「人の話を聞けること」。それはただ単に音を耳に入れるだけの動作ではなく、人の話を最後まで、言葉の意味を理解しながら聞き、その内容を記憶して考えたり行動したりできるかどうか、これに尽きます。では、どうすればこの「聞く力」を育むことができるのでしょうか。
子どもの能力を伸ばし、よりよい未来の選択につなげることをモットーに幼児英才教育に特化した教室を東京、神奈川、静岡で展開している「富士チャイルドアカデミー」校長、前 宏美先生にお話しを伺いました。
親子の会話の質を高めましょう
親子の会話が子どもの「聞く耳」を育てます。お子さんと話すとき、スマホ片手にお話をしていませんか? 仕事や家事に忙しくて相づちを打つだけになったり、単語のキャッチボールになったりしていませんか? それでは子どもの「聞く力」は育ちません。日頃から親子でしっかり向き合い、丁寧な会話をすることを心掛けてください。会話の中で、「そのとき、どう思ったの?」「先生は何と言っていたの?」など質問を織り交ぜるのも良いでしょう。
このとき、もし質問の意図と違う答えが返ってきたら、もう一度、意図を伝えて同じ質問を繰り返しましょう。質問に合った答えが返ってくるまで会話を続けるのです。聞いて、考えて、判断して、話す、この積み重ねが子どもの「聞く力」を伸ばします。
語彙を増やしましょう
語彙力は人の話を聞く力に必要不可欠です。「少し難しいかな?」と思っても、大人が使う言葉で会話をし、もし、お子さんが意味を聞いてきたら、分かりやすく丁寧に説明してあげてください。少しくらい難しい言葉でもあえて使うことにより、違う場面で聞いたとき、「あっ、これはあのときの言葉だ」という記憶をもとに、しっかり定着していきます。
また、雨の降り方には「ポツポツ」「ザーザー」、風の吹き方には「ビュービュー」「そよそよ」など様子を表す言葉があることや、「夜ご飯」「お夕飯」「夕食」のように同じものでもいろいろな言い方があることを会話の中で教え伝えることも大切です。そうすることで、適切な表現を使って会話ができる子に育ちます。
読み聞かせをたくさんしましょう
絵本は言葉の宝庫です。絵本には普段使わないような言葉や言い回しが出てくるので、言葉の幅が広がります。聞く力や集中力、表現力、想像力、語彙力など多くの能力を伸ばすためにもたくさん読み聞かせをしましょう。
また、読み終わったあと、絵本の内容について振り返ったり、登場人物の気持ちについて話し合ったりするのもおすすめです。小学校受験では多くの学校で「お話の記憶」が出題されます。この対策としても、絵本の読み聞かせは大変有効です。お子さんが好きな絵本はもちろんですが、親御さんが子どもの頃に好きだった絵本も読み聞かせの中に加えて、親子で楽しみましょう。
家庭学習にもひと工夫を
子どもは記憶力が良く、一度解いた問題の正解を覚えていることがあります。ご家庭でペーパー問題を復習するときは、例えば「上から2番目に重なっている形を選ぶ」を「上から3番目」に変えるなど、既存の設問とは違う問いかけ方もしてみてください。そうすることで、問題への理解を深めることはもちろん、聞く力や聞こうとする意欲も育ちます。また、答えに対して、「合っている、間違っている」とすぐに結論づけるのではなく、「なぜそれを選んだのか?」を考えさせ、言葉で表現させましょう。そうすることによって、「思考を言語化する能力」も身に付つきます。
「人の話がきちんと聞ける子は、合格する子」、これは言い過ぎではありません。また、「聞く力」は受験対策のみならず、今後の成長に関わる大切な能力です。家庭内で、たくさんの言葉を使って、「聞く力」を育てましょう。
富士チャイルドアカデミーでは、小学校受験の対策として、「見る」「聞く」「話す」にポイントをおいた「表現力コース」を実施しています。月2回、60分のコースで、「行動観察・グループ遊び・個別考査」に対応できる力を養います。