▲廊下やパティオに置かれた机や椅子では、先生に質問や相談をする生徒の姿が|自修館中等教育学校
学年を重ねるごとにステップアップ
視野が広がる5年間の学び
「自学・自修・実践」を大切にする自修館。その教育を象徴する「探究」は、自身で決めたテーマについて企画から立案、実行、そしてプレゼンテーションまでの経験を重ねます。
毎年違うテーマでこれを5年間繰り返すことで、確実にレベルアップし、大学やその後の未来につながる真の能力を育むというもので、これに興味をもって入学を決めた生徒がいるほど、特長的で興味深いものです。
▲約3万冊の蔵書がある図書館。生徒のリクエストにも応えます。|自修館中等教育学校
1~2年生は、調べ方やまとめ方からです。チームでの活動が特長で、オリエンテーションやフィールドワークによって、協働の大切さを学び、切磋琢磨しながら向上する強い心も育てます。
視野を広げるため、1年生は人文社会系、2年生は自然科学系について調べを進めます。3年生以降は各自の興味や関心をもとに多岐にわたるテーマを探究します。まとめあげる論文は、4年生で平均約1万文字。どの研究も力作ぞろいです。
▲地球の自転によって位置が変わる「フーコーの振り子」。未来に向かって変化する大切さを伝えています。|自修館中等教育学校
楽しいからもっと!学びを深めることで見える
「未来の自分のやりたいこと」
▲全教室にプロジェクターとWi-Fiを完備。コロナ禍で新たに換気扇も設置しました。|自修館中等教育学校
探究は生徒たちの未来につながります。Aさんは、東日本大震災や熊本地震などで危機意識をもち、「関東で大きな震災が起きたら」と想定して、学校から自宅までのルートや避難場所、さらには地層まで調査してハザードマップを作成しました。そして、これをきっかけに大学では地質学を専攻しました。
また、小学生の頃から虫が大好きだったB君。勉強はあまり好きではありませんでしたが、探究のテーマを一貫して「虫」にすることで、さらに興味が深まっただけではなく、独特の着眼点の面白さはほかの生徒から一目置かれるように。その自信をもとに大学では生物学を専攻し、現在は教授の優秀な助手として大学院で働いています。
▲カフェテリア「欅」でランチや軽食の購入が可能です|自修館中等教育学校
在学中に活躍する生徒もいます。Cさんは学内の同好会としてボランティア団体を立ち上げ、コーヒー豆のフェアトレードによって生産者を支援し、「第24回ボランティア・スピリット・アワード」の「米国ボランティア親善大使」に選ばれました。
このほかに、地元の商店街を巻き込んでプラスチックごみの削減に取り組んでいる生徒、地震や水害が起こると現地へ支援に赴く生徒など、頼もしい活躍をする生徒も数多くいます。
探究によって身についた「生きる力」は、地域や世界へ貢献できるパワーとなり確実に花開いています。
お話を伺ったのは
校長 安井 正浩先生