高校進学のために中断されることなく6年間、たっぷりと時間をかけ、青春を謳歌できる。それは、中高一貫校の大きな魅力です。この6年間で、何を経験し、何を感じ、何を学ぶのか?たっぷりと時間が使え、恵まれた環境だからこそ、充実した時間が過ごせる6年間。中高一貫校のメリットについて考察してみました。
合わせて、教育カリキュラム、部活動、課外活動、海外留学など学校生活全般で、特長ある取り組みを行っている東京・神奈川の注目校を紹介します。
中高一貫校だからこそ得られた経験は
将来に活きるチカラに
部活や好きなことに
とことん打ち込める恵まれた環境
6年間を通して段階的に積み上げていく教育カリキュラムのほかにも、中高一貫校のメリットは数多くあります。たとえば部活動を一つとっても、同じ環境で6年間継続して取り組めるメリットは計り知れません。一般の中学校では、3年生になると、高校受験を見据えて夏ごろには引退となるところがほとんどです。しかし中高一貫校では、継続して部活動を行うことが可能です。しかも、中・高と同じ環境で、じっくり打ち込むことができるので、中学から始めたことでも、卒業するころには、必ずや大きな成長を感じることができるでしょう。
また、人工芝のグラウンドや、球技に適した天井の高い体育館、日没後も活動ができるナイター設備などの恵まれた環境に加え、プロのコーチや指導者を招くなど、外部の専門クラブさながら、本格的な活動を行うことができるのも魅力です。
縦割りの交流や生徒主体の行事などを通し、
精神的にも大きく成長
中1〜高3の縦割りで活動を行っている学校が多いのも中高一貫校の特長です。低学年は高学年の先輩に憧れや尊敬の念を抱き、その存在が身近な目標となっていることが多いようです。目指すべきお手本がすぐそばにあることで、目標に向かって真っすぐ進むことができます。
また、さまざまな行事を生徒主導で運営する学校が多く、主体性、実行力、責任感などが育まれると共に、学校生活がより充実したものになることは間違いありません。仲間と力を合わせて大きなことを成し遂げた経験は、何ものにも代えがたいものです。たくさんの行事に加え、多くの学校で、語学留学やボランティアなど、自由参加のプログラムを多数実施しています。「チャレンジしてみたい!」という生徒に向け、さらには、そのような意欲を引き出すような、さまざまな機会が与えられています。
生徒一人一人に寄り添った
きめ細かな指導で日々の学習をサポート
基礎学力の定着を重視し、誰一人取りこぼさない細やかな指導を行っているのも私学中高一貫校の特長です。また、目指す大学や習熟度に合わせたクラス分けをして授業を行う学校もあるなど、学習サポートの手厚さゆえ、中学のうちは塾に行かなくても十分という声も聞かれるほどです。日ごろの学習習慣がついていれば、部活動やそのほか自分のやりたいことに時間を費やすことができ、さらに充実したスクールライフを送ることができるでしょう。
膨大な蔵書を有する図書館や資料室、学習に集中できるよう増やす働きかけも積極的に行っています。内部進学を希望したまま、外部受験をする併願制度を取り入れている学校も多く、安心して自分の可能性に挑戦することができます。大学受験を選択した場合でも、多くは高2までに履修過程を終了し、受験勉強に向けて体制を整えられるようカリキュラムが組まれています。入学時から理数系教科への興味・関心を引き出す取り組みを行い、理系進学率の向上につながっている学校もあり、6年間をかけて着実に積み上げてきた成果がここでも発揮されることになります。
個々を尊重し、じっくりと考える機会
考える機会を設ける充実したキャリア教育
自分の進路や将来について考えるには、系統だった取り組みが必要です。中高の6年間という時間は、じっくりと自分の内面を見つめ、「自分は何に興味があるのか」「やりたいことは何なのか」を突き詰めていくための、最適な時間です。元々、卒業生とのつながりが強いことで知られる私立の一貫校ですが、インターンシップや大学との交流・連携も盛んに行っており、さまざまな体験を通して自分の将来について具体的に考えられることができます。
また、生徒の希望や意欲にこたえようと、私学のネットワークを駆使して外部の協力先を当たり、企業や大学から講師を招いたり、体験の場を設けたりするなど、生徒のために、奔走する熱心な教職員の姿も印象的です。たとえ今はまだ、何か明確な目標がない状態だったとしても、思い立ったときにいつでも動き出せる環境が中高一貫校にはあります。さまざまな選択肢が用意されている中で、自分の思い描く6年間を謳歌することができるでしょう。
特長ある取り組みを行う注目の私立中高一貫校
神奈川学園中学校・高等学校(横浜市神奈川区)
「理科100実験」を掲げ、中学の理科では3年間で100以上もの理科の実験や観察に取り組み、理系教科への興味関心を引き出している。
成城学園中学校高等学校(東京都世田谷区)
高校では、天文教室やキャンプ、観劇など、自分が興味あるものに参加する「課外教室」を実施。同じ興味をもつ者同士で、さまざまな見聞や体験を共有する。
清泉女学院中学高等学校(神奈川県鎌倉市)
生徒発案の「清泉模擬国連」を開催。中1~高2まで、毎回40人ほどが参加し、各国の大使となって決められた議題でスピーチ、決議案の採択まで行う。
青陵中学校・高等学校(東京都品川区)
個別ブースがずらりと並ぶ自学自習システム「Sラボ」。専用ルームには5~10人のチューターが常駐し、生徒一人一人の質問に答えてくれる。
高輪中学高等学校(東京都港区)
100名を超える鉄道研究会や、ダーツ部、折り紙同好会、マケドニア研究会など、ユニークな部活や同好会が精力的に活動している。
玉川聖学院中等部・高等部(東京都世田谷区)
ボランティア活動や海外研修など、将来につながるさまざまなプログラムから自由に選択して参加できる体験学習システムがある。
桐蔭学園中等教育学校(横浜市青葉区)
毎日「1分間スピーチ」を行い、聴者はうなずきながら耳を傾け、発表後には全員が拍手で称えることを徹底。この「傾聴」と「承認」を継続し、自己肯定感を育む。
東京農業大学第一高等学校・中等部(東京都世田谷区)
3000 ㎡もの専用農場で行う稲作体験や本格的な実験など、東京農業大学の施設や人材を駆使して深い学びへとつなげている。
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日本女子大学附属中学校・高等学校(川崎市多摩区)
中学の3年間、バイオリンが必修。楽器の扱い方からさまざまなテクニックまで学び、毎年12 月に行われる音楽会で、全員が合唱とバイオリンの演奏を披露する。
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立正大学付属立正中学校・高等学校(東京都品川区)
定期テスト前に開設される「相談部屋」は、曜日ごとに各教科の先生が在籍。テスト範囲でわからないところを個別に相談できる。
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