食生活の改善で子どもの集中力は高められる! 小児科医が教える集中力アップの食事法

学校から帰ってきたら、ダラダラ。宿題をはじめてもダラダラ。子どもの『何となく不調』を改善し、集中力を高めるにはどうしたら良いのでしょうか。

本記事は、小児科医の星野千代江先生によ「食生活改善セミナー」の情報をもとに執筆。星野先生は子どもの集中力ややる気の低下を、栄養学の観点から改善してきた先生です。

・子どもの集中力を高めるために試行錯誤しているけれど中々改善されない
・子どもが常にダルそうにしている
このような悩みを持つ親御さん、ぜひご一読ください。

子どもの「なんとなく不調」の原因は鉄分不足

ほしの小児科クリニックの栄養セミナー

星野先生のクリニックを訪れる患者さんの中で、数年前から増えてきた『何となく不調』の子どもたち。
例えば、
・食欲はあるのに、顔色が悪い。だるそう。フラフラしている
・疲れが酷くて、朝、起きられず、学校に行けない
という様な悩みを持つ子どもたちです。

そのような患者さんの多くが抱えていたのは、「貧血」もしくは「隠れ貧血」。鉄剤を投与したり食生活を改善する事で、症状が改善し、集中力もやる気もアップしたケースも少なくないそうです。

星野先生は「なんとなく不調」を起こす生活習慣を7つにまとめています。

①牛乳をたくさん飲む
②パンやうどんが大好き
③おやつは甘いもの
④スポーツドリンクを大量に飲む
⑤時間に追われて食事をする
⑥偏食だからと好きなもののみ食べる
⑦朝食を食べない

上記のような生活習慣がある場合に、栄養不足で体調が悪く集中力が低下する可能性があるといいます。なぜそのようなことが起きるのか。以下で確認していきましょう。

集中力の要となる栄養素は鉄

ほしの小児科クリニックの栄養セミナー

貧血になると、集中力は低下します。
なぜなら鉄分には、
◎酸素の運搬
◎脳内神経伝達物質の生成
◎エネルギーの産生
◎コラーゲンの生成
この4つの働きがあり、鉄分が不足するとこれらの働きがうまくできず身体に次のような症状が現れます。
■酸素が運搬されない
→脳に酸素が上手く行き渡らないので、記憶力や思考力が低下するまた、身体全体が酸欠状態になるので疲労感が抜けない
■脳内神経伝達物質の生成が上手くできず
→睡眠リズムが悪くなり朝起きられない、居眠りをする落ち着きがなくなる
この様に鉄分が不足すると常にダルく、落ち着きもなくなるので、集中力ややる気が低下するのです。

腸内環境に影響する小麦・牛乳製品

ほしの小児科クリニックの栄養セミナー

小麦や、乳製品は摂りすぎると集中力を低下させる食べ物と言われています。なぜなら小麦に含まれる「グルテン」、乳製品に含まれる「カゼイン」というタンパク質が腸に炎症を起こし、腸内環境のバランスが崩れやすくなるからです。

脳と腸はお互いに影響しあい、これを『腸脳相関』と言います。例えば、脳がストレスを感じるとお腹が痛くなる人、いますよね。同じように腸の環境が悪いと、気分も不安定になります。
小麦も牛乳も、日常的に摂取する食品ですが、グルテンやカゼインの摂りすぎは腸に炎症をおこし、腸内環境の悪化から集中力低下を招くこともあるという知識は持っておくと良いでしょう。

糖質を控える

ほしの小児科クリニックの栄養セミナー

糖質の摂りすぎも、集中力を低下させる一因です。なぜなら甘いものを食べ、急激に血糖値が上がると、インスリンが多量に分泌され、血糖値が急降下します。すると、脳に上手くエネルギーが届かず集中力が低下します。

また低血糖は体にとって非常事態なので、交感神経が刺激され血糖値を上げるホルモンが放出されます。そこで体も心もとても緊張した状態になってしまします。

つまり甘いものをたくさん食べると、集中力を保てず気持ちも不安定になります。甘いものを食べ過ぎないようにする事や、空腹状態で食べない様にすることで血糖値の上昇を抑えられます。摂取するタイミングにも気をつけるようにしましょう。

集中力を低下させない食事のポイント

具体的に食事で何に気をつければ、子どもの集中力を保てるのでしょうか。以下に6つのポイントでまとめました。

1.糖化を防ぐ(甘いものを控える)
2.タンパク質をとる
3.良質な油をとる(オメガ3系の油)
4.微量栄養素をとる(ビタミン、ミネラルなど)
5.腸内環境を整える
6.食品添加物を避ける

集中力を保つためには必要な栄養素を摂取することや、集中力を低下させる食品を食べすぎないことが大切です。

星野先生のクリニックでは、栄養状態を細かくチェックできる「栄養外来」を設置しています。子どもが『何となく不調』で、やる気や集中力を保てなくて心配している親御さんは受診して相談してみては如何でしょうか。必要な栄養の正しい摂取方法も含め、さまざまなアドバイスをしてもらえるそうです。

まとめ

本記事では子どもの集中力を高めるために、
◎摂取した方が良い栄養素
◎控えた方が良い食べ物
を中心に解説をしてきました。

とはいえ、完璧な食生活は、育児、家事、仕事で忙しいと中々難しい時もありますよね。星野先生は、「ヘルスリテラシー」が大切とおっしゃいます。「ヘルスリテラシー」とは、健康に関する多くの情報から正しいものを選び、学び、理解し、実生活で上手く応用する能力です。

まずは正しい知識を得るだけでも、何も気にせずに食べているより、ずっと良い状態になるのではないでしょうか。できる範囲で食生活を改善し、家族全員で健康で明るい未来を手に入れましょう。