2025 先生に聞く。神奈川学園中学・高等学校が目指すこと

神奈川学園中学・高等学校は1914年、第一次世界大戦が勃発し世界が混沌とする時代に、「女子に生きる力を与える」「判断する力を与える」を建学の理念に、自立した女性の育成をめざして設立されました。
現代における自立した女性育成のため、 多岐に渡る情報の中から必要なものを選び取る「リサーチ・リテラシー」、世界的な視野と心性「グローバル・シチズンシップ」を掲げ、さまざまな新しい教育を導入する同校の及川正俊校長先生にお話を伺いました。

お話

神奈川学園中学・高等学校校長 及川 正俊 先生
自立した女性を目指し
その先へ向けて羽ばたくために

神奈川学園中学・高等学校
校長 及川 正俊 先生

きめ細やかな中学2人担任制で大人になる過程の生徒を伴走

(神奈川学園中学・高等学校)

自立した女性を育むためには、大人が伴走することも大切です。大人になる過程にいる生徒に教員が伴走していくために、中学時代は2人担任制を採用。30名台後半のクラスに2人の担任がついて一人一人を見守っています。
2人担任制の中で実施しているのが「Diary」を通じた担任と生徒のやり取りです。これは学習計画表でもあり、日々の記録でもあります。生徒は毎日の学習計画と、できたこと、できなかったことを書き込んで可視化し、担任はアドバイスやコメントを書いて毎日返却します。このDiaryのおかげで、徐々に自分で計画を立てて学習できるようになっていきます。
神奈川学園中学・高等学校のDiary

Diaryには生徒のコメント欄もあり、気になる書き込みを見つけたらすぐに話を聞くなどの対応をします。(神奈川学園中学・高等学校)

神奈川学園ならではの国内外研修。フィールドワークがきっかけで自主防災組織も発足!

「自立」に必要なもう一つの点は、社会に出る、国際舞台に立つなどの「実体験」です。
例えば中学3年生で実施する全員参加のオーストラリアへの海外研修では現地で1週間ホームステイをし、現地校での授業を体験します。中学3年生という時期に親元を離れ、ホームステイ先で自分の生活をコントロールし、ファミリーと理解を深める経験は、生徒の視野を広げ自立心を高めます。また現地では「これは日本ではどうなの?」などと聞かれることもしばしばで、その経験から「日本をもっと知らなければ」という気持ちになって帰ってくる生徒も多いです。

海外研修後の高校1年生では日本の姿を知る「国内フィールドワーク」を実施します。
沖縄、水俣、四万十川、奈良・京都、岩手・宮城の5方面から、自分の興味関心があるエリアを選び、事前学習をした後に現地に向かいます。現地ではそれぞれの地域で活躍する方々と出会い、話を聞き、レポートにまとめます。このフィールドワークでは、第一線で活躍する人たちと触れ合う中で、その生き方から学んだり、自分の生きる指針にしてほしいというねらいもあります。

神奈川学園中学・高等学校 横浜市民防災センターを訪問した「チーム防災」

2025年2月、横浜市民防災センターを訪問した「チーム防災」。日頃は防災備品の点検や、防災訓練の計画、防災の専門家を招いての講演会などを企画しています。(神奈川学園中学・高等学校)

例えば、東日本大震災からの復興がテーマの岩手・宮城に行った生徒は、被災した現地の方たちとの交流の中で、「この経験を横浜で活かして」というメッセージを受け取りました。
生徒たちは、この言葉から何をすべきかを考え、生徒主体の防災組織を立ち上げました。これが「チーム防災」という自主組織です。4年前に生徒2人が中心になって出発した組織は、彼女たちが卒業した後も受け継がれ、現在は高校生を中心に20人ほどの組織になっています。

また、水俣方面を選んだ生徒の中には水俣病の最前線で活躍されている医師の話を聞いたことから医学部に進んだ生徒も。普段できない出会いを経験できるのがフィールドワークです。

そして高校2年では、グローバル・シチズンシップ育成の核となる「Kanagawaプロジェクト」の総決算として「探究学習」を行います。これまで経験してきた授業や総合学習、文化祭などの行事といった神奈川学園で得た学びをもとに、現在の自分の興味関心や、「これからの自分(進路)」あるいは「現代社会の課題」等に関わるテーマを選び、徹底して掘り下げる「神奈川学園での学びの集大成」としての取り組みです。
2024年度は、フィリピンで海上生活をしている少数民族の方(バジャウ族)が差別的な扱いを受けていることを知り、差別をなくすためにはどうしたらいいかを研究した生徒がいました。彼女は現地に行き、バジャウ族の中に入って、生活環境を体験した上で生活や差別の実態を知り、解消のための方策を考えて提起をしました。

探究学習では、ネットで調べるだけでなく、現地に出向いたり、自分で実験や観察を行ったりして調査を進め、数か月かけてレポートにまとめてクラスや下級生に発表します。優れたレポートは再び他学年の生徒の前でプレゼンテーションします。
神奈川学園では、こうした取り組みのほかにも、大小さまざまな講演会や研修を実施しています。その中の何かが生徒の心に引っかかってくれることがあればいいなと思っています。

2024年からスタートした
独自の「リーディング・プログラム」

「リーディング・プログラム」は、神奈川学園が長い期間取り組んできた「朝読書」を柱として、ICT機器の利用をセルフコントロールしながら、読書習慣の育成によって学力向上にもつなげようとするものです。10分間だった朝読書の時間を2024年度から15分間に延長しました。

この取り組みは、学力と読書、ICT使用の関係を脳科学の視点から研究する東北大学の榊浩平先生を学習アドバイザーにお迎えしたところから本格的にスタートしました。1年が経過し、さまざまなところに成果が生まれつつあります。

アンケート調査では、朝の読書の時間以外でも読書習慣がついてきていることがわかっています。また、『ビブリオバトル』と呼ばれる本の魅力を紹介し合う書評ゲームが行われたりする中で、生徒一人ひとりの読書の幅もひろがるようになりました。
受験前の高3でも朝の読書の時間では、進路に関わる読書をしたり、あるいはまったく関係のない読書でリフレッシュしている生徒もいます。

読書とICT機器利用を意識的に見直すこの取り組みは、今後さらに発展させていきます。

本校では、例年、35~40%の生徒が理系学部に進学していますが、2024年度は例年以上に多様な学部への進学が目立ちました。今後も、様々な出会いや経験を通して、生徒一人一人が自分自身や社会と向き合い、自ら進路を選びとっていけるようサポートしていきます。

神奈川学園中学・高等学校

取材時もあちらこちらで読書をする生徒の姿が見られました。(神奈川学園中学・高等学校)

神奈川学園中学・高等学校のカフェテリア

自然光が差し込むカフェテリアは生徒たちの憩いの場。放課後も友だちと談笑したり勉強したり、思い思いに過ごします。 (神奈川学園中学・高等学校)

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