過労やストレスなど免疫力の低下で発症 ワクチン接種による予防が可能です
若くても免疫力が落ちると発症しやすい
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症です。
子どものころに水ぼうそうにかかった後も、ウイルスは脊髄神経に生き残って潜伏していることが多く、免疫力が低下すると活性化し、神経に沿って皮膚に移動して帯状疱疹を発症します。
日本の成人のおよそ9割はウイルスが体内にいると考えられており、女性の発症率が男性より1·5倍と高いのも特徴です。年齢にかかわらず、過労やストレスで免疫力が低下していたり、糖尿病などの持病があると発症しやすくなります。
早期に抗ウイルス薬の服用を
症状には個人差があります。皮膚に違和感や軽い痛みを感じる程度だったり、しびれ、ズキズキ、ちくちくなどの痛み、焼けるような痛みがあったりと人によりさまざまですがその後、体の左右どちらかに水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れて、痛みは徐々に強まり3~4週間ほど続きます。
発症部位は6割以上が腕や胸、背中、頭部など上半身です。
発疹に気付き次第、受診しましょう。抗ウイルス薬を服用することで1週間~10日ぐらいで治りますが、放置すると完治に3週間以上かかります。また、初期段階に治療を始めることで重症化や神経痛の後遺症の予防もできます。
治療中は十分な栄養と睡眠をとり、ストレスをためないようにしましょう。水疱を破らないことも重要です。また、発症中は乳幼児との接触は控えましょう。
ワクチン接種で重症化を避けましょう
予防する方法として、水痘ワクチンの接種があります。
以前は、水痘ワクチンは水ぼうそうを予防する効能のみと考えられ、2016年からは50歳以上の帯状疱疹の予防にも適応が認められました。ワクチンの接種で重症化や、合併症を起こすリスクを下げることができます。
ただしワクチンを接種すると発熱や発疹、かゆみやじんましんなどの副作用が出ることがありますが、これは数日でよくなります。
ワクチンは免疫機能疾患がある方、血液のがん、固形がんで化学療法などの治療中の方、免疫を抑制する治療を受けている方、特定のアレルギーがある方は接種できないこともあるので注意しましょう。妊娠中やワクチン接種後2カ月以内の妊娠も避ける必要があります。
また、違う種類の予防接種を受ける場合、27日間は空ける必要があります。予防接種を受ける場合は治療中の疾患やアレルギー、妊娠予定の有無などを医師に相談しましょう。
監修
フジ皮フ科クリニック
院長 井上 雄介先生