本物に触れる学びら生まれる課題解決力と豊かな人間力<湘南学園小学校>

湘南学園小学校では、変化し続ける社会の中でも自ら課題を見つけ解決していくことのできる「豊かな学力」を伸ばしています。大切にしていることや、取り組みなど、校長先生にお話を伺いました。

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数の概念を体感する
具体物を使った学び

湘南学園小学校 ビタミンママ

休み時間にはグラウンドで元気に遊びます。1〜6年生が縦割りで活動する「なかよしタイム」も子どもたちが楽しみにしている時間

湘南学園小学校は2023年に90周年を迎えました。幼稚園から中高一貫校までの総合学園として、強い人間力の育成を目指す教育に取り組んでいます。
日々の教育において、大切にしているのは実体験です。

例えば算数では、タイルを使って数の学習をします。1年生の教室がある廊下には「99までの階段」を掲示しています。これは一つの正方形のタイルを1とし、10個集まると長方形に。これがさらに10個集まると正方形になることを具体物で実感しながら十進法を理解します。2年生では1000まで、さらに学年が進むと1億までの数を、このタイルを使って学びます。小学校のホールで並べた1億個のタイルは、ドッジボールのコート半面分くらいに。これで子どもたちは1億という数が、どれくらい大きいかを体感します。

海の学校、山の学校など
身近な環境も学びの場に

湘南学園小学校 ビタミンママ

雪国の自然や暮らしについて学ぶ5年生の「雪の学校」。日本を代表する米どころである魚沼で、この雪も米作りに関わっていることを知ります

社会科は総合学習とのつながりを大切にしています。3年生は海の学校で、海の生き物について学びます。そして4年生は山の学校で、相模川の水源地である富士五湖へ。そこで生まれた水が川となり、海につながることや、上流・中流・下流でどういう環境があるのかを学んでいきます。さらに近年、世界的に深刻な課題となっている海洋汚染やゴミの問題にも触れるなど、自分たちが住んでいる社会の仕組みについての学びも深めます。

5年生は雪の学校で新潟県松代へ。2023年度は出発当日に新幹線の架線トラブルに遭遇し、2時間半ほどの待機状態の末、東京駅からバスに乗り換えて移動。予定が大幅に変更になりましたが、それでもたくさんの雪の中でめいっぱい遊んだり、雪が人々の暮らしにどう関わっているのかを学んだりと、充実の4日間を過ごしました。

本校で行っている体験重視の教育活動は、インプットしたものをアウトプットするだけではなく、新しい課題を見つけ出す重要な基礎になり、人間力の育成につながります。本校では約8割が併設の中高に進学します。探究的な活動において、卒業生が中高で中心になって活躍しているという話を聞くと、湘南学園小学校での経験が生かされていることを実感します。

宿泊学習:自然に触れ、社会とつながる
たくさんの体験が心に刻まれる

湘南学園小学校 ビタミンママ

4年生の「山の学校」は海につながる川の水源を訪れるなど、「海の学校」から継続される総合学習です

3年生は1泊2日で「海の学校」へ。藤沢からバスに乗って真鶴に移動し、磯観察や貝類博物館の見学、漁業に携わる方からお話を聞くなど、海にまつわる学習をします。アジの干物づくりでは自分たちで魚をさばく体験も。4年生は2泊3日で「山の学校」へ。山梨県の富士五湖周辺でハイキングやネイチャーラリー、樹海トレッキングなど自然を満喫。西湖で見つかった、絶滅したと思われていたクニマスの話を聞く機会もあります。5年生の「雪の学校」は雪深い新潟県へ。3泊4日で雪国の生活を体験します。

コロナ禍の影響で民泊はかないませんでしたが、雪国の自然と暮らしについて地元の方から話を聞いたり、米袋作りに挑戦したり。家庭ではなかなかできないたくさんの体験が子どもたちを大きく成長させます。

縦割り活動:「思いやり」と憧れは
次の世代へと継承される

湘南学園小学校 ビタミンママ

休み時間にはバディの教室を訪れ、一緒に遊ぶ姿も珍しくありません

湘南学園小学校では1年生から6年生までの全児童で縦割り班を作り、さまざまな活動に参加します。入学したばかりの1年生に、バディになった6年生が朝の支度や掃除の仕方を教えるなど、さまざまなお世話をします。6年生は卒業したあとも、自分が担当した1年生がその後、どう過ごしているかが気になり、顔を見せてくれることも珍しくないそう。

そんな6年生のやさしさに触れた1年生は、「いつかは自分もやさしい上級生に」と思いを馳せます。縦割り班活動では昼食を一緒に食べたり、たいいく表現まつりでは班のメンバーで競技に参加したり、6年生が中心となって考えるレクリエーションを楽しんだりしながら、交流を深めていきます。この縦割り活動で上級生はリーダーシップや責任感を学ぶ機会にもなっています。

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お話を伺ったのは

校長 岩渕 和信先生