この問題お子さんにどう教えますか?~学研教室~


▲幼児 ちえ10級(年長相当)の教材

これは学研教室の年長児向け教材、グループの中から仲間が違うものを見つける問題です。もし、お子さんがおうちでこの教材に取り組む場合、皆さまならどのように教えますか?

今回は教材をどう教えることが効果的か、という事例を通し、「子どもの思考力を伸ばす言葉がけ」について、学研 たまプラーザ教室の小橋先生にお話を伺いました。

Q.最近よく耳にする「思考力」ってなんですか?

思考力とは、簡単に言えば「考える力」のことです。2020年の学習指導要領改訂によって、この「思考力」を伸ばしていくことが、変化の激しいこれからの時代を「生きる力」につながるとして重要視されるようになりました。

Q.子どもの思考力を伸ばすために、どんな学習をすればいいのでしょうか?

子どもの思考力を育てるためには、親子の会話が何より重要です。塾の指導者である私が言うと不思議に感じるかもしれませんが(笑)。就学前の幼児に学習させようとしても、なかなか大変ですよね。それは「学習」=「お勉強」と感じさせるからかもしれません。とくに幼児期は、「目の前のことを楽しむ」ことが大切。目の前の自然や生き物や事象について親子で楽しく会話し体験したことが、のちの小学校以降の学びの中でいきてきます。記憶の中の経験が何かのタイミングで再登場した時の「そうか!」というひらめきは宝物。当時の思考が知識と結びつく瞬間です。ぜひ、お子さんとの「会話」を楽しんでください。

Q.子どもと関わる時、具体的にはどのようなことを意識していくと良いのでしょうか?

親子で会話するとき、意識すると良いことは、「子どもの気づき」を促す言葉がけです。例えば、「どうして〇〇なんだろう?」というような、子ども自身が「考える」「気づく」きっかけとなる質問です。質問を投げかけられると、思考がスタートします。身の回りのあらゆることに対して興味を持ち、自分で考えることが習慣になり、思考力向上へとつながっていくのです。
幼児教材での学習も例外ではありません。学研教室の幼児教材やカリキュラムは、このふれあいを通した学びを疑似体験できるように作られています。そして、教材の意図や良さをさらに活かすためには、適切な「言葉がけ」がとても大切です。

冒頭でご紹介した「仲間が違うものを見つける問題」では、一定の割合で模範解答とは違う選択肢を選ぶお子さんがいます。そんなとき私たち(指導者)は必ず「どうしてそれをえらんだの?」と理由をたずねます。例えば、この問題では、貝の絵を選ぶ子が一定数います。理由をたずねると「ほかは全部生き物だけど、これは貝殻だから」などと答えます。確かにこの問題の中で、貝の中身があるかないかは描かれていません。ですから、この答えもまた正解なのです。ちなみに私は、模範解答を選んだ子にも同じ質問をします。大切なのは、答えが正しいかよりも、自分の選択を自分の言葉で説明できることです。

Q.小橋先生が幼児の指導の中で大切にされていることは何ですか?

学研教室のモットーにもなりますが「ゆっくり、じっくり、ていねいに」を大切にしています。幼児さんはどんどん新しい教材をやりたがる子が多く、そのやる気はすばらしいです。ですが、一枚一枚の教材にじっくり向き合い、丁寧に取り組むことを小さいうちから習慣化することで、忍耐力や集中力の向上に確実につながっていきます。


▲点と点をていねいに結ぶ教材。線がつながっていないものは直してもらいます。

また、先ほどもお話したように、学研教室の教材には子どもたちの「気づき」のきっかけになるエッセンスがふんだんに散りばめられています。季節の行事、生き物、四季折々の植物の名前など、学びの中で自然と語彙が増えていくように作られています。そこに指導者が適切な言葉がけをすることでの効果を得られるのです。

▲色を塗る教材。「これは何のはっぱか知っているかな?」「いちょうの木をみたことがある?」などの言葉がけから子どもの気づきが広がります。

学研 たまプラーザ教室では、季節ごとに子どもたち参加型の壁面アートを作成しています。この秋のお題は「言葉で秋を彩る」。五十音の任意の一文字をランダムで子どもたちに配り、その文字から始まる「秋」を絵と文字で表現してもらいました。文字によってはかなり難しかったと思います。しかし、これはあえての「指定」でした。子どもたちには、おうちの方との会話を楽しみ、自分で考えて欲しかったからです。

▲季節ごとに子どもたちと作り上げる壁面アート。一人一人が考えた「秋」の風物詩が並びます。(学研 たまプラーザ教室)

子どもたちから出てきたカードは、「日本の秋」「読書の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」「秋の味覚」など、本当に様々でした。この「与えられた材料を用いて自分なりに表現する」ことは、思考力、表現力、活用力につながる取り組みなのです。ここでも重要なのは「楽しむ」こと。そしてお友達の作品をみて「なるほど!それもあるね!」と気づくことです。

これからの日本における教育では、試行錯誤したり、実体験で得た感覚が重要になります。豊富な実体験からは、新しい知識を得たときの「なるほど!」という納得感が生まれやすくなります。また、手を使ったお絵かきや工作などの体験は、認知能力、空間認知力、線対称や点対称といった図形の学習にもつながります。楽しみながら体験を積み重ねていくことが、思考力、表現力の土台となり次につながっていくのです。

Q.最後に、今幼児のお子さんをお持ちの保護者の方に伝えたいメッセージがあればお願いします

学研 たまプラーザ教室のキャッチコピーは「わかるって、たのしい。たのしい!」なんです。子どもたちから「しょうこ先生きびしい~」と言われることもありますが(笑)。子どもたちの学力を伸ばすためにも、今は親子の関わりを大切にして、「たのしい!」と感じる経験を沢山積み重ねていただけたらと思います。そして、その「楽しい体験」の一つとして、学研教室の学びも是非体験してみてください。指導者一同、楽しみにお待ちしています。

お話を伺ったのは

学研たまプラーザ教室 小橋 晶子先生

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