▲講堂で行われる全校ミサ。コロナ禍では2学年ずつで実施|聖園女学院中学校・高等学校
大切なのは自ら考えること
そして広い視野をもつこと
私の趣味は生徒にイジワルをすることです(笑)。たとえば私が「人生とは商売だ」と言うと生徒は「人との関係に売り買いが発生するのですか?」と誤解し、困惑します。
しかし、当然そういう意味ではなく、自分がもっているすばらしい考え方や価値観を自分だけのものにせず、他人と共有しなさい、というのが真意です。これはキリスト教の「自分と同じように隣人を愛しなさい」に通ずるのです。
▲総合探究プログラムで、持続可能な支援「食プロジェクト」を発表したグループ「Sky Blue」|聖園女学院中学校・高等学校
総合探究プログラムが育てる
広い視野と判断する力
▲鳥獣保護区にも指定されている緑豊かな環境は聖園の大きな特長です|聖園女学院中学校・高等学校
総合探究プログラムは、自ら課題を見つけ、調べ、考える力を養うことが目的で、SDGsも視野に入れています。
中1のある日の授業では貧困について考えました。生徒たちは毎日学校に通い、勉強できるのが当たり前としか感じていません。しかし世界には、貧困がゆえに学ぶことが許されない子どもがたくさんいます。そこでお招きしたのが修道会の神父様です。
彼はフィリピンでボランティア活動を行っており、貧しい家庭でも教育が受けられるよう、現地に学校を建てました。子どもにとって教育がなぜ必要なのかも問いかけます。アメリカ人である神父様は、日本語だけでなく、英語でもお話ししてくださいます。用意してくださる資料も、日本語と英語の両方が使われています。生徒たちは自分たちとは異なる環境があること、SDGsの真の意味、さらに、海外でも役に立つ人になるためには英語を学ぶことが必要だと気付きます。
▲宗教の授業は聖書を使い、自分や他者を愛し、優しく思いやりのある心が育っています|聖園女学院中学校・高等学校
中2が取り組むのは企業インターンプログラムです。生徒たちになじみが深い日本の企業から出された課題の解決策を考えます。たとえば、あるグループのミッションは乳業メーカーからの「ミルクプロテインを女性にもっと使ってもらうためには?」というもの。商品の特長について情報収集を行うことで開発者の思いや社会への貢献性を知り、それをタブレットを使ってCMとして仕上げました。
各グループの成果は全校生徒の前でプレゼンテーションし、優秀作品は全国大会に出場します。
▲企業の課題解決にグループで取り組みます|聖園女学院中学校・高等学校
中3のある日の授業のゲストは弁護士でした。生徒から「なぜ、悪い人の弁護をするのですか」という質問が出ました。「人間には立ち直れる可能性が必要。我々はそのサポートをしている」という弁護士の冷静な回答を、生徒たちはさまざまな思いで受け止めたことでしょう。
私たちは、正解を教える授業を日々行っているのではありません。正解を自分で見つけるためにどうすればいいかを考えられる人を育てているのです。そして、その根底には、キリストの教えに基づいた愛があります。
お話を伺ったのは
校長 ミカエル・カルマノ先生