ラグビーワールドカップをもっと楽しむ。
9月20日から開幕したラグビーワールドカップ2019日本大会。世界の代表選手が結集し、4年に一度の王座をかけて繰り広げられる熱戦の数々。「でも、ラグビーのことよく知らなくて」という方のために、その見どころを吉田義人さんがわかりやすく解説します。
- 高校、大学時代に全国優勝!
- 19歳で日本代表入り!
- 日本人で唯一、世界選抜に3度選出!
そんな実績を持つ日本ラグビー界のレジェンド、吉田義人さん。現役引退後も、横河電機のヘッドコーチ、明治大学ラグビー部の監督としてその手腕を発揮。現在は7人制専門ラグビーチーム「サムライセブン」の監督として、人材育成や普及にも貢献する吉田さんに、ラグビーワールドカップ2019日本大会の楽しみ方をうかがいました。
▲吉田さんが監督を務める7人制専門ラグビーチーム「サムライセブン」。東京オリンピックでの所属選手の活躍にも期待が高まっています
吉田さんとラグビーの出会い
僕がラグビーと出会ったのは小学3年生の冬。友だちがラグビーボールを持って遊びにきたのをきっかけに夢中になり、スクールにも通ったほどです。しかし入学した中学はラグビー部がなく、野球部に入部したのですが、肘を故障して休部。小学校時代の仲間から「ラグビー部を作ったから」と誘われ、それ以来、ラグビー人生を歩んできました。ボールを持って走る、投げる(パスする)、蹴る…。あらゆる動きが含まれるスポーツで、タックルやスクラムなど、格闘技のような面もある。その面白さにハマったんですよね。
世界の3大スポーツイベント
ラグビーは、日本では野球やサッカーほどメジャーなスポーツではありませんが、実はラグビーワールドカップは、夏季オリンピック、サッカーワールドカップと並ぶ、世界の3大スポーツイベントです。そのラグビーワールドカップが、ラグビー後進国の日本で開催されるというのは夢のようなこと。しかもアジアでの開催はこれが初めて。だからこそ、日本代表にはぜひベスト8に残ってもらいたい。そのためには、初戦となるロシア戦はもちろん、10月13日に行われるスコットランド戦が非常に重要です。現在、日本の世界ランキングは10位、スコットランドは8位(2019年9月18日現在)。格上相手の戦いとなりますが、ベスト8進出のためには勝つことが必須です。
特に注目したいスコットランド戦
このカードは、ラグビーの伝統国スコットランドと開催国日本の、ベスト8をかけた意地の張り合いになるでしょう。日本にとってはベスト8進出の要となるゲームで、その勝敗が日本における将来のラグビーの位置付けを変えてしまうほど重要です。手堅いラグビーをするスコットランドを相手に、ラグビー強豪国ニュージーランド出身のジェイミー・ジョセフをヘッドコーチに迎えた日本が、どんな戦いをしかけていくかが大きな見どころです。
日本代表の注目選手
やはりキャプテンのリーチ・マイケル(FL/ニュージーランド出身)の存在は大きいです。ものおじせず、闘将として相手に果敢に突っ込み、15人を率いていきます。あとは、戦術・戦略の要となるポジションを担う田村優(SO/愛知県出身)や、トライを取り切れるスピードと俊敏性を持つ福岡堅樹(WTB/福岡県出身)も注目です。
激しさの中にも非常に公正で紳士的な側面を持つラグビーの魅力は、簡単に伝えきれるものではありません。でも、吉田さんが「開催が夢のよう」と語るラグビーワールドカップ2019日本大会。「ラグビーのことはよく知らなくて」という方も、まずは吉田さんのお話を参考に、世界が注目する熱戦の数々をお楽しみください。
ラグビーってどんなゲーム?
ラグビーは簡単に言うと、縦100メートル・横70メートルのフィールドで、15人の選手がそれぞれの役割を担い、相手陣営にボールを前進させ、自チームの陣地を広げていくゲームです。
自チームの陣地が広がれば広がるほどトライ(インゴールと呼ばれるゴールラインの先の地面にボールを付けて得点)やゴール(キックでボールがゴールポストの間でクロスバーを越えると得点)につながりやすくなります。陣地を広げる方法はふたつ。パスは自分より後方にしかできないので「ボールを持って進む」か、「キックをする」しかありません。前にパスをしたり、ボールを落としてしまったりすると反則です。他にも細かいルールはありますが、時に格闘技のように体を張ってボールを奪い合い、時にスピーディーにボールを持って駆け抜けていくプレーの多様性が、ラグビーの魅力のひとつです。
ラグビーのポジションをざっくり解説
8人のフォワード
フォワード(FW)は最前線で相手チームと争いボールを奪っていくパワーの必要なポジションです。背番号1番から8番までの8人の選手がそのポジションを担います。スクラムやラインアウト(サッカーのスローインのようなもの)で活躍するのもフォワードの選手たちで、その中でも細かく役割がわかれています。
- PR(プロップ/背番号1・3)
プロップ=支柱という意味で、スクラムのときに相手フォワードと直接組み合う、いわば「スクラムの要」 - HO(フッカー/背番号2)
スクラムをコントロールし、スクラムハーフが投入したボールを足でかき出します - LO(ロック/背番号4・5)
スクラムを組むときに、プロップとフッカーを後方から押し込みます。ラインアウト時のジャンパーやキックオフで蹴られたボールの受け手を担うことも - FL(フランカー/背番号6・7)
左右それぞれのこうほうからスクラムを押し込みます。バックス陣が攻撃しているときはサポートに奔走します - No.8(ナンバーエイト/背番号8)
フォワードを統率するだけでなく、守備・攻撃ともにチームの中心となる重要なポジション
7人のバックス
バックス(BK)はフィールドを走り回り、トライに絡むことが多いスピード型のポジションです。背番号9番から15番までの7人の選手がそのポジションを担います。スクラムやラインアウトなどセットプレーから出たボールを受け取り、相手陣営に切り込んでいきます。バックスもフォワード同様、役割分担がされています。
- SH(スクラムハーフ/背番号9)
フォワードとバックスをつなぐ役割を担います。俊敏さと正確な判断力を求められ、体が小さい選手でも活躍が期待できるポジション - SO(スタンドオフ/背番号10)
バックス寄りでプレーすることが多い。バックス陣を統率し、自ら走り、パスを出すなど、攻撃の起点となる司令塔 - CTB(センター/背番号12・13)
右と左があり、守るときはタックル、責めるときはウィングのトライを手助けする園の下の力持ち的なポジションです - WTB(ウイング/背番号11・14)
トライを求められるポジションで、ときに自分の陣地から敵の陣地まで走り抜けることもあるため、スピードとスタミナを兼備していることが要求されます - FB(フルバック/背番号15)
チーム最後尾でバックス陣を率い、ディフェンスラインの最後の砦となるポジション。正確なキック力も求められます
これらポジションを知るだけでも、ラグビー観戦をより楽しめるのではないでしょうか。
吉田義人さんの直接指導が受けられる
ラグビー教室「ラグビースカイパラダイス」
吉田さんの「子供たちがラグビーをはじめとしたスポーツを通じ、体と心を鍛える体験こそが、世界へ羽ばたくための知恵となる」という理念に基づき、毎週金曜日に東急百貨店たまプラーザ店屋上のアディダスフットサルパークにて開催されています。
ラグビーの基礎から応用まで、少人数制で手厚く指導されるとあって、小学生から大人まで幅広いラガーマンに人気です。初心者だけでなく、経験者へのスキルアップクラスも開講。無料体験も実施しています。詳しくはこちらをご覧ください。