スタジオマーティ駒沢大学では、就学前の幼児から高校生まで、本格的にバレエを学べるmartyジュニアバレエアカデミーを開校しています。美しい音楽に合わせて踊るレッスンは、感性や表現力を養う情操教育にもぴったり。主任講師の本馬亜紗花先生はクラシックバレエを学ぶ一環として、自立や思いやりなど心も育んでほしいとの思いで、生徒一人一人と接しています。
初心者からプロを目指す生徒まで幅広く対応
――ジュニアバレエアカデミーを開講されたきっかけを教えてください。
本格的なバレエを学ぶことができ、プロを目指すお子さんにも対応できるバレエスクールを作りたいという思いがずっとあり、その実現のために駒沢大学スタジオに、幼児から高校生まで継続して学べるジュニアバレエアカデミーを開校しました。
――幼児から高校生までが対象ですが、どのようなクラス分けになっているのでしょうか。
幼児から小1までがベビークラス、小2から小4がエレメンタリーI、小5から小6がエレメンタリーII、中学生がジュニアI、高校生がジュニアIIとなっています。しかし、厳密に年齢で区別しているわけではありません。
年齢が上のクラスになるほど1回のレッスン時間も長くなるので、バレエを踊る集中力が続かない子には難しいという場合もあります。レッスン内容も年齢によって変わってきます。ベビークラスはバレエの楽しさを知ることや、音楽に合わせて動くことがメインで、基礎をしっかり教えるのはエレメンタリーになってからです。
それは、骨格や筋肉ができあがっていないうちに無理をすると、体が歪んでしまうといった深刻な問題になることもあり、成長に合わせてレッスン内容を考える必要があるからです。体の成長は一人一人違いますから、その子の特性や成長度合いを見て、所属するクラスを決めています。
生徒一人一人に合わせて踊り方をアドバイス
――教えるに当たって、工夫しているのはどんなことでしょうか。
私は踊りで何かを表現すること、他人に思いを伝えられることが楽しくて、もっと踊りたい、学びたいという思いで、カナダのスクール・オブ・アルバータバレエに留学しました。
卒業後はアルバータバレエ団に入団して、さまざまな役を踊らせてもらいましたが、最初に留学したとき、アジア人と西洋人の体型の差に、非常にショックを受けました。元の体型や手足のバランスが違うので、同じように踊っても、アジア人である私のほうが劣って見えてしまうのです。そのため指示されたとおりに踊るのではなく、同じように見せるための工夫を自分なりに考えていました。
ところが、自分が教える立場になってみると、同じ日本人であっても一人一人体型は違うし、私のやり方、見せ方が生徒全員に通用するものではないとわかりました。いまでは、それぞれの生徒さんに合わせた見せ方やアドバイスの仕方を常に考えています。
技術だけではなく、心も成長できるのがバレエの魅力
――バレエを通して、生徒さんにはどんなことを身につけてほしいと思いますか。
バレエを続けるためには、自立心が非常に大切になります。バレエを通して何かを伝えていくためには、まず自分というものをしっかり確立しなくてはなりません。言われたからやる、みんながやるから自分もやるといった受け身では、テクニックすらなかなか上達しないでしょう。
さらにバレエのコンクールに出場する、バレエ留学するといったときには、さまざまな手続きも必要ですし、自分ひとりで決めなければならないことも多くなります。そのためにも自立心は、身に付けてほしいと思っています。
またバレエは、他人との協調性も必要です。一緒に踊る人と心を一つにしなければ、きれいに揃った踊りにはならないのです。レッスンであっても、他人と時間を共有するのですから、自分勝手に振る舞っていては迷惑になってしまいます。自立心と同時にほかの人に対する礼儀や配慮も学んで、人間的にも成長してほしいですね。そういった心が学べるのも、バレエの魅力のひとつだと思います。