「考える力」と「合格する力」、どちらを優先するか?

現在、小学5年生のヒラメは、問題を解くときに制限時間を設けていません。「この問題は10分で解こう」といったタイムプレッシャーをかけず、自分のペースで取り組んでいます。

その背景には、2022年に中学受験をした長男・ウミとの受験勉強で「時間を区切るべきか」に迷った経験があります。今回は、そんなウミのときのエピソードを振り返りながら、「考える力」と「合格する力」、どちらを優先するかという問題について書いてみたいと思います。

ビタミンママ中学受験LINEアカウント紹介

ビタミンママでは、中学受験ママの奮闘ブログ「一輝一憂」で、中学体験記を書いてくれるママライターを募集しています。皆様の現役・過去の体験談をビタママONLINEで発信してみませんか?詳しくはこちらをご覧ください!

受験の目的を、もう一度思い出す

ウミが小学6年生の後半に差しかかったころ、算数の難問に取り組む姿を見ながら、私はある悩みを抱えていました。ウミは、難しい問題に何十分もかけて向き合うことをいとわない子でした。「もう少しで解けそう」「今やめると気持ち悪い」と粘り強く考え続け、納得のいくまで手を止めようとしないその姿には、むしろ感心すらしていました。

その一方で、受験本番が近づくにつれ、「算数の穴を一つでも多く埋めて完成度を上げたい」という焦りも募っていました。「もっと問題数をこなさないと」と思うあまり、私は心の中で「もう次の問題に進んで…」と何度もつぶやいていました。

▲投げ出さずに難問に向き合う姿勢に、ただただ感心。

悩んだ末に、私は一度立ち止まって考えてみることにしました。
「そもそも、なぜ中学受験をしようと思ったんだっけ?」

ウミは小さな頃から、算数や物事を深く考えるのが好きな子でした。私は中学受験という機会を通して、「考えることの楽しさ」「知らないことを知る喜び」「できなかったことができるようになる面白さ」をもっと味わってほしい、そう思っていました。

だとすれば、今まさに難問に粘り強く取り組んでいるウミの姿勢は、私が最初に思い描いた理想そのものなのではないか。ここで「時間がかかりすぎるから」と止めてしまうのは、本来大切にしたかった価値を、自分で否定することになってしまうのではないかと感じました。

私立中学校の学校説明会

「考える楽しさ」と「合格力」のバランス

それでもやはり、合格してほしいという気持ちは強く、当時、月に1回学習コンサルをお願いしていた家庭教師の方に相談することにしました。難問にじっくり取り組むのは良いことだと理解しているものの、その分演習量が減ってしまうことが気がかりだったからです。

関連記事

中学受験ママの奮闘日記「一輝一憂」大好評連載中です。 11月に入り、受験本番まで約3ヶ月を切りました。 少しずつ、しかし確実に迫ってくるタイムリミットに、戦々恐々としていますが、みなさんはどんな日々をお過ごしでしょうか? 現状[…]

家庭教師の方は少し考えたあと、問題のレベルごとに目安となる解答時間を設定してみてはどうかと提案してくれました。たとえば、レベル1は5分、レベル2は10分といったように、問題の難易度に応じて時間を区切るという方法です。

そのアイデアをウミに伝えたうえで、私はこう伝えました。難しい問題にじっくり取り組む姿勢は素晴らしいけれど、時間をかけすぎてしまうと、本番までに解いておきたい問題を終えられないかもしれない。だから、自分に合った進め方を考えてみてほしい、と。

ウミは考えた上で、時間を意識して解く方法を選びました。その結果、やりたい問題を計画通りにこなせるようになりました。

▲思考力とスピード、その両方を求められるのが受験の難しさ。

「じっくり考えること」と「合格のために効率よく数をこなすこと」は、必ずしも両立しません。だからこそ、どちらを優先するかは、自分たちで選ぶ必要があります。

大切なのは、そのときどきで「何のために」「何を大事にしたいのか」を親子で共有し、柔軟に判断していくこと。そして、その判断は途中で変わってもかまわないと思います。

正解のない問いだからこそ、子ども自身が考え、選び、納得して進むことが、何よりの学びになると思います。

今はヒラメには制限時間を設けず、自分のペースで取り組ませていますが、いずれ演習量を意識する必要が出てくるかもしれません。そのときが来たら、ヒラメと話し合いながら、どう進めるのがよいか一緒に考えていきたいと思っています。

続きを読みたい方はここをブックマーク!過去記事から最新記事まで一挙公開中です!

高1長男ウミ、中3長女サンゴ、小5次男ヒラメ3きょうだいの母。ヒラメは現在、大手塾の通信教材を利用して自宅学習で中学受験の勉強中。2022年に中学受験を終了したウミは、完全塾なしで偏差値60半ばの中高一貫進学校へ。中学受験を断固拒否したサンゴは、地元の公立中に進学。中学受験生ママ2度目ではあるものの、通信教材というウミとは異なる進め方に戸惑う日々です。

Follow us
更新情報を発信しているので、フォローしてね!