より精密な検査を受けることをおすすめします。
子どもの近視の割合は増加傾向
低年齢化も進んでいます
小学校の眼科検診では、裸眼で0.7~0.9がB判定、0.3~0.6はC判定、0.3未満だとD判定となります。
この場合、ご家庭に眼科受診を推奨するお手紙が届くはずなので、できるだけ早めに受診し、本当に視力が低下しているのか、詳しい検査を受けてください。
学校での団体検診はあくまでも簡易的なもので、眼科でなければわからないことというのはあります。
実際に、B判定が出たため当院で再検査をしたお子さんのなかには、1.2でまったく問題がなかったこともあれば、0.5とさらに悪かったケースもあります。
眼科での検査の結果、視力の低下が確認された場合は、それが一時的な「仮性近視」なのか、矯正などが必要な「学童近視」なのかを診断します。
文部科学省のデータによると、裸眼視力1.0未満の子どもの割合を1979年(昭和54年)と2021年(令和3年)で比較すると、小学生は17%から36%に、中学生は35%から60%に、高校生は53%から64%と、すべて増加傾向にあります。
さらに、高校生の増加率と比較すると、小・中学生の増加率の方が大きくなっており、近視の低年齢化が進んでいることがわかります。
早くから近視を発症すると
大人になってから目の病気のリスクが高まります
近視の要因としては、遺伝や生活習慣など、さまざまなことが関係しています。
近年のスマートフォンやゲーム機の普及も原因のひとつではないかと考えられます。
少し専門的な話になりますが、眼球の構造から言うと、目の奥行き(長さ)を「眼軸長」といい、これが伸びると近視が悪化します。
正常な形の眼球ではピント調整ができていたものが、眼軸長の伸びによって焦点を結ぶ位置がずれてしまい、ピントが合わなくなることで見えにくくなります。
低年齢で近視を発症すると、大人になるまでに強度の近視になる傾向があり、さらに、強度の近視の方は緑内障、黄斑変性、網膜剥離などの目の病気になるリスクが高いという研究データもあります。
ですから、お子さんの近視はできるだけ早めに発見し、進行を遅らせてあげることが大切です。
近視の進行を抑えるには点眼薬や、
夜間にレンズをつける「オルソケラトロジー治療」も
お子さんが学童近視と診断されたときは、ゲームや読書の時間を決める、姿勢を正しくする、屋外活動を増やすなど、まずは生活習慣を見直してみましょう。
それに加え、眼科で近視の進行を抑制する治療を受けることができます。そのひとつが、点眼薬です。
「低濃度アトロピン点眼薬」という薬を1日一回点眼することで、眼軸長の伸びを抑え、近視の進行を軽減させます。
もうひとつが、「オルソケラトロジー」です。就寝時に特殊なレンズを装用して角膜の形を変化させることで、レンズをはずした後の裸眼視力を改善させるという治療法です。
日中は裸眼で過ごせるので、スポーツや習い事のため眼鏡を使いたくないという方からのご相談が増てきており、当院では100名以上の小・中学生が装用しています。
また、レンズの装用は夜間のみなので、親の管理下でレンズのつけ外しができるため、お子さんにも安心してお使いいただけます。
ただし、現在のところ自由診療のため初期費用がかさむことや、一般的なハードコンタクトレンズと同様に異物感が強い方には不向きなこと、角膜感染症などを防ぐため日々レンズを清潔に保つといった適切な管理が必要など、注意点はありますので、眼科専門医にご相談ください。
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