「お受験」なんてうちの子には無縁、と思っていてもまわりのお友だちが受験するって聞くと、やっぱり少し気になるところ。
そもそも私立小学校ってどんなところ?
私立小学校に行くメリットって何?
元私立小学校教師として、毎年多くの小学校受験に立ち会ってきた なごみゆかりさんに、私立小学校受験の実態について聞いてみました。
東京都の私立小学校教諭として18年勤務。反抗期の子どもの対応に悩むお母さんのための子育て塾「かめっこ塾」、さらに初心者のママ起業家のための「ぴよっこ塾」を主宰している。著書に『私立小学校を受験しようと思ったら読む本』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。
私立小学校受験のメリットって?
小さいころからお受験のための習い事をし、公立の小学校よりはるかに高い学費を払う、私立小学校を受験するメリットとは何でしょうか?
そもそも、私立小学校ってどんなところ?
私立小学校は、宗教色が強い学校、運動系に力を入れている学校、伝統を重んじる学校など、学校そのものに特長があるところがほとんどです。いわゆる「建学の精神」を強く打ち出している学校が多く、学校での学習、行事など、すべてのことがこれに基づいて行われているというイメージです。
逆に、学校を選ぶ側からすれば、はっきりと教育方針を打ち出しているので、希望に合うところを選びやすいという点もあります。
それから、どの私立小学校にも共通しているのが、子ども一人一人のことを丁寧に見てくれるところです。保護者とすれば、自分の子どもについて遠慮なく聞くことができ、要望も言いやすいでしょう。
また、私立小学校は「親子とともに学ぶ姿勢」をとても大切にしています。1年生の保護者は特に学校に足を運ぶ機会が多くなるかもしれません。「子どものことを親と学校とで支えましょう」という学校が多いと思います。
私立小学校受験するメリットとは?
「一族で同じ私学に」「両親が私立小学校出身で迷わず」という家庭もありますが、概ね、教育熱心な家庭とそのお子さんとのつながりの中で、学びを積み上げていくことになります。
子どもにとってのメリットはもちろん、保護者にとっても心がけ次第でそのメリットは計り知れません。
私立小学校受験 5つのメリット
メリット1
教育熱心な家庭とその子どもがクラスメイト
私立小学校受験をさせる家庭は、まだ小さいうちから子どもの将来に思いをめぐらせ、どういう教育を受けさせたいかを考えているわけですから、当然、教育への関心が高い家庭と言えます。
また、基本的に落ち着いた子どもが多く、入学初日からきちんと先生の話を聞くことができることがスタンダード。受験を通して言葉や数の概念など、思考の基礎がすでにできているため、スムーズに学習に取り組むことができます。
メリット2
熱心な教師によって質の高い授業が受けられる
教師自身もその学校の出身者だったり、建学の精神や教育方針に賛同して就職したりしているケースが多いため、共通の方向性で子どもたちを導いていきます。しかも専科制が充実しているため、高い専門性を持った教師が複数の目線、複数のアプローチで子どもの力を引き出し、伸ばしていく体制ができています。常に教科ごとに工夫を凝らし、子どもたちの学力アップに尽力しているので、授業の質も高いものになります。
メリット3
親子ともに人間力が高められる
受験を通して、子どもたちが身につける力はたくさんあります。
それは、知識や技能以外にも目標に向かってがんばる力、あきらめない力なども含まれます。幼児期にすでにこうした力を身につけていることは、今後の長い人生で大いに励みとなることでしょう。
また、親にとっても、子どもとしっかりと向き合い、その力をひきだそうと努力する中で、子どもを励ます力、信じる力、見守る力が備わります。今後の子育てにもきっとプラスになるはずです。
メリット4
脳の黄金期を有効活用できる
小学校受験に向けて準備する子どもたちの年齢は、およそ3~6歳。それは、まさに脳の黄金期にあたり、脳の発達を促す重要な時期です。幼児期の脳はたった1か月で大人の10年分も発達をするともいわれており、こうした時期に、話を聞く力を身につけたり、さまざまな運動に取り組んだり。また紙を折る、はさみを使うなどの手先を使うことに取り組んだり、受験に向けての練習をしたりすることで、脳の成長を効果的に育みます。
メリット5
子どもの力を引き出すチャンス
受験は子どものもっている力を引き出す絶好のチャンスです。受験に備えて行うすべてのことが子どもの成長に密接に関わっています。受験は結果もついてきますが、それでも、小学校受験をきっかけに身につけたこと、努力した経験は、この先もずっと生きていきますし、将来に向け、その力を伸ばしていくチャンスです。親にとっても、じっくりと子どもに向き合い、過ごしてきた時期は、かけがえのないものだと気づくはずです。