「お受験」なんてうちの子には無縁、と思っていてもまわりのお友だちが受験するって聞くと、やっぱり少し気になるところ。
そもそも私立小学校ってどんなところ?
私立小学校の選び方は?
元私立小学校教師として、毎年多くの小学校受験に立ち会ってきた なごみゆかりさんに、私立小学校受験の実態について聞いてみました。
自分のこどもはどんな学校に向いている?
学校のタイプ別にみてみましょう
A:エスカレーター型
いわゆる「一貫校」と呼ばれ、一つ上の糧の学校に優先的に進学できる。中には大学まで進学できるところも。学生生活を受験勉強に時間を割かれることなく謳歌できるメリットもある。
B:グローバル型
外国語の授業数が多い、ネイティブの先生による授業が受けられる、などに加え、海外研修施設が整っていたり、海外の姉妹校と交流があったりするなど、私立のネットワークと財力を活かして外国語教育を強化している学校。
C:個性重視型
こどものスピードに合うやり方で、のびのびと一人一人の個性を伸ばしてくれる学校。
「うちの子はマイペースで大丈夫かな…」という方は個性重視型の学校がおすすめ。私立校ならではのよさで、じっくりと向き合ってもらえる。
D:ステップアップ型
6年生のほぼ全員が中学受験をする傾向があり、中学受験に向けて学力を重視し、切磋琢磨する環境を作ってくれる学校。小人数で学力別や成績別の少人数クラスを設けているところもあり、6年間を通して学力を積み上げていく。
E:伝統重視型
長い伝統で培われてきたものを大切にしている学校。一族で同じ学校に、という家族もこのタイプの学校を選ぶことが多い。
学習以外にも、マナーや礼儀作法など人間形成に重きをおく特色もある。
私立小学校受験に向いている子って?
私立小学校に向いている子のキーワードは「素直さ」。たとえわからなかったことがあっても、先生や友だちに教えてもらって、「そうかこうやればいいんだ!」「次からそうしよう!」と素直に思える子。
そういう子が私立小学校ではしっかりと力がついて伸びていく子です。
「わからないから教えてください」「私はこう考えたのですが合っていますか?」という姿勢の子が求められます。
私立小学校の先生は手厚く熱心に指導しますので、そのような子どもたちは、いろいろなことを素直にどんどん吸収して成長していくわけです。
小学校受験は子どもより親の受験!?
小学校受験は、結局は親が通わせたい学校を選ぶことが多いのが実状です。やはりまだ子ども自身に選ばせることは難しいですし、親の協力なしには学校に通うこともできないからです。
でも、3,4年生くらいになって子どもに自我が芽生えてくると、その学校に合う、合わないという問題が出てきます。
それを回避するためにも、早いうちから子どもの適正を見分けることが大事です。
子どもの適正を伸ばせる学校を選ぼう
今、社会でも求められている「探究型の子」は、幼少期に「1つのことを黙々とやっているタイプ」や「うちの子は少しマニアックなのよね」というタイプの子です。
このような子は、実は平均的なことを良しとする学校にあまり向きません。
子どものもっている力を伸ばします!という学校のほうが向いています。
また「負けず嫌いの子」もとてもいい性質で、向上心や競争心を上手にくすぐってくれる学校に入れば飛躍的に伸びます。でも、控えめにお行儀よくしましょうね、といったことが先行しがちな学校では、特にリーダーシップを発揮したい子や活発な子は、少し合わないと感じることもあるようです。
このあたりは親が見極め、うちの子はどういう環境においたら伸びるかな、考えてあげるといいですね。また夫婦でも考えを一致させておくこと。夫婦の価値観が揃っていることも小学校受験には大切なことです。
行きたい学校が見つかったら
学校見学には一度だけでなく何回も行こう!
私立小学校の入試の前には、学校説明会や学校見学の日が設けられています。
そのため、ついその日に行って見てくればいいかな、と思いがちですが、学校見学は一度きりではなく、何回も行くことがおすすめです。
たまたま見学した時の授業の内容やのぞいたクラスによっても、受ける印象がまったく変わってくることがあるからです。
1回だけで、その学校のすべてを決めつけてしまうのは、ひょっとしたら時期尚早かもしれないと思います。いい意味でも悪い意味でも、何回か行くと学校の素が出るものです(笑)
気にある学校があれば何回でも行って、いろいろな側面から学校を見て来てください。
6年間も通うのに、たった一日だけで判断するなんて、よく考えたらかなりチャレンジャーですよね。付属校なら、そのまま、中学、高校、大学と、10年以上も通うことになるかもしれないのに。
学校見学ではハード面より先生は子どもたちの様子を
見学に行くと、立派な校舎、広いグラウンド、自動で流れるトイレがある、1人1台iPadを支給してもらえる…など、ついハードな部分に気を取られてしまいがちです。
でも、学校は、やはり人間ありきのものですので、通っている子どもたち、そして先生方をきちんと見て判断してもらいたいと思います。
理想の学校にもしご縁がなかった場合にも
受験である以上、残念ながら希望通りの結果にならないこともあります。
私が教師だったころに常々言っていたのは、「ご縁をいただけるところが行く学校」ということです。
行く学校がその子に合っている学校、ということなのです。
もし希望のところからご縁をいただけなかったとしても、「それは〇〇ちゃんが行く学校じゃなかったのね」「〇〇ちゃんを必要としている学校は違う学校ってことなのよ」と、保護者にもそう思うようにしてほしいと思っています。
実際、受かった学校は、その子にぜひうちの学校に来てほしいと思って選んでいるわけですから。
小学校受験は、決して希望の学校に合格することだけがゴールではありません。
受験というイベントを通じ、子どもとじっくり向き合い、その子の良さを見つめるまたとない機会だと思います。
大切な子どもの力を信じて伸ばしてあげられるのは一番身近で見守るお父さん、お母さん方です。
今しかない幼児期のかけがえのない時間を大切に過ごしていただけたらと思います。