2025 先生に聞く。神田女学園中学校高等学校が目指すこと

1890年、女子教育の必要性を痛感した初代校長の竹澤里先生が、幾多の試練を乗り越え、創立した神田女学園。
以来、女子教育の伝統は脈々と受け継がれ、「誠愛勤朗」という言葉と共に今なお学園の中に息づいています。
今の時代に不可欠な「言語教育」に特に力を入れるとともに、確かな学力に裏付けられた「教養」と「品格」を備えた女性の育成を目指します。

一人ひとりの夢の実現に向け、進化を続ける同校の教育内容について、広報部長 奥田礼章先生にお話をうかがいました。

お話


神田女学園中学校高等学校
広報部長 奥田礼章先生

未来の可能性を広げる
生徒が主役の学園生活

神田女学園は、2022年の芦澤校長就任を機に、教員が先導する教育から、子どもたちを後ろから見守る教育へとシフトチェンジしました。入学志願者数の低迷という厳しい時代を経て、これまでの指導方針に改善を加え、改めて「生徒が主役」という共通認識の下、新しい学校づくりを推し進めています。
当校は、語学教育を柱に据え、英語検定をはじめとした語学の資格取得にも力を注いでいますが、これまでは、この時期に英検4級まで、中学3年までに準2級を!と時期や結果を最優先し、生徒に負荷をかけてしまっていました。当然ながら、成長過程や、その時にやりたいことは一人ひとり異なるので、その生徒に合った時期や速度を見極め、スモールステップを積み重ねていくことが大切です。

また、ネイティブの先生と日常的に交流できる環境は、当校の大きな特長ではありますが、これまでは、先生方にも生徒にも、会話は英語オンリーでと強調していました。しかし、これでは当校の言語教育に興味をもち、意気揚々と入学してくれた生徒も、英語オンリーのルールに萎縮してしまい、意欲を失ってしまいます。コミュニケーションを取りたいという生徒の純粋な気持ちや好奇心の芽を摘んではいけないと考えました。

「英語で伝えるという課題をクリアしないとネイティブには伝わらないよ」という呼びかけから、「ネイティブは日本語も分かるけど、できるだけ英語を使おうね」に変えるだけで、校内に活気があふれ、今では学内のあちこちで英語と日本語が混ざり合った会話を楽しむ声が響いています。

神田女学園中学校高等学校のグローバルクラスは日本人とネイティブの先生のダブル担任制です

ホームルームから文化祭の準備、修学旅行まで、中学3年間はネイティブの先生が学年におり、生徒たちと生活を共にします。高校のグローバルクラスは日本人とネイティブの先生のダブル担任制です。(神田女学園中学校高等学校)

「好き」を「学び」に
社会とつながるNCLプロジェクト

10年以上継続して行っている「NCLプロジェクト」は、自然(Nature)、文化(Culture)、生命(Life)の分野から、自分自身でテーマを定め、課題解決に向けて取り組む探究活動です。

神田女学園中学校高等学校のNCLプロジェクト

中学1年から始まるNCLプロジェクト。中学生はポスターセッション形式で、情報収集やまとめ方、伝え方などのスキルを学び、高校では、高校一年時に決めたテーマを3年間かけて深めて、プレゼンや論文作成を行います。(神田女学園中学校高等学校)

生徒の興味・関心から始めることを重視しているので、テーマは医療関係からディスニー、K-POPまで多岐に渡り、我々高校の教師でも伴走することが難しい領域が増えてきました。そこで、より専門性の高い方にアドバイスをいただこうと、高大教育連携校の大学の先生方に協力を仰ぐことにしました。コロナ禍にオンライン環境を整えたこともあり、今では北海道の大学も含め、全国75校の大学と連携し、NCLプロジェクトを中心に、様々な教育活動をサポートしていただいています。

一年間取り組んできた成果を発表するのが、毎年3月に行う「NCLアワード」です。当日は、中学生を含め、すべての生徒のポスターや論文を学内に掲示するとともにプレゼンテーションも含め、高大連携協定校の先生方に審査していただきます。優秀作品には大学賞も与えられるので、生徒のモチベーションアップにもつながっています。

神田女学園中学校高等学校のNCLアワード

高大教育連携校の先生方を招いて毎年3月に開催するNCLアワード。今年は、43校の大学の先生に評価していただきました。(神田女学園中学校高等学校)

神田女学園中学校高等学校

高大連携を推進し、大学の体験授業に参加したり、現地で直接インタビューを行ったりすることが多く、探究テーマを深める機会にもなっています。(神田女学園中学校高等学校)

高校生の希望者には、探究テーマに関して大学教授に直接アドバイスをいただいたり論文を添削していただいたりする機会も設けています。
最近の例では、K-POP好きな生徒が、日本と韓国のカメラワークの違いをテーマに行った探究が面白かったですね。

韓国では、アーティストの至近距離から臨場感溢れるシーンを撮影するのに対し、日本はステージ全体が映るような引きのアングルが多いことに気付き、それがなぜなのかという部分を、様々な統計データなども交え検証しました。
大学教授の添削指導も受けながら粘り強く取り組んだ結果、40ページにも及ぶ論文が完成しました。

NCLプロジェクトに取り組むことで、生徒たちの進路に対する考え方も大きく変わってきました。
近年では、大学名で選ぶのではなく、大学や学部選択のしっかりとした目的をもって自ら進路を選びとる生徒が増えてきました。

「この大学でこの論文のテーマをさらに掘り下げたい」、「自分の探究を完結するためには、この大学で〇〇を学ぶ必要がある」など、中高時代に真剣に取り組んできたことのアピールと共に、明確な志望動機として伝えられることが、希望進路の実現へとつながっています。

生徒会や行事などにも主体的に関わる生徒が増え、自分たちの学園をもっとよくしていこうという意欲が高まってきたことを実感しています。この空気感を大切にし、一人ひとりの生徒が夢の実現に向かっていけるよう、しっかりと伴走していきます。

(神田女学園中学校高等学校)

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