高齢の患者さんに加えて
障がいのあるお子さんも
港北ニュータウン診療所は、2007年に在宅療養支援診療所として開院して以来、都筑区を中心に青葉区、港北区など一部周辺エリアの在宅医療を支え続けています。対象となるのは、足腰が悪い、車いすを利用している、病気やけがの後遺症がある、認知症がある、在宅酸素を利用しているなどの理由でひとりでの通院が困難な方。高齢の患者さんが多数を占めますが、それに加えて、院長の神山先生が力を入れているのは、障がいをもった子どもたちへの訪問診療です。
大学病院のリハビリテーション科で数多くの症例に携わった経験を生かし、在宅医として、主に先天性の疾患や脳性まひ、幼少期にかかった脳症などによって体の動きが不自由となった子どもたちのケアを行います。
診療内容は体の機能を維持・回復させるためのリハビリテーション科医としてのアプローチが中心となります。また、大学病院の小児科などと連携して、てんかんなどの疾患に対する内服加療も行っています。
「移行期医療」の対応も在宅医の使命
今、神山先生が最も心配しているのは、「小児期に発症した疾患を有する患者の移行期医療」への対応の薄さ。小児から成人へと移行する時期の患者を受け入れる医療機関が見つかりにくいことです。通常、15~20歳くらいまでは小児科で診てもらうことができますが、それ以降は大人と同じ内科を受診するよう勧められるのが一般的だといいます。
「難病でかかりつけの小児科医にずっと診てもらっていた子に、次の病院がすぐ見つかるかというとなかなか難しいのが現状です。お困りの患者さんとご家族がいらしたら、在宅医がサポートできることをお伝えしたい」と神山先生。
地域の在宅医療を担う第一人者として
地域貢献への思いを胸に、時代の変化に合わせて常に最先端の在宅医療を提供したい、との考えをもつ神山先生が積極的に行っている治療のひとつが、手足の動きを改善するためのボトックス注射です。下肢に障がいがあり、家の中の歩行も困難だった小学生の子にボトックス治療を行ったところ、関節の動きや姿勢が改善され、歩いて外に出られるまでになったことも。
そのときの本人とご両親のうれしそうな顔が、神山先生にとっては何よりのやりがいにつながっているといいます。
さらに、港北ニュータウン診療所では、リハビリ以外にも、内科、整形外科、眼科、皮膚科、精神科、形成外科を専門とする医師が訪問診療を行う体制を整えています。「 これからも、さまざまな症状でお悩みの患者さんの気持ちに寄り添い、できる限りの要望に応えられる在宅医療診療所であり続けます」
お話を伺ったのは
港北ニュータウン診療所 院長神山 一行先生
東海大学医学部卒業。昭和大学リハビリテーション科、三宿病院神経内科、東京共済病院整形外科、昭和大学横浜市北部病院リハビリテーション科勤務を経て、2007年港北ニュータウン診療所開院。日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医