「本物」を通じ、豊かな知性と 思いやりのある心を育む<精華小学校>

確かな学力とたくましい心と体を育む6年間。自主自律のたくましい心、そして他者を思いやる優しい心をもつ子を育てています。大切にしていることや、取り組みなど、校長先生にお話を伺いました。

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縦割り活動を通じ、自立した「人のおせわのできる」子に

精華小学校の登校の様子

春には桜が満開になる校内の並木道を元気に登校。多くの路線が乗り入れる横浜駅から歩いて13分ほどの立地の良さも魅力です。

「人のおせわにならぬよう、人のおせわのできるよう」この創立時からの校訓こそが、精華小学校最大の特長です。6年間の学校生活を通じ、人のお世話にならない自主自立の強い心、人のお世話のできる思いやりのあるやさしい心が育まれます。

たとえば、遠足は、1・2年生、3・4年生、5・6年生がペアで出かけるのですが、上の学年の子は下の学年の子たちが楽しく過ごせるよう、絶えず気を配ります。運動会では、競技に使う道具の準備や片付け、けがをした子の対応などを6年生が中心となって行います。

常に上の学年が下の学年をお世話するということが当たり前にできる、それが精華小学校の子どもたちです。下の学年の子たちは、自分が上級生になったらこうなりたいという明確なイメージをもって成長します。

「本物」から学ぶ伝統を大切に
新しいことに挑戦し続ける

精華小学校の関西旅行の様子

京都の大徳寺では座禅を体験しました。ゆっくりと呼吸をして心を無にします。しばし静寂の時

小学校は「『学ぶ』ことを学ぶ場所」だと考えています。例えば社会科では、事前に調べて現地で「本物」に触れ、深めた知識を持ち帰ってもう一度まとめ直すというプロセスを大切にしています。どういう情報をどうまとめるかは、1年生からの作文指導を通して習得します。5年生の最後に行われる「関西旅行」はその集大成といえます。

「本物」との出会いから生まれる学びは体験学習の場面に限りません。児童文学の作家を招いて行う「作家と語る会」や第一線で活躍する科学者を招いて行う「科学者と語る会」、各教科で専科制を取り入れているのも、「その道のプロ」から学ぶことが重要だと考えているためです。

2022年に創立100周年を迎えた本校ですが、こうした伝統を大切にしながら、常に新しい挑戦を続けています。熱中症対策のために運動会を横浜武道館で開催したり、西グラウンド3周運動の成果を発揮する「ランフェス」を三ツ沢競技場で開催することにしたり。子どもたちにとって良いと思うことは試してみようというチャレンジ精神をもっているのが今の精華の強さだと考えています。それに応えるように子どもたちも一生懸命頑張ってくれている。そのいい循環ができていると感じています。

関西旅行:古都を巡る4泊5日の
教育旅行は6年間の学びの集大成

精華小学校の関西旅行の様子

旅行中、どこへ行ってもたくさんメモを取ります。ここ奈良の薬師寺でも真剣にメモをとる子どもたちの姿が。メモノートは旅行中、命の次に大切なもの

体験学習は事前学習から事後学習を含めた総合的な学習として行われています。4年生では県内旅行、5年生では東海旅行、そして6年生になる直前には、いよいよ、関西旅行へ。奈良・高野山・京都の名所を巡る4泊5日の旅で、寺社仏閣を訪ねたり、舞妓さんの舞いを見学したり、たくさんの「本物」に触れる体験をします。

子どもたちは事前学習で深めた知識に加え、実際に体験して得た知識や体で感じたこと、考えたことなどをメモに残して持ち帰り、「旅行記」としてまとめます。この旅行記は、原稿用紙約50枚、多い子では80枚以上になることも。体験学習とセットで作文を書くことは、これらの体験を実生活に結びつけて考える生きた学びにつながります。

作文指導:伝えたいことを表現する
学びの基礎力を大切に育てる

精華小学校の作文指導の様子

下書きが完成したら、清書をします。誰が読んでも読みやすい、自分が書ける一番丁寧な字を心掛けます

本校では作文指導に力を入れています。1年生は「動物園見学記」、2年生では「お米づくり体験記」、3年生は「横浜市内見学記」……。これらは各学年の体験学習と連動して行われています。下書きはすべて学校で行い、国語科の先生が一人一人の作文すべてに目を通し、添削をして返します。子どもたちは先生のアドバイスを参考に修正し、また提出する。これを何度も繰り返します。

これらの見学記や体験記は原稿用紙にすべて手書きです。もし間違えてしまうと削除や挿入が非常に難しいため、子どもたちは伝えたいことを頭の中でまとめたあと、どういう言葉を使おうか一生懸命考えます。こうして養われた力は、人前で話すときにも役立ちます。

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お話を伺ったのは

校長 臼井 公明 先生