2025 女子美術大学付属高等学校・中学校の特長ある学び 「美術を通じて広がる表現と学び」に注目

「絵を描くのが好き」「作るのが楽しい」。そんな子どもたちの内から湧き上がるシンプルな情熱を、何よりも大切にしているのが、東京都杉並区の閑静な住宅街に校舎を構える、女子美術大学付属高等学校・中学校です。

生徒一人一人の「美術が好き」を原動力に、興味と表現の幅を広げながら、多彩な力を育んでいます。美術科主任の浜田 涼先生にお話を伺いました。

女子美術大学付属高等学校・中学校 美術科主任 浜田 涼先生

美術科主任 浜田 涼先生(女子美術大学付属高等学校・中学校)

「好き」を出発点に、タネをまいて育てる授業展開

授業では、「美術が好き」という気持ちを何よりも大切にし、その気持ちを出発点に、得意や興味の幅を広げられるような課題を設定しています。
絵を描くことに加え、切った紙や粘土を用いた立体制作、お菓子のパッケージデザインなど、さまざまなジャンルに取り組む中で、新しい「好き」や「得意」に出会えるように工夫しています。

中学2年生の「架空のキャンペーンを考える課題」では、商品の企画・制作に加え、キャッチコピーやポスターづくり、プレゼンテーションにも挑戦。
こうした活動を通して、表現力だけでなく、企画力や他者に伝える力など、さまざまな力がバランスよく育まれていきます。
さらに、課題に取り組む授業の回数や期間を最初に共有することで、生徒自身が計画的に制作を進める力も身につけます。

女子美術大学付属高等学校・中学校

自分やクラスメイトと対話をしながら、それぞれのリズムで筆を動かします(女子美術大学付属高等学校・中学校)

美術を軸にした教科横断の学び

女子美では、美術の学びが他教科にも自然につながっていくようなユニークな授業が数多く行われています。
例えば、高校1年生の化学では、元素記号をポストカードにする課題が出されます。

女子美術大学付属高等学校・中学校 元素記号のポストカード

元素記号のポストカード。想像力豊かに描かれたポストカードには、生徒それぞれの個性があふれています(女子美術大学付属高等学校・中学校)

表現方法は自由で、絵本仕立てや標本風にまとめる生徒もおり、それぞれ工夫を凝らした作品作りを楽しみながら、元素記号も覚えることができます。
また、中学1年生の数学では、折り紙で多面体を作り、形や構造を体感的に理解します。

女子美術大学付属高等学校・中学校 高2美術(デザイン)の授業

iPadと紙を併用しながら制作に取り組む授業も(女子美術大学付属高等学校・中学校)

こうした取り組みに加えて、英語教育にも美術の学びを取り入れた「アート・イングリッシュ」を展開。
授業でとりあげた題材を英語劇で表現したり、描写に使う線の表現を英語で学ぶなど、アートと語学を融合させた実践的な授業が行われています。
生徒の興味を軸に英語力を高め、世界に向けて発信する力を磨きます。

女子美術大学付属高等学校・中学校 アート・イングリッシュの授業

アート・イングリッシュの授業では、意見を交わしながら、英語と表現力を同時に育みます(女子美術大学付属高等学校・中学校)

多彩な授業の根底には「生徒の興味や得意なことを土台に学びを広げていく」という教員の工夫があります。教科を超えて広がる美術の力が、学びの可能性をさらに広げているのです。

互いを認め合う力が創造性を育てる

生徒同士の関係にも、女子美ならではの特長があります。
それは、「美術が好き」という共通点があるからこそ生まれる、違いを越えて支え合う関係です。ある生徒は、入学後、まわりのレベルの高さに気後れして自信をなくしていましたが、ある日「あなたの絵のここが好き」と声をかけられたことで、自信を持って制作に向き合えるようになったそうです。

教室では、タイプの異なる生徒同士が並んで制作をしながら、言葉を交わす光景が日常的にみられます。趣味や雰囲気が違っても、作品を通じて互いを認め合い、刺激し合いながら、自然と友情を育んでいく。そんな空気が、女子美の大きな魅力のひとつです。

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