聞こえの悪さや耳鳴りがしたら即受診 早期発見で寛解を目指しましょう
めまいの前に現れているメニエール病の兆候
メニエール病は内耳の病気です。数十分程度から数時間続くめまいが繰り返し起こることが大きな特徴ですが、実はメニエール病は「初期」「活動期」「慢性期」の3つの段階に分けられ、めまいの発作が起こる前にもその前兆が出ているのです。
「初期」には、低音だけが聞こえにくくなったり、耳鳴り、耳閉感(耳が詰まった感じ)などの症状が多く起き、これを放置することがめまいの原因になります。
「活動期」になると、めまいなどの発作が数カ月から1年程度続き、次第に症状が重くなります。
さらに難聴や耳鳴りなどの症状が現れたら「慢性期」です。ここまで放置すると治療に時間がかかります。メニエール病は早期に発見し、治療すれば完治できる可能性がある病気だということを頭に入れて、気になる症状があればすぐに耳鼻咽喉科に相談しましょう。
症状の特徴
一番の特徴は、突然グルグルした感覚を覚える「回転性めまい」が起こることです。回転性ではなく、浮動性のめまいの場合もあります。
吐き気や嘔吐、耳鳴りや難聴、頭痛などを伴う場合もあります。いずれにしても平衡感覚に異常をきたしているので、横になっても改善されず、数時間にわたってつらい状態が続く場合もあります。
耳鳴りはめまいとともに治まることが多いのですが、発作が繰り返されると、常に耳鳴りを感じるようになる場合もあります。めまい症状がなく、耳鳴りや耳閉感だけが起こる場合もあります。
ストレスをためやすい人は要注意
原因は今のところ、はっきりとはわかっていませんが、内耳にある「内リンパ液」の増えすぎによるものとされています。
内耳には、音を感じる蝸牛(かぎゅう)、平衡感覚をつかさどる三半規管、前庭があり、内リンパ液が増えることで、内耳の細胞に正しい刺激が伝わらなくなって起こるのがメニエール病です。
内リンパ液が増えるのは、疲労やストレス、不規則な生活、睡眠不足などが原因とされ、30代から50代の女性で、心配性・几帳面・責任感が強いなど、ストレスを受けやすい性格の方に多く、これを「メニエール気質」と呼ぶこともあります。
職業としては、専門職や事務職、技術職などに多く見られる傾向があります。
メニエール病の治療
適切な治療をすることで、繰り返し起こる発作を落ち着かせ、不快な耳鳴りや難聴の進行を防ぐことができます。治療方法としては、浸透圧利尿薬、めまい止めや吐き気止め、抗不安剤等を医師の指示に従って服用します。
また、疲労やストレスをためないよう心掛け、バランスの取れた食事や正しい睡眠、適度な運動に気を配るなどの、生活改善も重要です。
監修
センター北ひまわり耳鼻咽喉科
院長 勝野 雅弘先生