聖ドミニコ学園小学校は、キリスト教の世界観に基づき幼稚園から高校までの一貫教育のもと、生きる力の基礎を学び、自身の価値を見出すことを大切にした教育活動を行っています。大切にしていることや、取り組みなど、校長先生にお話を伺いました。
掲載されている、ビタミンママ本Vol.98「わが子の将来を左右する幼児期の過ごし方」の詳細は→コチラ▶︎
6年間の学びや体験で
人間の土台を形作る
聖ドミニコ学園小学校では、「よく生き、たくましく生き、愛し愛される人へ」を教育目標として掲げています。「よく生きる」とは、ただ生きるだけではなく、誰かの役に立つために生きていく、というキリスト教の教えにならった生き方です。
「たくましく生きる」とは、誰の考えにも惑わされずに、自分でしっかりと考え、判断して、行動していくということ。地に両足をしっかり着けて、自分の考えや意思に基づいて生きていくような人です。そして、自分のことを愛し他者からも愛される、そんな人になってほしいという思いが込められています。
私たちは、根幹にあるこの精神を忘れずに、どんな教育の中にもその思いや考え方を盛り込みながら、子どもたちに接することが大切だと考えています。低学年のうちは、特に、学習や生活面の「基礎・基本を身につける」ことを大切にしています。すぐにはできなくても、丁寧に子どもたちに接し、繰り返し伝えることで、子どもたちはしっかりと基礎を身につけていきます。それが人間の土台や柱となり、生きる力につながると信じています。
使命を見つけるために
一人一人の個性を伸ばす
人間には、神様から与えられた使命が必ずありますから、子どもたちにはそれを自分で見出していってほしいです。他人と比較をして自分のほうが能力が高いということではなく、自分は何を与えられ、何をしなければいけないのか、見つけていくことこそが大切です。私たち教員は、日々の生活や学習を通してそのお手伝いをしたいと思っています。
例えば、英語とフランス語の授業を通しての異文化理解、専科制の授業、学年の枠を超えた縦割り活動や奉仕活動、職業教育、聖堂での礼拝など、すべては子どもたち一人一人が自分らしく、個性を活かしながら豊かに生きていくためには何が必要かを考えて行っています。
クリスマス会までの準備もそれぞれが自己の内面を見つめ、人間力を高めるために大切な期間です。焦らずとも小学校の6年間で自分の使命を見つけ、この学校から羽ばたいてほしい。日々、そう願っています。
クリスマス会:1カ月もの間、心穏やかに待ち望む
カトリックの小学校ならではの行事が12月のクリスマス会です。イエスキリストの誕生日を祝うだけでなく、「待降節」と呼ばれる約1カ月もの期間をかけて準備をします。子どもたちはみんな、「神様が望む生き方をするために自分の力を高める」、「誰かのために尽力する」という方向性に添って目標を定め、クリスマスまで毎日、目標を達成できたかどうかを振り返り、それを積み重ねていきます。
クリスマス会当日のメインイベントは、6年生主体の聖劇です。感情を込めた朗読、自分たちで考えた振り付けや動きなど、朝、昼、放課後と、一生懸命練習してきた成果を披露します。下級生たちはそんな6年生の姿を見て、「自分が6年生になったら、羊飼いの役をやりたい!」などと、未来に希望を馳せるようになります。
縦割り活動:異年齢との交流でともに成長
聖ドミニコ学園小学校では、学年の枠を超えた交流を大切にしています。1年生が入学すると、出席番号が同じ6年生がペアとなり、校舎内を案内したり、質問に答えてあげたり、一緒に遊ぶことも。4月に行われる対面式では手作りのメダルをプレゼント。他の学年の子どもたちも歌やダンスで1年生を歓迎します。
「プレイデイ」と呼ばれる砧公園への遠足も、1年生は終日ペアの6年生と過ごします。まるで保護者のように、1年生の後ろから安全に気を配りながらついていくなど、かいがいしくお世話をする6年生は、この一日でひと回りもふた回りも大きく成長します。
こうした交流があるため、卒業後もたびたび下級生の様子を見に来て、ついでに給食を食べて帰る卒業生も多いといいます。