桐蔭学園に国語科教員として勤務して早33年。中等教育学校の学年主任、高等学校の部長などを務め、中等教育学校の副校長を経て、この4月中等教育学校の校長先生に就任されました。変わりゆく社会に合わせ、進化し続ける桐蔭学園中等教育学校。新たにそのかじ取りを担う玉田校長先生にお話を伺いました。
夢中になれる楽しい学びで学力や人間力を伸長します
桐蔭学園中等教育学校は完全6年一貫教育を行う男女共学校です。「アクティブラーニング型授業」「探究」「キャリア教育」を教育の柱として、自ら考え判断し行動できる人物を育てています。「アクティブラーニング型授業」はすべての教科に取り入れています。
例えば「道徳」では、いじめ問題の解決策をグループごとに話し合い、意見をまとめて発表したり、短所として挙げた一面を仲間同士で長所に言い換えて伝え合ったりと、多角的に考え、主体的に発信することが求められます。
また1年生では「言語活動特別授業」を行います。私と学年主任の先生とで担当しており、絵を見て文章で説明したり、読み上げた物語を600字程度でまとめ上げる練習をするなど、対話、説明、スピーチの仕方や文章の書き方をしっかり身に付けます。
世界の課題に挑む「15歳のグローバルチャレンジ」はロビー活動も白熱します
「探究(未来への扉)」は教科の枠を超え、自ら学ぶ力を育てる授業です。5年生(高2)まで週1時間あり、3年生は「15歳のグローバルチャレンジ」に取り組みます。授業のゴールは年度末の「国連総会」。生徒たちは4人1組で世界のどこかの国の大使になり、諸問題の解決策を探ります。
2学期は練習として「国連弁当会議」に取り組み、世界中の人が食べられるメニューを考えます。「宗教上の理由で牛や豚が食べられない」「自国の経済を支えているカカオ豆をメニューに使って欲しい」など、各国がそれぞれの立場で主張と譲歩を繰り返し、「全会一致で可決」を目指します。これは世界大会7年連続出場を誇る模擬国連部の活動をベースとしたもので、グローバルな視座を獲得する意欲的なプログラムです。
生徒たちは、さながら本当の国連ロビイストのように、プログラムに組み込まれた公式発表の時間だけでなく、その合間に自らの立場と意見を主張しあい、賛同者を募るべくロビー活動を繰り広げるなど、リアルで実践的な活動を繰り広げます。
「自ら学ぶ力」を引き出し生徒一人一人の夢の実現を応援します
主体的に取り組む姿勢や協働性は、学校全体を活性化しています。生徒の自治活動もその一つで、生徒会の役員たちが中心となって学校を良くするためのアイディアを募り、妥当性を吟味し、要望書として私に持ってくることもあります。
昨年度(2021年度)は、生徒の希望をもとに、女子の制服に短い靴下の導入が実現しました。生徒主体、そして時代や社会に合わせて柔軟に変わっていく、これが桐蔭学園中等教育学校です。
教育の3本柱と共に創立当初から成果を上げてきた習熟度別授業も継続して行い、「学びに向かう力」から「知識・技能」までを包括的に捉えて伸ばし、今後の志望や進路に結びつけていきます。