現代は2人に1人ががんになると言われる時代。特に30代から50代の女性に多いのが乳がん・子宮がん・卵巣がんなどの女性特有のがんへの罹患です。
家族の笑顔を支える私たち母親ががんになったら…。誰もが自分の心配事として心の片隅にあるはずです。「一般社団法人ピアリング」は、会員・スタッフともに、がんサバイバーが中心に運営する支えあいの場所です。
子育て中にがんに罹患しながらも、それを乗り越え、元気に活躍するみなさんに、体験談をお聞きしました。
がん摘出手術の1年半後の再発は、絶望感と不安でいっぱいでした
でも、今は好きなことに夢中になってワクワク・ドキドキの毎日です
ピアリングサポートスタッフ
髙木直美さん(51)
名古屋市在住
2015年、46歳の時に卵巣がんが見つかり手術を受けた髙木直美さん。
無事手術が成功したと安心したのもつかの間。その1年半後に告げられたのは「再発」の2文字。
絶望感に襲われながらも、常に気になったのは子どもたちのメンタル。
それから5年。いまはお子さんと旅行を楽しみ、趣味に仕事に忙しい毎日です。
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■リサ・サーナ
子宮筋腫の術前MRIで見つかった卵巣がん
自覚症状はありませんでした
がんが見つかった経緯を教えてください。
2010年くらいから「チョコレート嚢胞」があることはわかっていたのですが、悪性のものではないとのことで、経過観察が続いていました。2015年に久しぶりに受けた健康診断でそれが4センチほどに大きくなっていることがわかり、子宮筋腫も7センチほどに大きくなっていたため子宮と卵巣の摘出の手術をすることに。その術前のMRIで、卵巣がんが見つかったんです。
先生は、すぐに私に電話をくださったんですが、なかなかつながらないからと、わざわざ自宅まで来てくださいました。そのとき、当時大学生だった息子が隣で聞いていて、困惑しているのを見て、子どもたちに悲しい思いをさせちゃいけないって思い、しっかりと受け止めました。
体の不調は感じていなかったのですね?
そうです。ただ、生理の時の出血はひどく、貧血でフラフラになることもありましたが、子宮筋腫が原因だと思っていました。卵巣がんは自覚症状があまりなく、見つかった時には手遅れになっていることも多いそうです。
ただ、実際に手術してみないと本当にがんかどうかはわからないと言われていたので、わずかな希望は持っていたんです。がんではなければ手術時間は約4時間、がんだったら約8時間と告げられ、お昼前から手術が始まりました。
「無事に終わりましたよ」という看護師さんの声で目を覚ましたとき、時計は20時を過ぎていて。ああ、やっぱりがんだったんだって。覚悟していたとはいえ、やはりショックでした。
術中破綻を起こし、抗がん治療も受けたそうですね。
卵巣が破れ、がんが周辺に飛び散ってしまったそうで、ステージI‐Cになり、手術後は抗がん剤を受けることになりました。心配していた副作用は脱毛のほか、2週間ほど倦怠感、筋肉痛などがありましたがそれが抜けると体調も良くなり、フルタイムの仕事も続けていました。
が、その後、絞扼性イレウス(腸軸捻転症などにより腸管がねじれること)を起こしてしまったんです。お腹に激痛が走り、救急搬送されて緊急手術となったのですが、あと5~6時間遅れたら命が危なかったそうです。その後は、予定通り6カ月間の抗がん剤治療をして経過観察に入りました。
その後、再発されたと伺いました。
最初の手術で治る気満々だったので、再発のほうがショックは大きかったですね。何を読んでも、調べても、再発は「死」に結びつく気がして。そして、再発すると一生抗ガン治療が続く可能性があるというのも、私の心を暗くしました。
そんなとき、私と同じように再発したのに、元気になった方に実際にお会いし、お話を聞いたんです。とても明るく前向きな方で、私もそうなりたい!そうなれるんだ!って思ったら希望が出てきました。そのせいかどうかはわかりませんが(笑)、再発後の抗がん剤3回目で縮小し、6回目にはなんと消滅していました。うれしくて、快気祝いに娘と沖縄旅行に行きました。
仕事、趣味、そして小林選手!
好きなことに夢中になって楽しい人生を
好奇心いっぱいの髙木さん。いまはいろいろなことに夢中になっているそうですね。
沖縄の海が大好きで、かれこれ20回は行っています。それから、10年ほど前から習い始めたウクレレの演奏も楽しく、友人と動画も作っています。
髙木さんが作った動画「ひとりじゃないよ~Peer Ringの応援歌~」も好評です!
そして私は子どもの頃から野球好きで、今は読売ジャイアンツの小林誠司選手が大好きです。練習や試合の追っかけ(?)で、東京や沖縄キャンプにもよく行きます。毎日、小林選手のことを考えていれば幸せです(笑)。
がんを経験して思うのは、「ありのままの自分でいよう」ということです。たった1度きりの人生、やっぱり楽しくいられる方がいいですよね。そして、がんになっても再発しても、それを乗り越え、こんなに元気になれるんだということを、同じ不安を抱えている人に知ってもらって、勇気をもって進んでいただけるよう、私にできることを精一杯続けていきたいですね。
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