近年、中学入試問題の傾向が変わってきています。
これからの中学入試はどうのように変化していくのか、傾向と対策を挙げてみました。
最後に思考力を問う算数の問題を掲載していますので、ぜひお子さまと一緒にチャレンジしてみください。
処理能力の高さを求める時代から、
思考力・記述力・判断力の高さを求める時代へ
近年、中学入試問題の傾向が変わってきています。 かつてのような「詰め込み型」教育で得られる、知識や解法パターンの習得率、理解度を問う問題ではなく、与えられた情報を整理し、自ら考え、もっている知識や解法パターンを応用して答えを導く、思考力が問われる問題が増えています。
例えばかつて、ある学校の算数は膨大な量の問題をいかに早く正確に解けるか、つまり処理能力の高さが求められる試験でしたが、平成以降、難関校と呼ばれる学校ほど、「頭を使って考える」、つまり、思考力を問う問題にシフトしています。
また国語でも記号選択や漢字の読み書きなどで解答する問題だったものが、問題数を減らし、記述で解答する問題が主になっています。こうした試験で点数をとるためには、これまでのような方程式や問題パターンをやみくもに覚えるような勉強だけではなく、学習して得た知識や解法パターンを駆使して、自ら解き方を考える力や、思考力を鍛えることが求められます。
これは私立だけではありません。公立中高一貫校でも適性検査において、どれだけ知識をもっているのかを見るのではなく、さまざまな情報をもとに分析し、自分の言葉で書く「記述式」の問題が中心になっているのです。
問われているのは、自分で答えを導く力と
自分の言葉で表現する力
こうした流れを作っている要因のひとつは、急速に進むIT化 す。これまでの学校教育で重視されてきた計算や暗記などの処理はAIで代用が効く時代となるにつれ、人間にしかできない思考、判断、そして表現力(記述力) をもつ人材が求められるようになってきました。
そしてもうひとつ、思考力、記述力を問う理由として考えられのが「伸びしろ」です。学校としては中学入試がゴールになるような子ではなく、大きく伸びる可能性がある子に入学してほしい。 入学後、意欲的にいろんなことに取り組む、質の高い子を取りたいという思いが見え隠れします。
ただし、思考し、記述する試験に移行しているとはいえ、その大元となる知識が必要であることに変わりはありません。 知識をもとに、その先にある応用力が試される、と言ってもいいでしょう。 知識を詰め込んだから解けるというものではなく、それを生かしながら自分で考えたい、学びたい、という意志が見える。そんな子どもが求められているようです。
思考力を高めるためにやっておきたいこととは
難関校ほど、思考力を問われる問題が多くなっているのはお伝えした通りです。では、思考力を高めるために、どんな対策を練っておけばいいのでしょうか。例えば算数の場合、問題を解くための知識や技術、処理能力につけておくことが必須です。そのうえで、「なぜ、その解にたどり着いたのか」を説明できるよしておくとよいでしょう。 算数の問題に取り組んでいき、「なぜ、この答えになったのか教えて」と聞いてみるのもよいかもしれません。これを繰り返すとで思考を習慣づけることがきるでしょう。
この「考える」という動作は、日常生活でも習慣づけることができます。保護者は子どもに問いかけ、その答えをさらに掘り下げるように質問を繰り返します。「どうしてかしら?」「~~~だからじゃないの」「そうね」で終わらせず、「なんで~~~なのかしら」と会話を続けるだけでも、思考力は身についていくでしょう。
親子でチャレンジしてみよう!思考力を問う算数
思考力が問われる算数の問題とは、果たしてどのようなものなのでしょうか。 右ページでもお伝えしたように、解法や方程式、処理能力などを身につけておくだけでなく、それらを応用する力が求められます。 これを定義とし、以下の問題を作ってみました。 ぜひ、お子さんと一緒にチャレンジしてみてください。
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