2025 先生に聞く。東京農業大学第一高等学校・中等部が目指すこと

明治期の政治家、榎本武揚が設立した徳川育英会の育英黌農業科をルーツにもつ東京農業大学の隣に、東京農業大学第一高等学校・中等部があります。

同校の教育理念は「知耕実学」。敷地内に豊かな自然を擁する同校で、生徒はさまざまな実学を通して自らの“知の土壌”を耕し続けています。校長の幸田諭昭先生に目指している教育や学校の未来についてお話を伺いました。

お話

本物が耕す知識の畑
“農一”から世界に羽ばたく

東京農業大学第一高等学校・中等部
校長 幸田 諭昭 先生

東京農業大学第一高等学校・中等部の教育理念は「知耕実学」。これを噛み砕いていうと「本物に触れる“実学”によって知を耕す」という意味です。
机の上だけの勉強ではなく、世界中のさまざまな実際の事象に触れる・体験することによって、知識だけでない、生きる知恵や社会に通じる人間力を醸成していきます。

普段のカリキュラムや研修プログラム、学校が提供するものは全て「知耕実学」の精神に基づいており、五感で体験し、仮説を立て、検証し、考え、判断して、行動・表現するーーというプロセスを繰り返すことにより、思考力・創造力を育みます。

2026年に理想の教育を追求する新校舎が完成

東京農業大学第一高等学校・中等部

(東京農業大学第一高等学校・中等部)

2023年に新校舎「新2号館」が完成し、生徒たちの新たな学びと憩いの場になっています。2026年には「新3号館」が完成し、通路を兼ねた図書館や、廊下に博物館のように展示物が並ぶ複数の理科実験室、250人規模のキャパシティをもつホールなどが配備されます。設備として新しいだけでなく、気軽に使いやすいミーティングスペースなどが各所に設けられ、生徒同士、あるいは先生と生徒のコミュニケーションを加速させる仕掛けが施されています。
このリニューアルは単なる設備の刷新だけではない、一人ひとりの学びの深化につながることを目指したものなのです。

現在本校では「共創し、新たなステージへ」というスローガンを掲げています。ここで大事なのは「共に」ということ。人と人のつながりはもちろん、先人や偉人と共に、社会や世界と共に、多様性をもってクリエイトすることが、この先、さまざまな場面で大事になってくると考えています。

新2号館に生まれたラウンジは、まさにその共創空間の象徴です。休み時間や放課後に生徒たちの憩いの場になっているほか、互いに勉強を教え合うなど、建築前に思い描いていた光景が現実になっています。新たに生まれる3号館も同じように「それぞれの学び」がより一層発展していくことを期待しています。

東京農業大学第一高等学校・中等部

昼休みのラウンジの様子。たくさんの席があっという間に埋まり、購買は大忙し。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

農業への思いが生んだ多様なカリキュラム

本校は2024年に高校の募集を停止し、完全中高一貫校になりました。
中高一貫、6年間だからこそできるものを大事にしたいですね。例えば高校年代の修学旅行は、共創型国内修学旅行にアップデートされます。与えられた場所に行くだけでなく、生徒たち自らが企画し、実行します。
6年制だからこそじっくりと向き合える試みと言えると思います。

東京農業大学の専門職員の指導の下で行う農業関係のカリキュラムには、特に自信を持っております。
中学1年では稲作に取り組み、2年生になると米のおいしさを化学的に分析します。中3では味噌づくり、高1では醤油づくり(希望者のみ)など、体験から多くのことを学ぶのです。

中学1年の北海道自然体験研修では、1人1本ずつ新巻鮭を作ります。「鮭を捌くことにも学びがあり、知を耕す機会があるんです」と力を込めます。

観光地を訪れるのではなく、道東の大自然から多くのことを学びます。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

都心のほど近くにありながら、校内にはビオトープや雑木林など、豊かな自然を擁しています。生物部が特に盛んに活動していて、部活のために入学する子もいるぐらいですね。
各教科の垣根を超えて、関心を原動力に横断的に学ぶ「一中一高ゼミ」、シアトルに短期留学する「ブレイクスループログラム」など、さまざまな関心や体験を学びにつなげています。

学校生活を通して教養はもちろん、非認知能力、協調性なども高めて、羽ばたいてほしい。視野を広げて、いろいろな人に関わって世界で活躍してくれる人になってほしいと願っています。

東京農業大学第一高等学校・中等部 理科の実験の様子

賑やかな理科室では、アカムシの唾腺染色体を観察する実験中。中等部は週4回の理科の授業のうち、3回が実験に充てられます。「女の子は理系が少ないと言われたりもしますが、当校の生徒は男女問わず理科大好き!な子が多いです。みんな知的好奇心が旺盛ですね」と生物担当の松葉裕子先生。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

東京農業大学第一高等学校・中等部 ラウンジの隣にある自習室

ラウンジの隣にある自習室。先に場所を取らないと埋まってしまうことも多いそう。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

東京農業大学第一高等学校・中等部
東京農業大学第一高等学校・中等部

2026年に完成予定の新3号館。1階の図書館はまさに「知のコリドー」(東京農業大学第一高等学校・中等部)

東京農業大学第一高等学校・中等部 昼休みのひととき

各階にあるワークスペースでリラックスした昼休みのひととき。ラウンジ以外にも憩いの場がたくさんあります。至る所に生徒の姿があり、思い思いにキャンパスライフを楽しんでいる様子を感じとれます。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

東京農業大学第一高等学校・中等部 >先生と生徒が談笑する姿も学校中のあちらこちらで見かけます

先生と生徒が談笑する姿も学校中のあちらこちらで目にすることができます。時には冗談を言い合う関係性もステキです。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

東京農業大学第一高等学校・中等部 校内の雑木林

校内の雑木林では捕虫網を振る生物部の生徒の姿が。カブトムシやクワガタが採れることもあるそうです。近くには小さな畑などを備えたビオトープもあります。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

東京農業大学第一高等学校・中等部 第5回リアビズ高校生模擬起業グランプリで金賞を受賞したカードゲーム

第5回リアビズ高校生模擬起業グランプリで金賞を受賞したカードゲーム「届け、このコメント。 #とどコメ」。高校生目線でネット上の誹謗中傷を解決することをテーマに、実際に商品化もしました。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

東京農業大学第一高等学校・中等部の全面人工芝のグラウンド

全面人工芝のグラウンドで部活に汗を流す生徒たち。奥に見える3階建ての建物が新2号館。実験室やコンピューター室など最新設備が整っている他、屋上には待望のテニスコートも完成しました。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

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