして最新機器も使って
STEAM教育の内容は、主要5教科に限りません。ある生徒は、授業を通して地球環境に関心を持つとともに、カラスによるごみ被害にも目を向けました。
ネットをかけてもごみを荒らされ、このままではいたちごっこになると感じて考案したのが「カラス除けごみ箱」です。カラスには簡単に開けられないような仕掛けをふたにつけた結果、被害が激減しました。
こうした柔軟な発想力は、「理科実験は手順通りに行うのではなく、目的を知り結果に向かってその過程を考え実行する」のような逆の発想、従来の常識を覆した日常的な教育から生まれます。そして自らの疑問解決のための「自由研究」という伝統的な探究型学習が根付いている結果です。
このほか、ミュージカルに挑戦する生徒、学園内の環境整備で間伐した樹木を再利用する「TAMA TREEプロジェクト」、CNCルーターの「ShopBot」やレーザー加工機を用いて作品作りに取り組む「Art Lab」の設置など、STEAM教育を通して、実社会の課題を発見し、解決していく能力を育みます。