肝斑はほかのシミとは異なります 治療は専門医に相談しましょう
ひと言でシミといってもいろいろな種類があります
顔に現れるシミは誰でも気になるものです。しかし、シミといっても、いくつかの種類があります。まず、よく耳にするのが「そばかす(雀卵斑)」です。
紫外線の影響でメラニンという色素が増え、鼻の上部や頬を中心に小さな薄茶色の斑点が発生します。遺伝的な要素もありますが、日本人の場合は色白の人にできやすいといわれており、5~6歳からでき始めて思春期に濃くなり、だんだん薄くなる傾向があります。
また、長年紫外線を浴び続けることでできるシミが「日光性黒子(にっこうせいこくし)」です。年齢を重ねるにつれ濃くなる傾向にあるので、「老人性色素斑」とも呼ばれます。
一方肝斑は、頬骨に沿って、あるいは額やこめかみ、目尻の下に顔の左右対称に出る淡褐色のシミで、30~40代に多く見られ、閉経とともに薄くなる傾向があります。
そばかすと肝斑は一見すると似ているようにも見えますが、肝斑は顔だけなのに対して、そばかすや日光性黒子は、背中や肩、腕、手など全身に現れます。
30歳を過ぎたら肝斑に注意!
肝斑が発生するメカニズムははっきりとしていませんが、女性ホルモンの分泌量が減少し始め、ストレスなども影響してホルモンバランスが崩れてくると、メラニン色素の生成を活発化させる黄体ホルモンが優位になってできやすくなると考えられています。
妊娠や避妊用ピルの服用、閉経後のホルモン補充療法に合併して発生することもあります。
治療には、トラネキサム酸やビタミンC、漢方薬の服用、メラニンの合成を阻害するハイドロキノンと呼ばれる塗り薬が効果的で、ケミカルピーリングやイオン導入という方法もあります。
トラネキサム酸は抗炎症薬や止血剤としても使われるもので、女性ホルモンに影響は及ぼしませんが、メラニンを作るメラノサイトに働きかけて色素沈着を抑制します。治療とともに、外出時には紫外線を避け、洗顔やマッサージで刺激を与えないようにすることも大切です。
シミの治療として、近年広く普及しているのがレーザー治療ですが、そばかすや日光性黒子と肝斑は、治療方法が異なります。正しい知識のもとに施術が行われないと逆効果になる場合があります。
また、レーザー治療の直後は皮膚がやけどのような状態になるのでアフターケアも重要です。専門医への相談が賢明といわれるのはこうした理由からですが、ほとんどの場合、保険適用にはならないので注意しましょう。
監修
松井クリニック
院長 松井 潔先生