豊かな自然のなかで「生きる」「つくる」「食べる」を体験

東京都町田市にある和光鶴川幼稚園。自然豊かな環境のもとで、「自分っていいな、と思える子どもに」という願いをもって保育づくりをしている園の園長・大野裕一先生にお話を伺いました。

本園は「自分っていいな、と思える子どもに」という願いをもって保育づくりをしています。

幼児期はいろいろなことに興味関心が広がるとき。幼稚園での体験が人生の宝物となるよう、子どもにとって魅力ある活動と夢中になってあそぶ体験がたっぷりできるよう、日々の保育が考えられています。

5歳児は彫刻刀を使ってゴム版画に挑戦。

そのひとつ、ものづくりでは、身近にある素材・紙・空き箱・粘土などを使って、自分のあそび道具を、自分の頭をはたらかせ、自分の手で作り上げていきます。

木工作は3歳児から取り組み、かなづちやくぎに触れます。5歳児になると、のこぎりやくぎ抜きも使います。本物の道具を使えるうれしさや、少し背伸びする誇らしさを感じながら、自分で作ったものであそぶ楽しさを実感していきます。

また、自然のなかへ出かけていく体験も大切にしています。泥だらけになって崖のぼりをしたり、森のなかを探検したり、芝すべりをしたり。季節を感じることを大切にしながら、センスオブワンダー〈神秘さや不思議さに目を見はる感性〉を新鮮にもち続けてもらいたい、という願いをもって保育者が子どもと同じ目線で自然を味わいます。

3年間取り組む木工作。5歳児になると大工さんのようです。

幼稚園は自然豊かな環境にあり、雑木林や約800坪の「風緑の丘」は子どもたちが大好きな場所です。虫探し・木登り・花摘み・ミカン狩りなど、子どもたちは自然を感じながら思い思いにあそびます。風緑の丘にある畑では、土づくりから収穫までを保育者と子どもたちが一緒に行い、年間20種類以上の野菜を育てます。自分たちで育てた野菜の味は格別。給食のお味噌汁の具や誕生会のおやつにして食べます。

子どもたちは幼稚園でのさまざまな体験を通して、主体的に生き、人とつながることのうれしさを感じながら成長していきます。

父母と保育者が子どもの今を見つめながら、「どの子もわが子のように」子どもたちの成長を喜び合えるような関わりを大切にしています。

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お話を伺ったのは

園長 大野 裕一先生