「自主・自律」の精神と、「自学・自修・実践」を大切にする自修館中等教育学校。
独自のプログラム「探究」と「EQ」を教育の二本の柱として、自らの「好き」を突き詰める主体的な学びと、将来世界に貢献・活躍できる実践的な「生きる力」を育みます。
▲フーコーの振り子は、地球の自転の影響を受け、時間とともに変化します|自修館中等教育学校|神奈川県伊勢原市
正解は一つじゃない 友達や先生がいるから見えてくるもの
自修館の教育を象徴する「探究」。興味あるテーマを決めて、調べ、考え、仲間と意見交換することでさまざまな考え方を知り、自分なりの正解を見いだします。
探究修論を仕上げ、プレゼンすることで、相手に伝える力も育てます。これまでに生徒が選んだテーマは、「円周率の歴史」「象牙の密猟」「気象と水害」などさまざまです。
ある生徒が選んだテーマは「自分に人工内耳は必要か」。聴力障害のためにほとんど聴く力がなかった生徒によるもので、文部科学大臣賞を受賞しました。
「技術の発達によって、性能の良い人工内耳ができている。自分もそれを使えば音を聞き分けることができるようになるかもしれない。でも自修館では、障害ではなく個性として認めてくれる友達や先生がいて、共に学びながら、足りないところを補ってくれることで成長でき、克服できることを学んだ。だから自分には必要ない」というものでした。
その生徒は看護師になるために、聖路加国際大学の看護学部へと進み、看護師免許を取得して、今はアメリカの大学院で学んでいます。将来の自分を明確にし、その目標に向かってどうすべきかを考える探究授業の目的が生きている一例です。
▲2018 年にリニューアルした図書館。以前の約5 倍の広さになり、3 万冊の蔵書が収蔵可能。「探究」に役立つ文献がずらり|自修館中等教育学校|神奈川県伊勢原市|自修館中等教育学校|神奈川県伊勢原市
EQ(こころの知能指数)を育てることも大切にしています。IQが先天的なものであるのに対して、EQは後天的なもの。落ち着いて考えたり、感情をコントロールし、コミュニケーション力を磨くなど、社会に出たときに不可欠な「こころの成熟」を促します。
このEQ理論を応用して行っているのが「SS(セルフ・サイエンス)」の授業で、「道徳」を発展させた「こころの教育」です。
たとえば、ある生徒が「いつも退屈そうな顔をしているね」と言われたとします。それに対して落ち込むのではなく、なぜか?本当にそうなのか?改善するには?などを冷静に考えます。そして、鏡を見て自らを客観視し、笑顔の練習をしてみる。そんな工夫と気付きも、自学自修、実践への第一歩です。
常に意識する自分の変化と向上 そのベースを作る自修館の環境
生徒の一日は掲示板を確認して、やるべき優先順位を考えることから始まります。また、らせん階段から続く「フーコーの振り子」は、日々の刺激によって、変化・向上することの大切さを静かに教えてくれます。さらに、6年間使い続ける机と椅子は、体の成長に合わせて調整することで、自らの変化と成長を実感します。
校内に響く生徒たちの笑い声は、好きなことを見つけて伸び伸びと成長する毎日の象徴。生徒の未来を支える「本物の生きる力」を育むことが目標です。