A.まずは規則正しい生活を心がけて。気になるようなら皮膚科医に相談を
薄毛予防は食事や適度な運動など、生活習慣の改善から
男性の薄毛に関する症状は30代から増えはじめます。原因はさまざまですが、男性ホルモンの影響、遺伝、頭皮の血行不良、ストレス、湿疹などの外的な要因などが挙げられます。将来的に薄毛になるのではないか、抜け毛が増えてきたといった不安がある場合は、まずは生活習慣の見直しからはじめてください。
睡眠不足の解消や規則正しい生活、定期的な運動、そして食事の内容に気を配ることや暴飲暴食を止める、禁煙するなど、できることからで構いません。定期的な運動で血流改善や筋肉量の増量をはかり、余分な糖質の摂取を控えつつ良質なタンパク質をしっかり摂る食事を心がけましょう。
食事は、米や麺、パンといった炭水化物を中心に考えるのではなく、タンパク質を中心とした献立作りを。粉末のプロテインやプロテイン含有の機能性食品などを利用するのもいいでしょう。髪はもちろんのこと、筋肉や肌、爪にいたるまで、“人間の組織のもと”となっているのはタンパク質です。ですから、タンパク質が不足すると薄毛やコシのない髪の原因になりますし、肌つやなどにも影響が出てしまいます。また、亜鉛を含む食品もおすすめです。亜鉛は、魚介類やナッツ類に多く含まれており、健康な髪の生成には欠かせない栄養素。積極的に摂取しましょう。
また、ヘアケアの内容を見直すこともおすすめです。頭皮を清潔に保つため、1日1回の洗髪を習慣に。洗い過ぎや洗浄力の強すぎるシャンプーの使用は、必要な皮脂まで洗い流してしまい頭皮や毛根へのダメージにつながりますので避けましょう。
薄毛の原因は正常な発毛サイクルを乱す、男性ホルモン「DHT」
男性の薄毛はAGA(男性型脱毛症)と呼ばれ、妊娠・出産、更年期などホルモンバランスに大きな影響を受ける女性の薄毛とは少し仕組みが異なります。
髪の毛は通常、2〜6年ほどで成長し、抜けるというサイクルを繰り返しますが、AGAの患者さんの場合、その周期が数ヶ月〜1年ほどと短く、髪がしっかり育つ前に抜けてしまうことで薄毛が進行します。
薄毛の大きな原因となるのは、ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる男性ホルモン。テストステロンと5αリダクターゼの2種類の男性ホルモンが結合することで発生し、毛根にある男性ホルモンレセプターで受容されると脱毛因子が増加し、本来の毛の育成周期を大きく短縮させてしまうのです。
また、老化により毛根の働きが弱ってしまう場合もあります。若年層の毛髪は、ひとつの毛根に太い毛が数本生えている状態ですが、年齢とともにその本数が減っていきます。そのため全体的に薄くなったように感じます。
いずれも男性型の脱毛症に分類され、治療が可能です。
正しい投薬で症状改善も継続治療を心がけ、薄毛の悩みを解消しよう
実は、5αリダクターゼの活性度、男性ホルモンレセプターの感受性の強さは遺伝によって引き継がれる場合が多いことがわかっており、生活習慣の改善や頭皮のケアだけでは急激な進行が避けられないことがあります。
その場合は内服薬や外用薬(塗り薬)による治療を合わせて行うことをおすすめしています。現在、日本皮膚科学会による診療ガイドライン(日本皮膚科学会「男性型及び女性型脱毛症診療ガイドライン」2017年度版)で推奨度Aとされている内服薬は、「フィナステリド」と「デュタステリド」、外用薬は「ミノキシジル」の3種類。効果・安全度を考慮し、当クリニックではこれらの薬の処方を行なっています。
保険適用外の自由診療となり、内服薬は月に5,000円程度、外用薬は2,500円程度です。そのほかにも治療法はたくさんありますが、推奨度が低かったり、費用が高額だったりといった考慮すべき点もあり、治療内容については医師にしっかり相談することが大切です。
個人差はありますが、使用から6カ月ほどで効果が現れはじめますが、継続して治療を続ける必要があります。先述の3種類の薬については、長期服用による副反応もさほどなく、中断することによる進行の促進はないとされています。治療は、年齢が若く早ければ早いほど効果があり、治療を行った9割が効果を感じているというアンケート結果も報告されています。
額が広くなってきた、頭頂部が薄くなってきた、抜け毛が増えた、髪が細くコシがないなどの症状が気になる方は、気軽に皮膚科を受診してみてください。
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