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■2020年はインフルエンザ患者数が激減!その理由とは?
近年、口腔疾患が全身疾患に深いかかわりがあることがさまざまな研究から明らかになってきました。確かに、私たちの最大の楽しみともいえる食事の入り口で、咳やくしゃみの出口もオクチですから、口腔内を清潔に保つことが大切というのは、とてもうなずけます。
ところで、2020年3月11日にWHOからパンデミック宣言が、そして4月10日には緊急事態宣言が発令された新型コロナウイルスは、いま私たちの最大の関心ごとです。さまざまな予防法があげられますが、一番身近な方法は、手洗いとマスク、そしてうがいです。
今回ビタミンママで注目したのが、うがいをさらに進展させた口腔内環境の整備と、感染症予防の関係です。
2020年はインフルエンザ患者数が激減!その理由とは?
感染症予防には手洗い・マスク・うがいが重要というのは、今回のコロナウイルス関連での報道でも頻繁に見られますから、皆さんも実践していると思います。
インフルエンザ患者数に着目すると、2020年は2019年の同時期に比べて約6割も減っているのです。これにはさまざまな要因が考えられますが、コロナウイルス感染予防のために、手洗い・マスク・うがいがこれまで以上に徹底されたことも何らかの関係があるかと思われます。
以下は国立感染症研究所による「インフルエンザ流行マップ」です。
参考:国立感染症研究所HP
赤が警報レベル、オレンジが注意報レベルですから、2019年と2020年の同時期を比較すると、2020年は確実に減少していることがわかります。
口腔内環境を整えることは、感染症予防にも有効
ところで、心臓病、動脈硬化症、誤嚥性肺炎などの全身性の疾患には、口腔微生物が関係すると考えられています。また、がんや糖尿病を有する患者さんは、さまざまな原因で、歯周病をはじめとするさまざまな疾患を起こしやすいことも明らかになっています。口腔内細菌叢のバランスが崩れることも口腔内疾患の発症に起因しています。
また、人間の口の中には300種類以上の細菌や真菌が生息しています。口腔内の衛生が保たれずに悪い細菌が増えてしまうと、粘膜の防御機能が低下し、血中にウイルスや細菌が入る原因にもなります。
また、呼吸器系へ移行することで誤嚥性肺炎のリスクも上昇します。歯磨きやうがいで口腔内を清潔に保つことは感染症予防にもつながると考えられています。
うがいや歯磨きは感染症予防に効果的!
個人での歯磨きやうがいだけで口腔内を高いレベルで清潔に保つことには限界があると思われる方は、さらなる手段として歯科クリニックで適切なケアを行うのも効果があるようです。
歯科クリニックでの具体的なケアの内容としては以下のような3点が中心となります。
①口腔内検査
虫歯や歯茎の健康状態をチェックします。歯科クリニックによっては、唾液検査による口腔内の細菌数の測定や、歯肉ポケット(歯と歯茎の境目)の深さを測定する場合もあります。②ブラッシング指導
個人個人の歯並びを見ながら、歯ブラシの持ち方、角度など、毎日の歯磨き習慣の見直しや注意点を指導します。さらに、歯垢染色剤を使って磨き残しがどこにどのくらいあるかを検査する場合もあります。磨き残しが細菌の繁殖につながり、それが体内に入り込むことを防ぐ効果もあります。③歯石・歯垢の除去
専用のマシーンによって、歯磨きだけでは落としきれない歯石や歯垢を除去します。
最後に
予測できないさまざまなことが起こる現代ですが、一番大切なのは家族、自分、そしてみんなの健康です。そのために、みんなができることを考え、実践し、医療面で心配なことがあれば専門医に相談するなどして、QOLの高い毎日を送っていきましょう。子どもたちの未来のために!
監修
岩手医科大学 解剖学講座 助教三上貴浩先生
プロフィール
東京大学医学部卒。
東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻博士課程修了。医学博士。
東京大学総長賞、第1回新潟県創業加速化事業採択、ビジコンなかのライフサポートビジネス奨励賞、平成29年度 近藤記念医学財団 学術奨励賞、中国桂林创新创业大赛日本东京分站赛决赛 優秀賞、第八届阳澄湖创客大赛(世界決勝)二等赏
2017年より現職。