子供の不正咬合と歯周病の治療に意欲的

近年、噛み合わせが悪い子供が多いことを受け、早ければ3歳ころからマウスピースを装着するプレ矯正に積極的な「ルトゥール歯科診療室」。この矯正によって歯が正しい位置に生えるようにするだけでなく、舌も正しい位置に導くことで口呼吸の改善も目指します。また歯周病の治療にも定評があり、症状の進行具合に応じてさまざまな治療法を提案します。詳しいお話を、院長の金沢俊佑先生にお聞きしました。

マウスピースの装着で顎の発育を促し、歯と舌を正しい位置に

――小児歯科では矯正治療に積極的とお聞きしました。
子供の8~9割が、噛み合わせに問題があると言われています。ときに「子供たちに起きている異常」と表現されることもあるぐらい、子供の不正咬合が問題視されています。その原因のひとつとして、食生活の変化が考えられます。固いものをあまり食べなかったり、咀嚼する回数が減ったりなどで、顎が十分に発達しません。

これにより永久歯が生えそろうのが遅れ、生えてきても歯並びが悪くなるという事態を招くのです。場合によっては歯が並びきらず、健康な歯を抜くことも。そこで5~6歳、早ければ3歳ころからマウスピースを装着する「プレ矯正」で、顎の成長を促します。
これは日中の1~2時間と就寝時に装着し、舌を含む口まわりの筋肉を鍛えることを目的としています。

同時にこの筋肉を動かすトレーニングについても指導し、1~2年の治療で顎がきちんと成長して、永久歯がきれいに並ぶスペースを作ります。この矯正では舌を正しい位置に導くこともできるため、万病のもととも言われる口呼吸を鼻呼吸へ改善することも期待できます。矯正歯科ではお子さんだけでなく、大人の方にも年齢や歯並びの状態に適した治療を提案しています。


▲歯列矯正を行うマイオブレイスなど、患者さんに合った矯正治療を提案しています(ルトゥール歯科診療室)

――負荷型育成装置「Vキッズ」を導入されたそうですね。
プレ矯正のマウスピースを入れられないほど顎の小さなお子さんが、近年、増えています。神奈川県内でも当院を含めて3院(2019年4月現在)しか取り扱っていないVキッズは、就寝時に着用することで噛む力と歯列を育てて口腔内を広げます。

これにより万病のもとと言われる口呼吸が改善され、鼻の粘膜と鼻毛のフィルターを通して質のいい酸素を十分に、体内に取り込めるようになります。さらに歯ぎしりの原因と言われる狭い歯並びを正すことで深い睡眠と、しっかりした咀嚼につながります。また、ロコモティブシンドローム(略称ロコモ/運動器症候群)が注目されており、大人だけでなく、その兆候が子供にも表れています。Vキッズで顎を含む口腔を育成し、全身の成長を促すことが将来、ロコモにならない体を作ります。


▲好きな色を選べるVキッズ。これで口腔内の環境を改善したあと、必要に応じて矯正治療を提案しています(ルトゥール歯科診療室)

――歯周病の治療にも力を入れているそうですね。どういった治療をされているのですか?
歯周病は治りにくく、再発しやすいと言われています。当院ではまず詳細な検査を行い、症状の進行具合を見極めます。それに応じて、さまざまな治療法を提案しています。菌が多いようであればジスロマックと言う抗生物質を3日間服用し、除菌します。

この治療は何度も通院する必要がなく、再感染が確認できなければ一度で治療は完了します。また継続的な通院ができない患者さんには、次亜塩素酸水によるうがいをすすめています。1日2回、家庭でも行うことで改善が見込めます。ほかにも8倍拡大鏡を用いて高濃度の次亜塩素酸水で殺菌洗浄するという治療もあります。

歯周病は悪化すれば歯茎を溶かし、歯が抜け落ちてしまうこともある病気です。悪くなってから来院する方が多いので、ちょっとでも異常を感じたら来てください。


▲白を基調とした明るい診察室。診察台まわりは十分なスペースを確保しているため、一人で座れないお子さんを抱っこして受診することもできます(ルトゥール歯科診療室)

読書に没頭した少年時代

――どんな子供時代を過ごされたのですか?
小中高と親からゲームを禁止されていたので、よく本を読みました。だから今も読書は好きです。最近では食の安全や健康関連の本などを読んでいます。量子力学も好きな分野ですね。学校では言うことを聞かず、よく騒いで怒られてばっかりでした。立たされることもありましたが、勉強はちゃんとしていましたよ(笑)。

運動はあまりしなかったのに、なぜか大学でアメリカンフットボールをはじめたんです。それまで体を動かしていなかったので、練習についていくのに苦労しました。でもそれ以来、身体を動かすようにしていて、今もジムに通っています。そこはハードなことで有名なのですが、意識の高さがすごい(笑)。おかげで3カ月で6kgやせました。健康維持とアンエイジングのために、これからも続けていこうと思います。

――最後に、健康な歯を維持するための秘訣について教えてください。
先日、雑誌の記事で70代の元ビジネスマンの後悔は若いときに健康診断を受けなかったこと、というのを読みました。若いときに受けていれば、定年後も健康な体を維持できたかもしれないという内容だったのですが、すごく切実だなと感じました。

これは体だけでなく、歯でも同じことが言えると思います。虫歯になってから歯医者に行くのもいいのですが、その前の予防が大切です。3~4カ月に一度は歯のクリーニングに来てください。自宅でできるケアについてもアドバイスします。


▲白衣を怖がる子供も多いという理由から、スタッフは色鮮やかなウェアに身を包んでいます。育児経験が豊富なスタッフも多く、やさしく出迎えてくれます(ルトゥール歯科診療室)