「品格と知性を兼ね備えた人を造る」建学の精神のもと、仏教の精神に触れながら一人一人の人間力を育む教育を実践しています。大切にしていることや、取り組みなど、校長先生にお話を伺いました。
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毎朝唱える「十の戒め」が
確かな人間力の礎に
宝仙学園小学校の建学の精神は、「品格と知性を兼ね備えた人を造る」。子どもたちは入学式に宝仙寺から授かる数珠を手に、毎朝、「十の戒め(とおのいましめ)」を唱えます。これは真言宗の十善戒を子どもたちにも理解しやすいよう言い換えたもので、日々、仏教の精神に触れながら一人一人の人間力が大きく育まれていきます。
ようやく、新型コロナウイルスの感染拡大も収まりを見せ、2023年度から学校行事も制限のない開催ができるようになりました。なかでも子どもたちが楽しみにしていたのが「みたままつり」です。子どもたちは学校が終わるといったん下校し、浴衣に着替えて再登校します。手を合わせ、ご先祖様をお迎えし、校庭で盆踊りに参加した後は、ちょうちんを手に帰路につきます。
薄暮の中にぼんやり浮かぶあかりが鮮やかな、風情ある雰囲気を楽しみます。このみたま祭りを通して子どもたちは「今の自分がこうしていられるのはご先祖様のおかげです」と、ご先祖様と家族への感謝の気持ちを学びます。
子どもたち主体の「学び」を
学校全体でサポート
近年、力を入れているのが「学習者中心の学び」です。先生の話しを聞き、子どもたち同士が話し合い、考えていく。その代表的な例が探究学習の「卒業研究」です。6年生が各自でテーマを決め、仮説を立てながら研究を進めていくもので、外部の専門家やアドバイザー、さらには保護者の協力も仰ぎながら進めていることが特色のひとつです。
子どもたちは研究をどう進めていくかを、大人の客観的な意見に耳を傾けながら取り組んでいきます。そして最後は校内で、みんなの前に立って研究の成果を発表するのですが、まさに小学校生活の集大成と言えるでしょう。堂々と披露する姿からは、6年間で大きく成長したことが伝わってきます。
探究学習は6年生だけではありません。学年の発達段階に応じて、全学年を通して行われます。自分の調べたいことを追求していくなど、自分の学びをより深める機会の積み重ねは、子どもたちの学ぶ意欲につながり、小学校を卒業後も、長きにわたって生きてくる「知性」へと昇華するのです。
仏教行事:仏教の精神に基づく行事で
感謝の心ややさしさを育む
宝仙学園小学校では毎朝唱える「十の戒め」をはじめ、仏教の精神に触れる機会をたくさん設けています。一つ一つの意味を宝仙寺の副住職であり学園の理事を務める冨田道興先生から学び、「十の戒め」を生活の中で守ることができれば、よりよい一日になることを理解します。
仏教を開いたお釈迦様の誕生日を祝う4月の花まつりは、全児童が花を1輪ずつ持って登校。お世話係の6年生が入学したばかりの1年生の手を引き、宝仙寺の本堂へ向かいます。初めての花まつりで緊張気味の1年生は、6年生をお手本にしながら花を捧げ、静かに手を合わせます。7月のみたままつりでは、浴衣姿でご先祖様をお迎えし、感謝の気持ちを伝えます。こうした仏教の行事を通して、豊かな人間力や思いやりの心が育まれていきます。
けん玉大会など:苦難を乗り越える
強い心を身につける
12月に行われるけん玉大会は宝仙学園小学校を代表する行事のひとつです。クラスごとに1分間継続できた人数を競う団体戦と、10分間継続できるかを競う個人戦があり、入賞するとトロフィーやメダルがもらえます。12月が近づくと教室には、赤い球が大皿や中皿に乗るときのカチカチという小気味いい音が響き渡ります。
「集中力が磨かれた」「あきらめない心が身についた」「努力の大切さを知る機会になった」といった保護者からの声も多く聞かれるそう。各自で練習することはもちろん、けん玉が苦手な友だちにアドバイスを送る姿も見られ、思いやりや協調生を育む機会にもなっています。
このほか、学園をあげて行われる宝仙祭(文化祭)や運動会など、子どもたちの人間力を養う行事がたくさんあるのも特長です。