中学受験する?塾は決めた?
という会話がいよいよ本格的になってくる、小学校低学年の終わり頃。
心配が尽きないうちの子が受験だなんて想像もつかない、というお悩みをもつ親御さんは少なくありません。
あるいは周りの子たちとの相性が合わず、解決策として中学受験を考えている方もいらっしゃるでしょう。
子育て応援プロジェクト「気になるこんそーしあむ」では、そんなお悩みに応えるべく、
プロフェッショナルを探し出し、アドバイスを頂いてきましたので、ご紹介します。
中学受験はあらためてわが子の特性と向き合う絶好の機会
必死になって幼児期を乗り越えて、いよいよ小学校。最初の頃は周りの子についていけるかどうかの心配があったけれど、低学年が終わりに差し掛かって「うちの子はもう大丈夫かな」と思った矢先、今度は中学受験というテーマを目の当たりにし、その不安感によって途方に暮れている親御さんは少なくありません。
そもそも、中学受験はしなければならないものではないし、習い事を通わせることすら大変で、ましてや日々の宿題もふくめて、学校の勉強についていくことで精一杯な日々。
そんな我が子を、さらに大変な状況に置くことは考えられないと思っているのに、周りとの会話で「塾は決めた?」とか「中学受験どうする?」という会話を耳にして、言うようのない不安感が湧いてくる、というのはよくあることでしょう。
どうしても周りの子と比べてしまい、習い事はもとより、学校の先生からのさまざまなフィードバックによって、日々の学習の成果が見えるようになってくると、それまでなんとなく感じていたデコボコな部分が、より鮮明にわかるようになり、また心配の種が膨らんできます。
それでも「うちの子は大丈夫」とまるで、自分を言い聞かせるような想いによって、実際にわが子が出しているサインを見落としてしまうケースも少なくありません。
事実、高学年になってから、学校の勉強や生活で求められる水準が上がり、結果的に適応しきれずに周りがその子の特性にようやく気づくことがあります。
いわゆる「発達」に関するお悩みは、このようになんとなく過ごせてきてしまってから専門家に相談するというケースが多くなります。
俗に言う「グレーゾーン」とよばれる子には、普通な部分と苦手な部分が混ざっているため、いざ検査をしても数値としては悪くないケースが多いのです。
したがって、素人がみても日常生活ではなかなか気づいてあげられません。
逆にいえば、むしろ診断名が明確につくケースは全体の1割にも満たないと言われています。
中学受験という具体的なテーマを目の当たりにしたときこそ、あらためてその子の特性と向き合う絶好の機会かもしれません。
やり方によっては、適切な解決策につながる可能性もあります。
もちろん、すべての子に該当するわけではありませんが、少なくとも専門家に相談することによって、中学受験をすべきかどうかの判断基準が得られることができます。
親御さんからわが子を客観的にみて少しでも気なることがあれば、専門家にその心配をぶつけてみましょう
発達障害をはじめとして、グレーゾーンやギフテッドといわれる子たちへの支援ならびに学習指導が進んでいるといわれるアメリカの教育現場には、アコモデーションに取り組むことで、親からはもとより、周りからも心配だと思う子でも、普通教育にきちんと適応できさえすれば中学受験によって将来の選択肢を増やせる可能性を高めることができるのです。
いずれにせよ、まずは親御さんからわが子を客観的にみて、少しでも気になることがあるのであれば、まずは学校や専門の施設に、その心配をぶつけてみることが重要です。
「発達」という言葉を目にすると、すぐに「発達障害」と想起してしまいがちですが、これからは「よりよい発達」としてポジシブに捉えてください。
そうすることで、ある種の抵抗がなくなり、積極的に動いた親御さんは多くいます。
もしもわが子が「発達障害」と診断されても、それには対応方法があります。
大切なのは我が子の特性を正しく理解し、それに合ったよりよい環境を提供することです。
何よりも「時間切れ」が可能性をなくしてしまう最大の要素。悩んでいるくらいなら直ぐに動いて前向きにチャレンジしてほしい
中学受験で一つ気をつけてもらいたいことがあります。
それは発達に関して相談した支援センターや学校、あるいは知り合いから私立を勧められたとき、私立の学校を選ぶことが唯一の、あるいは最高の解決策だと思いこんでしまわないことです。先述の通り、その子の特性によっては適切な解決策になる得る可能性はありますが、必ずしもそうではないのです。
私立学校の良いところは、その成り立ちからみて、一人ひとりの生徒に対して、普通級よりも比較的前向きかつ合理的配慮に取り組んでくれる、また独自の学習のカリキュラムや文化がある、といったところでしょう。
つまり、私立だからではなく、あくまでもその子にあった環境であるかどうかが大事なポイントなのです。
また勉強が苦手な子にとって、受験すること自体がハードルが高いのは事実です。
ただ、勉強が本来苦手じゃないのにやり方がまちがっていた、ということもありますので、その子の特性に合わせた工夫をすれば対処できる場合もあります。要するに、わが子の特性を正しく理解して適切に対応することが大切なのですが、仮に発達に課題があったとしても、それは他の子よりゆっくり教えてあげればいいことでもあります。
何よりも「時間切れ」というのが可能性をなくしてしまう最大の要素なので、何も動かず悩んでいるくらいなら直ぐに動いて、前向きにチャレンジしてほしいですね。
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