2015年にスタートした「子ども・子育て支援新制度」は、子育てを社会全体で支えていこうというもの。子育て世代にとっての大きな朗報は、2019年から開始された「保育料の無償化」です。
さらに、待機児童対策として0~2歳を対象にした「地域型保育」も加わりました。
0歳から3歳のお子さんのいるご家庭では、幼稚園や保育所、こども園などへの入園を考えると思います。その際最も悩むのが「何歳からどこに通う?」ということ。そこで知っておきたいのが「子ども・子育て支援新制度」。ここでは、保護者にとって大きく関わる保育認定を中心に説明します。
保育認定とは
幼稚園や保育所、こども園などの施設利用を希望する際、「保育の必要性の認定」を市町村に申告し、1号・2号・3号のいずれかの区分に認定してもらいます。お子さんの年齢や保育を必要とする事由などによって、認定される区分が異なり、利用できる施設や条件なども変わってきます。
1号・2号・3号」とは?
◇1号認定
お子さんの年齢が3歳から5歳で「保育を必要とする事由」に該当しない場合です。
◇2号認定
3歳以上で、保育を必要とする場合です。共働きの場合、フルタイムだけでなく、時短やパートのほか、市町村によっては在宅ワークも含まれることもあります。
◇3号認定
保育を必要とする事由に該当する3歳未満の子どもは3号認定を受けることになります。利用条件や申請方法は2号認定と同じです。3号認定は保育所、認定こども園、地域型保育を利用できます。
あなたの認定を確認してみましょう
※1 必要に応じて一時的預かりなどの利用可
それぞれの認定で利用できる施設
1号認定 | 幼稚園・認定こども園 |
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2号認定 | 保育所・認定こども園 |
3号認定 | 保育所・認定こども園・地域型保育 |
各施設への申し込み手順
1号認定の場合
(幼稚園・認定こども園)
1.幼稚園などの施設に保護者が直接申し込む。
2.施設から入園の内定を受ける。
3.施設を通じて市町村に認定を申請。
4.施設を通じて市町村から認定証が交付。
5.施設と保護者が契約。
2号・3号認定の場合
(保育所・認定こども園・地域型保育)
1.市町村に保護者が認定を申請。
2.市町村が「保育の必要性」を認めた場合、
認定証が交付。
3.市町村に利用希望の申し込みをする。
4.申請者の希望、施設の状況、保育の必要性の
程度に応じて市町村が利用調整を行う
5.利用先の決定後、契約。
■よくわかる「子ども・子育て支援新制度」(内閣府ホームページに飛びます)
それぞれの施設の違い
幼稚園(3〜5歳)
幼児期の教育を行う学校で、昼過ぎごろまでの教育時間に加えて、園によっては午後や土曜日、
夏休みなどの長期休み中の預かり保育などをしています。利用できる保護者の制限はありません。
保育所(0〜5歳)
家庭で保育ができない保護者に代わり、保育する施設です。
夕方までの保育に加えて、園によっては延長保育を実施しています。
共働きや親の介護などの事情により、家庭で保育ができない保護者が対象となります。
認定こども園(0〜5歳)
幼稚園と保育所の特長や機能を併せもっており、地域の子育て支援も行っている施設です。
0〜2歳は夕方までの保育のほか、園によっては延長保育も実施しています。保育所と同様に、家庭で保育ができない保護者が対象です。3〜5歳は昼ごろまでの教育時間に加えて、保育を必要とする場合は夕方までの保育も実施しています。利用できる保護者の制限はありません。
地域型保育(0〜2歳)
原則として20人以上の保育所より少人数で、0〜2歳の子どもの保育を行います。夕方までの保育のほか、園によっては延長保育も実施しています。こちらも保育所と同じく、家庭で保育ができない保護者が対象です。
入園前に知っておきたい!幼稚園選びお役立ち用語
幼稚園・保育所・こども園
行政的には幼稚園は文部科学省管轄で学校教育法に基づいた学校、保育所は厚生労働省管轄で児童福祉法に基づく児童福祉施設のひとつです。
つまり、幼稚園は3~5歳児の心身の発達を促す教育の場であり、保育所は親が働いていたり、病気などで保育を必要としたりする0~5歳児を保護者に代わって保育する場と区別されています。
認定こども園は、幼稚園・保育所の特徴を併せもち、保護者の就労の有無にかかわらず就学前の子どもに幼児教育・保育を提供し、さらに地域における子育ての支援を行う施設です。
満3歳児入園
通常、年少入園は4月1日までに3歳の誕生日を迎えた子どもを対象としていますが、少子化や育児支援の流れを受けて、文部科学省は2000年度から幼稚園に入園できる年齢を満3歳の誕生日を迎えた時点まで引き下げ、4月を待たなくても入園できるようになりました。
つまり、年少組のひとつ下の学年でも4月2日以降に3歳のお誕生日が来れば、年少組に入園してもいいという制度です。ただし、これはすべての幼稚園で実施しているわけではありません。実施している幼稚園でも、入園時期はお誕生日当日からとか、お誕生日の翌月からなどまちまちです。詳しくは各園に確認しましょう。
未就園児保育(プレ保育)
未就園児を対象に、一部の幼稚園が実施しています。通園期間や保育時間、保育形態や内容は園によってさまざまです。詳しくは各園に確認しましょう。
預かり保育(幼稚園独自のもの)
幼稚園の1日の教育時間は、9時頃から14時頃までの約4時間程度ですが、「もっとお友達と遊びたい」「保護者の不調や家族の介護」「突発的な事由」などのニーズに応えて、保育時間外に預かり保育を実施している園も多くあります。
幼児教育・保育の無償化とは
2019年からはじまった「幼児教育・保育の無償化」は、幼稚園の預かり保育も対象となる場合があります。ここでは、横浜市を例にとって説明します。
未就園児保育(プレ保育)
横浜市私立幼稚園預かり 保育事業(市型預かり保育)~わくわく!はまタイム~
横浜市私立幼稚園等預かり保育事業(以下、市型預かり保育)は、横浜市の認定を受けた幼稚園・認定こども園が実施しています。
横浜市在住の園児の保護者が就労や病気などで、園の正規教育時間の前後に家庭で保育ができない場合に、利用することができます。
国が定めた預かり保育の無償化の対象となるのは、2号・3号認定を受けた園児ですが、横浜市では国の無償化対象とはならない園児についても市独自助成によって、無償化の対象とします。
◆開設時間(原則)
【月~金】7:00~18:30(園の正規教育時間を含む) 【土】7:00~15:30(「平日型」は土曜休園)
【長期休業日】夏休み、冬休み、春休みも実施。
対象年齢 | 7:30〜9:00 | 9:00〜14:00 | 14:00〜18:30 | 18:30以降 |
満3〜5歳児 | 預かり保育 | 園の正規教育時間 | 預かり保育 | 延長保育 |
◆利用料金
・満3歳児市民税非課税世帯、3~5歳児 : 0円 ・満3歳児市民税課税世帯 : 0~9,000 円
※詳細は各園に。なお、一部の園で実施されている18時半以降の延長保育は、無償化対象外です。
時間、料金等については各園へお問い合わせください。
◆預かり保育の利用ができるのは
「市型預かり保育を実施する園に通い」「横浜市から1号認定を受けた子供」の保護者が下記のような
状況で保育を必要とする場合です。
【保護者の状況】
・月48時間以上働いているとき ・出産の準備や出産後の休養 ・病気やけが、障害
・病人や障害者、要介護者を月48時間以上介護しているとき
このほか、「災害の復旧にあたっている」「求職中」「大学や職業訓練校などに通っている」
「虐待やDVの恐れがある」なども対象となります。
なお、保護者のいずれかが育児休業中の場合は利用できません。
また、お子さんの年齢や保護者の状況に応じて、2号・3号認定を受ける必要があります。
◆利用を希望する場合
園へその旨を伝えて相談しましょう。利用の際には「就労(予定)証明書」等の書類が必要となります。
掲載書籍「幼稚園ガイドブック&よりよい発達ってなんだろう?」