プライマリケアを目指して内科、外科、訪問診療に対応

桜並木医院(神奈川県横浜市都筑区)

2008年の開業以来、外来診療と訪問診療の二本柱で地域のプライマリ・ケア充実に貢献しています。勤務医として呼吸器外科、消化器外科を担当し、そこで得た多くの臨床経験を活かして風邪や胃腸炎といった内科的疾患から、やけどやケガなどの外科的治療まで幅広くこなします。訪問診療用の携帯電話は24時間つながり、患者さんやその家族から連絡があればすぐに駆け付けるなど真摯に向き合うその姿に、老若男女問わず多くの人々から厚い信頼を寄せられています

「人の役に立ちたい」という思いからスタートした医師への道

―――医師を目指されたきっかけをお聞かせください。

小さい頃は工作が好きだったので、大工や建築士などの建築関係に進みたいと考えていましたが、高3で進路を考えていた時に「人の役に立ちたい」と思って浮かんだ職業が医師でした。高校時代は柔道部に入っていたのですが、部活ばかりで高2まではほとんど勉強していなくて。さらに物理のテストで0点を取って自信をなくしてしまい、高3になってもあまり勉強に身が入らなかったですね。本格的に勉強を始めたのは浪人してからです。

私立の医学部を目指していたので、科目を絞って集中的に勉強しました。浪人中は予備校にも通いましたが、家で勉強する時は「今から5時間は机から絶対離れない」などと自分で決めてしっかり守り、集中して勉強しました。僕の部屋にはエアコンがなかったので、夏は汗をダラダラ流しながら勉強していました。イライラしたり不安になったりという日々でしたが、浪人して「後がない」と追いつめられていたことと、「絶対に合格する!」という気持ちがあったからこそ、一生懸命になれたのかもしれないですね。とにかく根性で乗り切りました(笑)。

落ち着いた雰囲気の待合室。壁に飾られたさくらの絵と天井のさくら色のライトが温かな雰囲気を醸し出します(桜並木医院:神奈川県横浜市都筑区)

―――クリニックの特徴を教えてください。

近隣の30代を中心とした若いファミリー層だけでなく、遠方からタクシーに乗って来院される年配の患者さんもいて、幅広い年齢層の方がお見えになりますから、風邪や胃腸炎などの日常的な体の不調から、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、さらにやけどやケガといった外科的なものまで、多様なニーズに応えています。

勤務医時代に一般外科の手技を学んだほか、一般内科、脳外科のサポートで胃ろう造設など本当にたくさんの経験をしましたので、その時得た技術が活かせていると思います。切り傷の縫合などにもすぐに対応できるので、患者さんからは喜ばれていますね。「また、子供が転んで頭を打ってしまった。すぐ泣き止んだけど心配」と駆け込んでくるお母さんや、「具合が悪いんだけど、どこの科に行けばいいのかわからない」という方もいらっしゃるので、的確な初期診断をするためにCTスキャンや経鼻内視鏡、超音波などの検査機器をそろえ、必要に応じて近隣の専門医療機関へ紹介する体制を整えています。最近あまり見かけなくなった院内処方もうちでは続けています。患者さんが院外薬局で待つ時間を短縮できますからね。

ニーズの高まりを実感した訪問診療

―――訪問診療にも力を入れていらっしゃいますね。

この地域に住んでいる若い世帯が、地方にいるご両親を呼び寄せることもあります。また、昔から住んでいる方たちは三世代同居の方も多く、お子さんやお孫さんが自宅でおじいちゃんおばあちゃんの介護をしているケースもあります。そういう方たちから地域のケアマネジャーさんや訪問看護ステーションを通してお話をいただいたり、近隣の総合病院の医療連携室からご紹介いただく場合もあります。高齢者や障害を持った方を中心に訪問診療のニーズは年々高まっていると感じます。

―――具体的にどのようなことを行うのですか?

訪問診療は患者さんから連絡をいただく度に診療に出向く「往診」とは異なり、患者さんの病状や介護するご家族の事情などをお伺いして計画を立て、2~4週間に1度の割合で定期的に訪問し、医療サービスを行っています。

外来診療の間の休み時間や外来終了後に、携帯内視鏡や携帯エコーを携えて1人で車に乗って各家庭を回り、問診や治療、薬の処方、胃ろうの交換や腹水穿刺を行います。それ以外にも、患者さんやご家族の相談にのったり、指導を行ったりします。容体が急変した場合に備えて、携帯電話は24時間連絡可能にして、連絡があればすぐに患者さんのもとへ駆け付けます。それ以外にも、救急車を呼んだり、入院の手配をしたりと臨機応変に対応することもあります。近年は、「最期は家で」という患者さんやご家族の希望に沿って看取ることも増えました。

実際に始めてみて、訪問診療が必要とされていることを痛感しています。1つの病院での入院期間は限られているので、退院後に行き場がなくなってしまう方が必ずいるんですね。そういう方たちにとって、訪問診療があることで、「別の病院に移る」だけでなく「家」という選択肢もあるということは大きいと思います。

これからもひたむきに毎日が真剣勝負

―――多忙な吉家先生ですが、健康のために気をつけていることはありますか?

規則正しい生活をすることですね。訪問診療って結構体力が必要なんです。運動はそんなにしていないですが、食事内容には適宜気を付けて、昼食を抜いて1日2食という生活を半年以上続けています。昼間眠くなることもなくて調子がいいんですよ(笑)。体重も7~8kg減って、持病の腰痛も改善しました。

―――患者さんと接する時に心がけていることは?

毎日目の前にいる患者さんをひたすら一生懸命治療することが私の使命です。外来にしても訪問診療にしても、患者さんにしてみれば目の前にいる医師が頼りなわけで、責任重大だと感じます。さらに訪問診療では、患者さんに加えてご家族の要望も多岐にわたりますので、これからもお話をよく伺い、一人一人の患者さんやご家族の希望をうまく合わせて、それに沿うような形で治療を進めていきたいと考えています。

▲院長 吉家 大亮 先生(桜並木医院:神奈川県横浜市都筑区)

東京医科大学医学部卒業後、同大学外科学第一講座入局。西東京警察病院、早友会クロヤナギ医院、爽玄会碑文谷病院を経て、2008年桜並木医院開院。

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