▲生物室、化学室、物理室があり、中学3年間で100を超える理科の実験を行います|多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校
先生が楽しむ姿勢に感化され
生徒も学びの楽しさを知る
2018年度から始まった「A知探Q(えいちたんきゅう)の夏」は、夏休みの4日間を使って行われる特別講座です。2019年度は全部で32講座。先生方が得意とする内容をゼミ形式で行います。例えば、ボクシングで国体出場の経験もある教員による「ワンツーパンチで世界を制す!」は、ボクシングの歴史やルール、そして対戦相手を敬う心を学びます。
また、多摩大学の栄養学の先生の協力のもと行われた「美味しいプリンの科学」は、卵に砂糖が入るとタンパク質の凝固のタイミングが変わることを使って、よりおいしいプリンを科学的に作るというもの。
「教師が楽しまなくては、生徒も楽しめない」をモットーに、講座はそれぞれの担当教員がCMを作って生徒を集めるというのも、多摩大聖ヶ丘(以下、タマヒジ)ならでは。教員の「本気」を知ることで、生徒も「本気」で取り組みます。
▲2021年度の「A知探Qの夏」は20の講座が用意されています。楽しみながら学びの姿勢を身につけることを目標に、先生も生徒も全力で取り組みます|多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校
また、カンボジアスタディツアーも注目です。こちらは、1年間かけてカンボジアの現状と課題について継続的に学び、3月に現地を訪問します。長く続いた内戦のつめ跡、現地で暮らす人々の生活、児童養護施設訪問のほか、世界遺産アンコールワットも訪ねる5泊6日は、貴重な体験の連続です。
その後、文化祭での成果発表とともに、児童養護施設への支援物資を集める活動など、社会貢献にも取り組みます。
身近な社会問題に取り組む
探究学習を正課に
▲「コロナで奪われた笑顔を取り戻そう」と、生徒の発案で実現した2020年夏の花火大会|多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校
「A知探Qの夏」と10年間取り組んできた中3の「卒業論文」のスキームを生かし、2022年度からは、高1、高2で「探究」を正課の授業として取り組む予定です。
大テーマはタマヒジのある「多摩市」。日本最大規模の多摩ニュータウンを知ることで、高度成長期という現代日本の根幹に触れ、現在直面する高齢者支援にも目を向けます。さらに自然豊かなこの地域の環境保全や地域の活性化など、学びは限りありません。
高1で論文作成の基礎を学び、高2からは10人程度の生徒と1〜2名の先生が1チームになって、ゼミ形式で探究を深めます。
▲2020年夏の花火大会。消防署への申請をはじめとした準備、企画、運営はすべて生徒の手で行われました|多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校
また、これに並行して地域との関わりも大切にしています。放課後「○町の××さんの畑でトウモロコシの収穫のお手伝いをします。参加できる人は昇降口へ」という校内アナウンスとともににこやかに集まる生徒たち。また、多摩市の課題解決のために、39歳以下の有志が集まる「多摩市若者会議」には、タマヒジの生徒も参加しています。
地域に目を向けることがグローバル教育の第1歩です。タマヒジの6年間で、自ら考え、課題を発見し、行動できる人を育てます。
お話を伺ったのは
校長 石飛 一吉先生