
中学受験生のパパ・ママからよく聞こえてくるのが「自分たちが学生だったころにはなかった学校が人気校になっていることに驚いた」という声。その背景にあるのが「共学化」「大学附属化・系列化」による「校名変更」です。
近年、少子化や社会の多様化を背景に、教育現場でも時代に合わせた学校改革が進んでいます。なかでも、女子校・男子校から男女共学校へと転換する「共学化」、大学との連携を強化する「大学附属化・系列校化」といった動きが活発化し、注目を集めています。
本特集では、こうした改革を行った私立中学校に加え、新たに開校した「新設校」を一覧でご紹介。それぞれの学校の特色や取り組みをまとめ、変化する私立中学のいまをお届けします。
- 1 共学化・校名変更 ― 時代に合わせた進化で新たな魅力を創出(2022年度~)
- 1.1 吉祥寺湧水中学校・高等学校|2027年度に共学化・校名変更予定(現 藤村女子中学・高等学校)
- 1.2 英明フロンティア中学校・高等学校|2026年度に共学化・校名変更(現 東京女子学院 中学校 高等学校)
- 1.3 鎌倉国際文理中学校・高等学校|2026年度に共学化・校名変更(現 鎌倉女子大学 中等部・高等部)
- 1.4 明法中学・高等学校|2025年度に共学化
- 1.5 芝国際中学校高等学校|2023年度に共学化・校名変更(旧 東京女子学園中学校・高等学校)
- 1.6 サレジアン国際学園世田谷中学高等学校|2023年度に共学化・校名変更(旧 目黒星美学園中学高等学校)
- 1.7 サレジアン国際学園中学高等学校|2022年度に共学化・校名変更(旧 星美学園中学校高等学校)
- 2 大学附属化 / 系属化 / 系列化・校名変更 ― 大学連携による内部進学の強化で人気校に(2022年度~)
- 3 新設校 ― 新時代を見据えた教育理念とカリキュラムに注目(2022年度~)
- 4 校名変更のみ(2022年度~)
共学化・校名変更 ― 時代に合わせた進化で新たな魅力を創出(2022年度~)

少子化などの社会の変化を背景に、伝統ある女子校が「共学化」へ踏み出すケースが増えています。共学化や校名変更を機に、英語教育・理数教育の強化、探究型学習の導入など、時代のニーズに合った教育改革を進める学校も多く見られます。
その教育方針に魅力を感じて受験者数が大幅に増加、人気校となる学校は少なくありません。その結果、難易度が上がりいわゆる“進学校化”を遂げる学校も。伝統を大切にしながら新たな学びを創出するこれらの学校に、いま関心が集まっています。
ここからは、共学化や校名変更によって進化を遂げた私立中学校をご紹介します。
吉祥寺湧水中学校・高等学校|2027年度に共学化・校名変更予定(現 藤村女子中学・高等学校)
1932年に開校した藤村女子中学・高等学校は、2027年度に「吉祥寺湧水中学校・高等学校」へ校名を変更し、共学化を予定しています。校舎もリニューアルし、次世代にふさわしい新たな学びの場へと生まれ変わります。
新しい時代に求められる「自ら問い、考え、選び、行動する力」を育む教育を目指しています。
英明フロンティア中学校・高等学校|2026年度に共学化・校名変更(現 東京女子学院 中学校 高等学校)
1936年に創立し、長い歴史を持つ東京女子学院 中学校 高等学校は、2025年度に四字熟語の「英明闊達」の「英明」+「フロンティアスピリット」の「フロンティア」を合わせた「英明フロンティア」と校名変更。
制服や校舎も一新し、伝統ある女子教育の理念を受け継ぎながら、2026年度に中学校の共学化を予定しています。
英明フロンティア中学校・高等学校の教育の特色と魅力
- 「シン・基礎学力」+「イノベーションクエスト」という2本の柱で、知識習得だけでなく「考え・創る」学びを展開
- グローバル教育/ICT教育の充実:ネイティブ教員による英会話、長期留学制度、最新設備・探究プログラムを実施
- 現代に必要な「正解のない問い」に向き合う力を養う「思考重視型授業」
鎌倉国際文理中学校・高等学校|2026年度に共学化・校名変更(現 鎌倉女子大学 中等部・高等部)
創立80年以上の歴史を誇る鎌倉女子大学 中等部・高等部は、2026年度4月より男女共学に移行するとともに「鎌倉国際文理中学校・高等学校」に校名変更します。
これまでの「感謝と奉仕に生きる人づくり」の教育理念を継承しながら、文理融合・国際教養を柱に、最先端のカリキュラム改革を推進。英語教育やICT活用、探究学習などを強化し、新しい時代にふさわしい学びの場を創り出しています。
鎌倉国際文理中学校・高等学校の教育の特色と魅力
- 「国際教養コース」の1コース制。少人数制により「わからない」ことを恥ずかしがらずに友人や先生と共有できる教育を実践
- 高等部2年までに高等学校の教育内容を終了。習熟度別の授業や放課後の特別講習など海外大学や難関大学進学を視野に入れた学びを展開
- 中学では英検準2級、高校卒業時までに英検準1級の取得を目指し、国際社会で活躍できる「使える英語力」を育成
明法中学・高等学校|2025年度に共学化
1964年の創立以来「 知・徳・ 体のバランスのとれた人格的な成長」を理念に掲げてきた明法中学・高等学校は、2019年度に高校を、2025年度から中学も男女共学化をスタート。
東京ドームの1.2倍を誇る広いキャンパスと充実した設備のなか、アクティブラーニングやICTを活用した教科横断的な学習により、21世紀型スキルを育成しています。
明法中学・高等学校の教育の特色と魅力
- 中学のオリジナル教科「4Cプログラム」により、「Creativity(創造性)」「Communication(コミュニケーション)」「Collaboration(協働)」「Critical thinking(批判的思考)」を育成
- 常勤教員1名あたり生徒12名という「少人数教育」を重視。個性を尊重した手厚い指導を実践
- 全員参加のオーケストラ授業では生徒ひとりに一台の楽器が用意され、プロの演奏家による指導で「本物を体験」
芝国際中学校高等学校|2023年度に共学化・校名変更(旧 東京女子学園中学校・高等学校)
1903年に創立し、120年以上の歴史を持つ東京女子学園中学校・高等学校は、2023年度に「芝国際中学校高等学校」へと校名を変更、男女共学へと変わりました。
地上12階建ての新校舎に生まれ変わり、海外の教育メソッドを取り入れた最先端のカリキュラムを導入。「世界標準の学び」×「確かな学力」で実社会で活躍できる人材の育成を目指しています。
芝国際中学校高等学校の教育の特色と魅力
- 対話形式の授業やSTEAM教育、アントレプレナーシップ(起業家教育)などのグローバル教育
- 中学で1回、高校で1回の海外経験が持てる豊富な海外研修プログラム
- 標準を上回る授業コマ数による英語力の強化
サレジアン国際学園世田谷中学高等学校|2023年度に共学化・校名変更(旧 目黒星美学園中学高等学校)
1960年、カトリック女子教育修道会「サレジアン・シスターズ」によって設立された目黒星美学園中学校は、2023年度に「サレジアン国際学園世田谷中学高等学校」として共学化・校名変更を行いました。
伝統に基づく教育理念を大切にしながら、英語・グローバル教育をはじめとする先進的な教育改革を積極的に推進しています。
サレジアン国際学園世田谷中学高等学校の教育の特色と魅力
- ゼミ活動を軸に探究学習を極める「本科クラス」と、英語イマージョン教育を導入しより実践的な「インターナショナルクラス」の2コース制
- 全教科でPBL型授業(Project Based Learning)を実践
- 2026年度から医学・テクノロジー分野に特化した新プログラム「MEDICO(メディコ)」を新設
サレジアン国際学園中学高等学校|2022年度に共学化・校名変更(旧 星美学園中学校高等学校)
1947年創立のカトリック系ミッションスクール星美学園中学校高等学校は、2022年度に「サレジアン国際学園」に校名変更をして共学化し、教育内容も刷新。
「21世紀に活躍できる世界市民の育成」をビジョンに掲げ、「心の教育」「考え続ける力」「コミュニケーション力」「言語活用力」「数学・科学リテラシー」の5つの力を育んでいます。
サレジアン国際学園中学校・高等学校の教育の特色と魅力
- ゼミ活動を軸に探究学習を極める「本科クラス」と、英語イマージョン教育を導入しより実践的な「インターナショナルクラス」の2コース制
- 全教科でPBL型授業(Project Based Learning)を実践
- 2026年度から医学・テクノロジー分野に特化した新プログラム「MEDICO(メディコ)」を新設
大学附属化 / 系属化 / 系列化・校名変更 ― 大学連携による内部進学の強化で人気校に(2022年度~)

大学附属校や系属校、系列校となる私立中学校が、いま人気を集めています。大学受験をせずに進学することもできる安心感が保護者世代からも支持され、受験者数が増加するなど人気が高まっています。なかには入試難易度が大きく上昇し、さらに注目を集める学校も少なくありません。
大学と連携した授業がある学校の場合、大学の施設を利用したり、教授の講義を受けたり、大学生から専門的な話を聞く機会もあります。こうした環境の中で、大学レベルの学びに早い段階から触れられるのが大きな魅力。中高6年間を通じて、将来を見据えた主体的な学びに余裕をもって取り組むことができます。
ここからは、大学附属化や系列化を機に校名を変更する私立中学校を紹介します。
明治大学付属世田谷中学校・高等学校|2026年度に付属化・校名変更(現 日本学園中学校・高等学校)
1885年創立の伝統校である日本学園中学校・高等学校は、2026年度4月から「明治大学付属世田谷中学校・高等学校」へ校名を変更し、明治大学の新しい付属校となり共学化もスタートします。
明治大学との高大連携を強化し、国際理解・理数教育・キャリア教育を三本柱に、6年間一貫の体系化したカリキュラムで「個性を尊重した人材の育成」に力を入れています。
明治大学付属世田谷中学校・高等学校の教育の特色と魅力
- 明治大学との連携により、卒業生の約70%が内部推薦により明治大学へ進学可能となる見込み
- 林業・漁業・農業のフィールドワークをはじめ、体験を起点に課題発見・調査・発信を繰り返し、創造力と探究心を育む「創発学」プログラム
- 「MGP(明大世田谷グローカルプログラム)」により英語4技能を伸ばし、全員がオーストラリア語学研修ほか、多彩な海外研修で国際感覚を育成
北里大学附属順天中学校・高等学校|2026年度に系列化・校名変更(現 順天中学校・高等学校)
1834年創立の順天中学校・高等学校は、2026年度より北里大学系列となり校名を「北里大学附属順天中学校・高等学校」へ変更します。
医療・生命科学を強みとする大学との一貫教育体制を整え、内部進学制度の導入、探究学習および福祉・国際教育の充実を図り、未来を見据えた人材育成を推進していきます。
北里大学附属順天中学校・高等学校の教育の特色と魅力
- 北里大学への内部進学制度が2026年大学入試から開始され、全9学部18学科への進学可能に
- グローバル社会の中で活躍するための国際教育が充実。様々な留学制度や海外研修、異文化交流を展開
- 福祉教育を重視し、身近な地域活動から海外NGOへの協力まで、多くのボランティアプログラムにより「人間関係力」を育てる
順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校|2024年度に系列化・校名変更(旧 宝仙学園中学校・高等学校共学部)
2007年設立の宝仙学園中学校・高等学校共学部は、2024年度より順天堂大学の系属校となり「順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校」へ校名変更しました。
「理数インター」=『知的で開放的な広場』を目指し、試行錯誤と挑戦をしながら成長し、失敗から学ぶ教育を大切にしています。
順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校の教育の特色と魅力
- 順天堂大学への内部進学枠を整備し、理系・医療系の進路を支える進学サポート体制
- 2025年度に「医学進学コース」を新設。医学部進学に対応できる「学力」に加え、医師としてふさわしい「人間力」を培う
- 独自教科「理数インター」で、理数・英語・プレゼンテーションを融合しグローバルな思考力を養成
新設校 ― 新時代を見据えた教育理念とカリキュラムに注目(2022年度~)

新設校は、時代の変化に対応した教育理念と先進的なカリキュラムが大きな魅力です。最新の教育理論を取り入れた学びや探究型授業、グローバル教育など、これからの社会に求められる力を育む環境が整っています。
新しい校舎には最新の設備が揃い、ICTを活用した学習支援も充実。創立間もないからこそ、教員と生徒が一体となって学校をつくり上げていくエネルギッシュな雰囲気があり、生徒の意見が反映されやすいのも特徴です。主体的に学校づくりに参加できる環境が、生徒一人ひとりの成長を後押します。
ここからは、新しい価値観と教育方針で注目を集める新設の私立中学校をご紹介します。
明星Institution中等教育部|2026年度に新設(明星学苑の一部として開設予定)
明星Institution中等教育部(メイセイ インスティチューション チュウトウキョウイクブ)は、2026年度に新しく開設される6年一貫教育の学校。既存の明星中学校・高等学校と同じ明星学苑に属し、同じ敷地内にありながら、独自のカリキュラムと教材を使用します。
教育の核は「グローバル」「主体性」「第4の人間力」。生徒が世界を身近に感じ、自分の意志で学びを選び取るための環境を整備し、知識を習得するだけでなく、自らの人生を切り拓く力を育てる教育を目指しています。
明星Institution中等教育部の教育の特色と魅力
- 最難関大学への進学を視野に、思考力・判断力・学習意欲を引き出し、高度な学力形成をめざす進学カリキュラム。
- 中高6年間を3ブロック制で展開。1〜2年は基礎力の確実な定着、3〜4年は教科横断型プロジェクトによる論理的思考力と創造性の育成、5〜6年は進路目標に合わせた高度な学力形成へと、段階的に学びを深める体系的なプログラム。
- MIシラバスにより年間の学習計画全体を俯瞰できることで、迷わず主体的に学習に取り組む姿勢を育む。
羽田国際中学校・高等学校|2026年度に新設(羽田国際高校の併設中学として開校予定)
2024年に蒲田高等女学校から共学化・校名変更し、グローバル化を見据えた教育の改革をしてきた羽田国際高等学校。2026年度春、新たに中高一貫校として6年間の学びを展開する「羽田国際中学校」が開校します。
羽田空港に隣接した国際色豊かな立地で、「Think Globally, Act Locally(地球規模で考え足元から行動しよう)」をコンセプトに新しい一歩を踏み出します。
羽田国際中学校・高等学校の教育の特色と魅力
- グローバル×ローカルを掛けあわせた“グローカル”の視点を取り入れ、「海外研修」と「日々の英語教育の充実」を柱に真のグローバルマインドを育てる
- 中高6年間を通じたキャリア教育「WINGSプログラム」で、多様な体験と挑戦を重ねながら、自ら考え行動する力を育む学び
- JAL/ANAグループとの教育連携をはじめとする企業コラボで、実社会に即した学びとキャリアを支える環境
千代田中学校・高等学校|2022年度に新設、2025年度に千代田国際中学校・高等学校から校名変更
2022年度に中学校を開設し、2025年4月に千代田国際中学校・高等学校から「千代田中学校・高等学校」へ校名変更。
学校を「未来をつくる場所」と定義し、中高一貫の探究型教育やグローバル教育を実践。アクセス抜群な千代田区四番町に立地しながらも最新設備を備えた新しい学びの場として注目を集めています。
千代田中学校・高等学校の教育の特色と魅力
- 研究マインドを養う「研究コース」と、分析・探究力を育てる「開発コース」の2コース制。高2からは国際バカロレア教育プログラムを導入した「IBコース」を含めた3コース制に
- 中学・高校の枠を越えて行われる本格的な研究活動で培う、思考力・分析力・創造力を高める探究的学び
- 国内外のトップ大学・企業・産官民との連携による、実社会での課題解決力と発信力を養うキャリア教育の実践
校名変更のみ(2022年度~)
小石川淑徳学園中学校|2026年度に校名変更(現 淑徳SC中等部)
吉祥寺学園中等部|2026年度に校名変更(現 武蔵野東中学校)
三田国際科学学園中学校・三田国際科学学園高等学校|2025年度に校名変更(旧 三田国際学園中学校・三田国際学園高等学校)
明治大学付属八王子中学校|2024年度に校名変更(旧 明治大学付属中野八王子中学校)