自由な発想と主体性を大切に子どもらしくいられる場所<成城学園初等学校>

個性尊重の自由な校風、教育のパイオニアとしての伝統を受け継ぎ、研究を重ねたユニークな授業や行事を実践しています。大切にしていることや、取り組みなど、校長先生にお話を伺いました。

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子どもの個性を尊重し
天分を伸ばす教育

東京都世田谷区にある成城学園初等学校。劇の練習をする子どもたち。

台本を片手に講堂の舞台に立ち、セリフの強弱や体の動きなどを確認しながら劇の練習。本格的な指導を受け、動きにも熱が入ります

成城学園初等学校は1917年の開校以来、「個性尊重の教育」「自然と親しむ教育」「心情の教育」「科学的研究を基とする教育」を大切にしてきました。そして2017年の学園創立100周年を機に、「国際教育」「理数系教育」「情操・教養教育」という教育改革3本柱に取り組んでいます。ここで大切にしているのは、子どもの主体性を軸に、個性を伸ばしていくことで、私を含むすべての教員は、その子の天分を伸ばすことを目的に、子どもたちと接しています。

“かけがえのない体験”から
豊かな心を育てる

東京都世田谷区にある成城学園初等学校。劇の発表をする子どもたち。

劇の会は7月、11月、3月の年3回開催されます。6年生になると脚本を自分たちで考え、衣装や小道具も用意して舞台に立ちます。

初等学校には、そんな私たちの教育を象徴する、たくさんの行事があります。例えば「劇の会」。本校では3年生から、「劇」の授業があります。独自のテキスト「げきのほん」を使って、創造力や表現力を育み、仲間との絆を深めていきます。3年生で舞s台に立ち、4年生で演者としての表現を学び、5年生で劇の創作に取り組みます。6年生はその集大成。ある男子児童はお姫様の役に挑戦したことで、積極的に前に出られるようになるなど、子どもたちが大きく成長するきっかけになっています。
東京都世田谷区にある成城学園初等学校。夏の学校の様子。

6年生は松本城の見学や富士見岳登山のほか、ネイチャートレッキングやイワナの掴み取りなど盛りだくさんの内容。

また体育系の行事で特長的なのはスキー学校です。4年生は斑尾、5年生は一の瀬、6年生は焼額山へ行きます。現地のインストラクターから教わるというのは一般的ですが、本校はOB・OGもコーチを担当するのです。私が受け持ったクラスでは、将来、自分もここに戻ってきて後輩たちにスキーを教えたい、自分たちが楽しかった思い出を伝えていきたい、という思いでスキー学校に参加している児童もいました。私たちの教育を通して、心が育っていることを実感した瞬間でもありました。

ほかにも器楽合奏の会や文化祭、夏の学校などさまざまな行事があります。また、「遊び」や「散歩」、「舞踊」「映像」「つながり」といった本校独自の教科に加えて、美術を「絵」「彫塑」「工芸」に分けるなど、独自の教科編成を行っています。もちろん、主要5教科にもしっかり取り組み、心と体、知性を育む。そしてかけがえのない6年間で一人一人の天分を伸ばす。それが成城学園初等学校の教育です。

表現する行事:“音が一つになる瞬間”
に感動担当を決める際のドラマも

東京都世田谷区にある成城学園初等学校。器楽合奏の会で発表する子どもたち。

器楽合奏の会での発表に向けて、クラス全員が一致団結して練習を繰り返します。そして心が一つになった瞬間、音も一つに!

器楽合奏の会は成城学園初等学校らしい行事のひとつで、毎年12月に講堂で行われます。担当する楽器はクラス内のオーディションで決定しますが、同じ楽器を目指す子同士、ライバルであっても教え合い、ともに練習を重ねます。「オーディションの結果、希望が叶わなかった子が選ばれた子に『本番は頑張ってね』とエールを送る。そんなシーンを目にするたびに子どもたちの成長を感じます」と高橋先生。

最高学年の6年生による演奏では、さまざまな楽器の音色が一つになったことを感じられるほど、完成度が高いといいます。また、演奏を終えてあいさつをする際、やり遂げた達成感と「もっと演奏を続けたい、終わってしまった」という感情で涙が溢れる児童も多いそう。

夏の学校:声を掛け合いながら
300m級の山にチャレンジ!

東京都世田谷区にある成城学園初等学校。夏の学校の様子。

5年生は西伊豆の海を舞台にシュノーケリングで海の中をのぞいたり、かつお節工場を見学したり。いのちの教育ではライフジャケット遠泳も

4年生から毎年7月になると校舎を飛び出し、夏の学校へ。4年生は群馬県みなかみでトレッキングやラフティングを楽しみます。5年生は静岡県西伊豆の海で遠泳に挑戦します。2人一組で一人だけがライフジャケットを付けてバディを支える。これは「いのちの教育」にもつながります。

6年生は長野県乗鞍高原へ。3000m級の富士見岳登山を経験するなかで、夏でも雪庇が見られるなど自然の雄大さを体感し、頂上を目指して子どもたち同士が声を掛け合い、助け合う。「そんなシーンを見ていると、個人が尊重されて、尊重された個人が集団の中で輝きを放っていく。まさに、個別最適な学びと協働的な学びの場となっていると実感します」と高橋先生。学校では得られない貴重な体験と経験が、子どもたちを大きく成長させます。

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お話を伺ったのは

校長 高橋 丈夫 先生