放課後の充実度は日本一! 子どもが主体のアフタースクール<新渡戸文化小学校>

新渡戸稲造博士が初代校長を務めた新渡戸文化小学校。子どもたちと保護者のみなさんによりよい環境を、との思いから2011年にアフタースクール併設校となりました。毎日100人を超える児童が集まる「新渡戸文化アフタースクール」は、私立アフタースクールの草分け的存在として知られ、全国から視察に訪れる人がいるほど。その活動内容や特長について、責任者の織畑研さんにお話をうかがいました。

タイムマネジメントで自律を促す

渡戸文化小学校のアフタースクールの様子。「Book Forest」で読書

新渡戸文化小学校では、「自律型学習者の育成」を教育方針として掲げています。新渡戸文化アフタースクールでも、子どもたちが放課後の長い時間をただ過ごすだけではなく、いかに自律できるようにはたらきかけるかを大切にしています。

その一歩として取り組んでいるのが、子どもたち自身によるタイムマネジメント(時間管理)です。遊び、学習、おやつ、プログラム、プロジェクトと、多様な過ごし方ができるアフタースクールですが、いつ何をするかは子どもたちが選択。

施設内には各所に、例えば、「空手/スタジオ/14:50~(1年)、15:50~(2~6年)」といったようにその日に行われることが一覧で掲示されており、子どもたちはそれを確認して自分で目的の場所に移動します。こうした活動への参加も自由選択で、「今日は宿題を済ませてから、おやつを食べて、友だちと遊ぼう」、「気になっていた本を読んで帰ろう」といった過ごし方ももちろんOKです。

新渡戸文化小学校のアフタースクールの様子

「放課後はそれぞれ自分の時間ですから、何事も自分でプロデュースするのが基本です。タイムマネジメント能力は将来必ず必要となる力です。それを今のうちから身につけることで、大人への依存から脱却してほしいと考えています」と織畑さんは言います。

興味・関心に応じて、やりたいことが選べる豊富なプログラム

新渡戸文化小学校のアフタースクールの空手

新渡戸文化アフタースクールで行っているプログラムは20種類以上もあります。しかも、サッカー、バスケットボール、ダンス、剣道などのスポーツ系から、書道、アート、ピアノ、マンガ、クッキングといった文化系、そろばん、プログラミング、英語など学習系まで、バラエティ豊かなラインナップです。

バスケットボールはBリーグのコーチ、ダンスは現役プロダンサーなど、それぞれ専門の講師を招き、質の高い指導を行っています。「選択肢が多い、という点が重要です。さまざまなことにチャレンジしてみて、そのなかから好きなことや得意なことを見つけてほしい」と織畑さん。

小学校の充実した施設を使えるのも新渡戸文化アフタースクールならではの大きな特長です。クッキングは「NITOBEキッチン」で、ダンスやバレエはスタジオ、サッカーは天然芝のグラウンドでのびのびと。美術室、工作室、科学実験室の機能が融合した空間「VIVISTOP NITOBE」では、アートやものづくり、テクノロジーを活用したクリエイティブな活動が行われています。

さらに、こうした習い事機能が学校内で完結できるという点も大きなメリットとして保護者から支持されています。「安全・安心はもちろん、別の場所での習い事に通う場合のような送り迎えが必要ない、というのも大きいと思います。その移動時間の分も、子どもたちは思い切り遊んだり学習にあてたりできるので、より充実した時間が過ごせます。

もうひとつ、学校併設の利点は、私たちスタッフと先生方との情報共有がしっかりできていること。どんな細かなことでも毎日共有していますし、職員会議には私も出席します」。

熱い思いを形に! 目標達成の大切さも学べるプロジェクト

新渡戸文化小学校のアフタースクールの様子「ものづくり」

美術室、工作室、科学実験室の機能が融合した空間「VIVISTOP NITOBE」

子どもたちの「やりたい!」という思いを形にするプロジェクトも魅力のひとつです。例えば、あるとき、女の子たちから「おやつを食べるためのかわいい机が欲しい」というリクエストがありました。

そこで、「VIVISTOP NITOBE」の先生やプロの家具デザイナーさんに協力をお願いして、オリジナルの机を作ることに。デザインを考え、1/10スケールの模型を作り、設計図を作成。材料となる木材を入手して、木に穴を開けたり、やすりがけをしたり…。電動ドライバーも使う本格的な工作で、約半年間かけて実際に机を作りました。ベースはひし形の5個の机で、組み合わせると星型にもなる素敵なデザインです。

6年生が実現させたのは、「NITOBEカフェ」プロジェクト。帰宅する児童をお迎えに来て待っている保護者さんを見た子どもたちが、「お茶でも飲みながらくつろいで待てる空間があればいいのに」と思ったことがきっかけで、カフェがスタートしました。

新渡戸文化小学校のアフタースクール、「NITOBEカフェ」プロジェクトです。

子どもたちの「やりたい!」という思いを形にするプロジェクトの一つ「NITOBEカフェ」

「夏は冷たいドリンク、冬はホットにして、小さな子が一緒のこともあるからジュースも用意したいね」、「ちょっとお腹が空いている人もいるかもしれないからお菓子も出そう」とメニューから考えて、リサーチのため近隣のカフェに見学に行く交渉も自分たちで行いました。無事に開店にこぎつけ、現在も「NITOBEカフェ」は続いています。仕入れや売り上げの管理も、カフェ運営スタッフの子どもたち自身で行っています。

「どのプロジェクトも、子どもたちは本当に楽しそう」と織畑さん。「ただ、机やカフェを作ることがゴールではないんです。何のために作るのか、そこから何を生み出したいのか。目標を考えて、そのために行動することが大切で、私たちはそれが子どもたちに伝わるよう常にていねいに対話を重ねています」。

新渡戸文化小学校のアフタースクール、カードゲーム作りの様子

子どもたちの「やりたい!」という思いを形にする。「カードゲーム作り」

無限の可能性を内に秘めた子どもたち。「1人1人の能力を引き出してあげるのが私たちの使命だと思っています。日本一のアフタースクールを目指して、これからもさまざまな活動にチャレンジしていきますので、保護者のみなさんも温かく見守っていただけると嬉しいです」。

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私立小学校アフタースクール

▲私立小学校のアフタースクール特集

新渡戸文化小学校のアフタースクール。、「NITOBEカフェ」プロジェクトです。
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