「共に生きて、共に生かしあう」ことを指針に、「感謝する心」「いつくしみの心」「創造する心」を育む淑徳小学校。価値観が多様化する社会で活躍できるよう、情操教育や英語教育など、幅広い学びを大切にしています。
中でも将来、医学部をはじめとする理系進路を選ぶ卒業生が多い同校において、子どもたちから絶大な人気を誇るのが「理科」です。子どもたちが夢中になる秘密を探るべく、授業のようすを取材しました。

総務部児童募集活動計画実施・入学試験担当 細川 雅史 先生
驚きと感動が「探究心」と「集中力」を育む
この日のテーマは「ものの溶け方」。食塩が水に溶けていく過程を観察する実験です。まずは、ビーカーに食塩を入れて混ぜてみます。食塩は溶けましたが、溶ける様子ははっきりとわかりません。そこで次に、特殊な紙に包んだ食塩をビーカーの水の中に吊るして観察。すると、教室の空気が一変しました。
透明な水の中に、もやもやとした筋が揺らめきながら落ちていく様子が見えたのです。
『うわぁ、くらげみたいに溶けているよ!』
『メラメラしている!』
子どもたちはビーカーに顔を近づけ、目を輝かせてお互いに報告し合います。

最後は、水が入ったビーカーに黄色の入浴剤を紙に包んだものを入れて、色がついているものでも食塩のときと同じようにふんわりと溶けていく様子を観察しました。このように段階を踏んで視覚的な変化を見せることで、子どもたちの理解は自然と深まっていきます。
また淑徳小学校の理科の授業では、可能な限り一人一つずつ、実験器具が用意されます。今回の授業でも、全員にビーカーとさじが配られ、子どもたちは自分のペースでじっくりと実験・観察することができました。

「実験器具はグループに一つぐらいしか用意されない場合が多いことが一般的のようです。しかし、一人ひとりに器具を配って取り組ませることで、自分の実験に対して責任を持って行うようになると同時に理解も深まり、さらに実験器具の扱いも驚くほど上達します。顕微鏡も一人一台ずつ割り当てられるので、ピント調整などもあっという間にできるようになるんですよ」と細川先生。
この日の授業でも、「自分だけの実験」に没頭できる環境だからこそ、先生の説明にしっかり耳を傾け、集中して実験に取り組む子どもたちの姿が印象的でした。
「楽しかった」だけで終わらせない淑徳流授業
細川先生の解説は、一方的な講義だけでは終わりません。すぐに答えを言わず、常に子どもたちに質問を投げかけます。自分で考え、発言する時間を大切にして、一方通行の授業にならないように工夫していると言います。
「もちろん、本校は中学受験を視野に入れているため、知識を教える場面が多い授業もありますが、実験の授業では、子どもたちとのコミュニケーションを何よりも大切にしています」と細川先生。先生の言葉通り、授業は活気に溢れていました。

しかし、楽しいだけで終わらないように意識して授業をおこなっています。
「子どもたちは実験が大好き。だからこそ、楽しい体験を提供したい。でも、それだけでは終わらないのが淑徳小学校の授業です」と細川先生。
「その日の体験が知識として定着するように、実験後の考察とまとめには時間をかけ、論理的な思考力を育てています」。
科目の枠を超え「五感」を使って学びを深める
授業中、理科の知識以外の投げかけが多いのもこの授業の特徴です。
『“水溶液”っていう漢字から、どんな意味なのか想像してみて!』
『そういえば、水溶液の濃度の計算、算数の授業でもう習ったかな?』
『溶ける様子をよーく観察して、スケッチしてみよう』
国語、算数、そして図工にもつながる質問内容。どんな意図があるのでしょうか?
「学習の中では、“理科”という領域だけにとらわれないようにしています。例えば今日の実験のスケッチでは、本校が注力している活動の一つである『図工』で磨かれた感性が発揮されています。今日も観察眼が光る個性豊かなスケッチがたくさんありました。教科を横断して知識を繋げてあげることで子どもたちの視野が広がり、理解も、より深まるのです。」

「本校には、医学部系を志望している子も多くいますが、義務的に学んでいるのではなく、こういった授業で『知る喜び』を感じ、楽しんで学ぶうちに、自然と進路が見えてくるのです」と細川先生。

小さなビーカーの中の不思議な現象に目を輝かせていた子どもたち。この好奇心の芽は、淑徳小学校の丁寧な指導の下、将来大きく花開くことでしょう。

