「患者さんが求めるものを見極め、真の医療を提供していきたい」と穏やかに話す院長の粕谷奈都子先生。優しい笑顔に心が癒されます。ご専門は循環器内科。ハイレベルな検査と治療を提供するほか、地域の方々のさまざまな病気や悩みにも幅広く対応します。2人の子供を育てるワーキングマザーとしての目線を生かしたクリニックづくりにも積極的です。
充実の医療検査機器を備え、あらゆる不調に対応
――幅広い診療内容で地域の方からの信頼も厚いですね。患者さんはどんな年代の方が多いのですか?
風邪や腹痛などはもちろん、循環器系疾患、睡眠時無呼吸症候群、禁煙相談などにも応じているほか、週に1回、特別養護老人ホームへの訪問診療も行っています。インフルエンザや麻疹風疹、水ぼうそうなどの予防接種は予約制で、子供にも対応しています(乳児は除く)。間口を広げることで老若男女を問わず、どなたにも来院していただけるクリニックでありたいという考えからです。
なかでも、専門である循環器領域に関しては、心臓(腹部、頸動脈、乳房なども可)を検査する超音波(エコー)装置、運動負荷心電図、脈波計(血管年齢)、24時間心電図など専門的な機器を院内に備えています。一般の方には聞きなれない機器名もあると思いますが、大病院に近い検査と治療ができる体制が整っていると思っていただければ、わかりやすく、ご安心頂けると思います。
また、最近は男女を問わず糖尿病や高血圧などの生活習慣病も少なくありません。これらについては日常生活の改善が必須ですから、月に一回、管理栄養士による食事指導を行っています(予約制)。
――女性である粕谷先生に同性ならではの相談をされる女性患者さんも多いと伺いました。
女性の中には、「男性医師に診療されるのは恥ずかしい」と思われる方や、更年期や冷え性など女性特有の悩みで来られる方もたくさんいらっしゃいます。当院には女性の検査技師もおりますので、検査内容によってご相談いただくこともできます。
女性に多い病気のひとつとして「貧血」があげられますが、健診等で指摘されているにも関わらず、放置している方も少なくありません。治療は鉄欠乏性貧血の場合は投薬治療が主軸となりますが、食事で鉄分を上手に摂ることも大切です。でも、単に「鉄分を多く摂るように」とお話してもピンと来ないので、「青菜は卵と一緒に炒めて食べると、鉄分の吸収率が上がる」など、生活の中で使えるプラスαの情報もお伝えするようにしています。悪化すると心臓など体全体に悪影響を引き起こすこともありますし、鉄欠乏以外の原因や白血病や癌などによる貧血の場合もありますから、健診などで要精査や要受診と言われたら必ず医療機関を受診していただきたいです。
その他、20代以降の女性は、育児やお子さんの受験、親の病気や介護の悩みなど、精神的なことが体調不良の要因になっていることも少なくありません。血圧が急に高くなったと来院した患者さんが、実はお子さんの進級問題による心労が原因だったという実例もあります。また、当院では乳がんや大腸がんなどの横浜市がん検診や甲状腺のミニドックにも力を入れていますから、特に不調を感じていなくても、40歳を過ぎたら年に1回の検診やドックを受けていただきたいですね。
小さな子供がいても大丈夫!お母さんが気兼ねなくかかれる内科
――お子さんを連れての来院も歓迎とお聞きしました。
小さなお子さんがいると、お母さんはどうしても自分の健康管理を後回しにしがちです。小児科ならまだしも、内科の待合室で順番を待っている間に子供がぐずったりオムツが臭くなったりしたら?!と思うと、頭痛程度なら市販薬を飲んでしのぎ、ましてや健診や検査などは妊婦健診以来何年もしていないという女性は珍しくありません。そこで、私自身の子育て経験や周りの声を反映し、子連れで気兼ねなく受診できる内科クリニックを作ろうと思いました。院内はバリアフリーにし、待合室には靴を脱いで遊べるキッズスペース、トイレにはベビーチェアを設けました。平成16年の開院以来、私が理想とする「お母さんもかかれる内科」を先進的に作ってきました。女性として、母親としての会話も大切にした丁寧な診療を大切にしています。何気ない会話をきっかけに自覚していなかった不便や不安、不調に気づくことも多いですから。
さらに、これは女性患者さんに限ったことではありませんが、「少しでも早く痛みを抑えたい」「強い薬は服用したくない」といった一人一人の患者さんのご希望も伺い、いくつかの治療法の中から納得のいく方法を一緒に考えることをモットーにしています。また、通いやすいクリニックであるために、駅から徒歩1分の場所を選びました。車で来院される方のために提携の駐車場も確保しています。
▲加齢や喫煙、生活習慣病などにより、血管が硬くなっていく動脈硬化の模型。実際に患者さんに触ってもらい、硬さの違いを体感してもらうそう(中川駅前内科クリニック:神奈川県横浜市都筑区)
――医師になってよかったと思われるのはどんなときですか?具体的なエピソードなどがあれば併せて教えてください。
この仕事をしていると忘れられない出来事がたくさんあって、どれをお話すれば良いか分からない程です。そうですね、研修医3年目の時に、不整脈を患った女性患者さんを担当させていただいたことがありました。心臓ペースメーカーを入れる手術をしないと危険な状態だったのですが、彼女は「こんなに元気なのに心臓ペースメーカーを入れるのはどうしても嫌だ」と頑なに拒否されていました。何度も何度もお話をして、ようやく手術の決心をしてくださって。その後笑顔で退院されました。思い出深いのはここからです。退院後しばらくして、その患者さんから「和歌」のプレゼントを頂いたのです。その句はご自身の闘病経験と健康への思いを込めたものだったのですが、下の句が「女主治医の ひとみに涙」というものでした。退院前最後の病棟回診のときの私の姿(よくなられて本当に良かった…とうっすら涙ぐんでいました)を思い出し、私への心からの感謝の気持ちを織り込んだとおっしゃっていただきました。「医者になって本当に良かった」という思いが溢れ、感動してまたまた涙ぐんだ記憶があります。まさに「女主治医の ひとみに涙」です(笑)。
いまも、たくさんの患者さんから「体が元気になって、やる気が湧いてきた」「あのときの先生のアドバイスがあったから今の自分がある」などのお言葉を頂戴しますが、都度、医者冥利につきると感じます。これからも患者さんやご家族の気持ちに寄り添いながら、丁寧な診療を行い、地域の皆さんのお役に立ちたいと考えています。
読書好きで、書店を巡ってはおもしろそうな本を見つけることが楽しみだという粕谷先生。最近は中学生の娘さんと本を貸し借りする機会も増え、感想や次に読みたい本の話で盛り上がるそう。最近親子で夢中なのがお母さんからの面白いメールを集めた『おかんメール』。笑わずには読めないそうで、ストレス発散にもぴったりだそうです。
▲院長 粕谷 奈都子 先生(中川駅前内科クリニック:神奈川県横浜市都筑区)
東京医科歯科大学医学部卒業。同附属病院旧第3 内科(現・循環器内科)入局。東京都職員共済組合青山病院内科、国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院第一内科、東京都立広尾病院循環器科などを経て、東京医科歯科大学大学院医学研究科(内科学)を卒業。2004 年に中川駅前内科クリニックを開院。医学博士。