続く中学受験人気傾向
少子化が進む中でも、中学受験人気は依然として続いています。特に首都圏・関西圏での受験者数はここ数年増え続けているというのが現状です。
この背景には、文部科学省が推進する「2020年教育改革」があります。世界で活躍できるグローバル人材が求められているなかで、6年かけて人材を育成することに定評がある中高一貫校に人気が集まっています。また、現在は入試改革の先行きが不透明な部分があります。そのため、大学への進学枠のある附属中高一貫校の人気も高まっています。
□ 「2020年教育改革」を契機に志願者動向が変化している
□ 中高一貫校の志願者数が増加
□ 国公立の大学附属校の人気も拡大
必要なのは知識の活用
これまでの私立中学校受験では、知識の量に重きが置かれていました。一方で2020年教育改革を契機に重視されているのが知識の活用です。
入試で求められる知識の量が減った一方で、教育改革のキーワードである「思考力」「判断力」「表現力」を問う問題が激増しています。
また、入試形式が多様化し、今までにない新しい入試形式が増えています。
2020年度入試で話題となったのが「算数1教科入試」です。文章題を中心として、理科や社会との複合的な問題や記述式の問題も出題されました。これは「算数の突出した能力を見る」というよりは「算数を通じて教科横断的な力を問う」という色合いのもので、1教科で「思考力」「判断力」「表現力」を問う傾向が窺えます。
そのほか、小学校で必修化された「英語」を利用した入試や、公立中高一貫校入試で出題されている「適性検査型入試」を導入する私立中学校も増加しました。
□ 「国・数・社・理」以外の形式で学力を問う中学が増加
□ 志望校にどのような出題形式があるのかチェックしておく必要あり
□ 1教科入試、適性検査型入試を導入する学校が増加
□ 知識の量だけでなく、知識を活用する問題が増える
□ 志望校に合わせた受験対策がカギとなる
□ 資料を読み取り、知識と結びつけて解く思考力を問う問題が増加
教えて! トライさん中学受験のギモン
教育プランナー
トライさん
小学校で習うことが完璧にできているなら、中学受験には対応できるのでしょうか?
私立・公立どちらを受験する場合も、学校の勉強とは別にしっかり受験の対策をすることが必要です。入試で出題される問題は学校で習う内容よりはるかにレベルが高いからです。
例えば私立中学校の算数では「旅人算」「流水算」「仕事算」といった、一般的に小学校では習わないテクニックが要求される「特殊算」という問題が出題されます。また公立中高一貫校の入試では、覚えるべき知識量は小学校で習う範囲で十分ですが、その知識を活用して初見の問題に対応し、解答を導き出すトレーニングが必須です。
勉強に際して、意識すべきことを教えてください。
学年ごとに異なるので、それぞれについてお答えします。
▶小学1年~3年 基礎の習得&学習習慣づけ
低学年は難問にチャレンジするよりも、学校で習う基礎内容をしっかり理解し、学習習慣を定着させることが大切です。「学ぶことが楽しい」と思えるように、保護者が学習環境を整えてあげましょう。
▶小学4年~5年 重要単元の習得&解答力養成
中学受験で必要となる基礎単元を着実に定着させることを目標にしましょう。解答に至るまでのプロセスを人に説明できるようになっているとベストです。保護者が聞き役になってあげるとよいでしょう。
▶小学6年 弱点克服&志望校別対策
志望校の入試傾向をもとに、どの分野にどのくらいの時間を割くべきかを戦略的に決めて、学習を進めていきましょう。苦手単元は早めに克服しておくことが大切です。受けた模試の振り返りをしっかりと行うことが実力アップのカギとなります。
私立中・高と公立中高一貫校の違いを教えてください。
中学受験といえば「私立」をイメージする方もいるかもしれませんが、近年は「公立」の中高一貫校の人気も高まっています。全国の中高一貫校数は636校(※1)で、入試科目には次のような違いがあります。
私立中学校 | 公立中高一貫校 | |
---|---|---|
入試科目※2 | 国語・算数・理科・社会(・英語) | 適性検査Ⅰ・Ⅱ |
入試の特徴 | 算数の特殊算など小学校の授業では扱われない、独自の問題が出題される。出題内容や問題形式は学校ごとに大きく異なるため、志望校に合わせた対策が必須。知識だけでなく、高い思考力を求める学校も多い。 | 国語・算数といった科目形式ではなく、分野横断型の入試が課されるのが特徴。世の中の様子や出来事と、学んだ知識を紐づけながら解く必要がある。記述型の問題が出題されることが多く、文章表現力が問われる。 |
※1 文部科学省「学校基本調査」を参照
※2 首都圏の場合
志望校選びのコツを教えてください。
志望校を選ぶ上で押さえておくべき5つの観点を紹介します。
- カリキュラム……英語教育やICT教育、キャリア教育など、学校がPRしているカリキュラム
- 学校の雰囲気……学校の理念や実際に通う生徒の様子など(文化祭や説明会に足を運ぶのもおすすめ)
- 進学実績……一般受験の実績や、指定校推薦や内部進学の枠など
- 通学時間……自宅から学校までにかかる時間や、電車の乗り換え回数など
- 入試難易度……偏差値情報をチェック。模試によって偏差値は大きく異なるため要注意
このページは、家庭教師のトライのWEBサイトを引用して作成しています。