子どもに、本当に身につけさせたい力 は何だろう?

これからの社会で、どうしたら子どもたちが不自由なく幸せに生きて行くことができるのでしょうか。そのために、親として、子どもにどのような力を身につけさせておく必要があるのでしょうか。

子どもに必要な力について、脳の専門家・瀧靖之教授(東北大学加齢医学研究所)にお話を伺いました。

近頃よく耳にするのが「非認知能力」というキーワードです。
「非認知能力」とは、社会情動的スキルとも呼ばれ、IQや学力テストのように点数化される能力以外の、社会で生きていく上で大切な能力だといわれています。

相手に考えや思いを適切に伝える「コミュニケーション力」、自らを律し、物事の優先度を客観的に判断できる「自制心」、社会の一員として適切にふるまえる「社会性」、度胸や粘り強さなど、モチベーションを維持する「GRIT(やり抜く力)」、物事の本質をイメージできる「想像力」、感性を表現できる「創造性」、そしてこれらを駆使して発揮する「状況判断力」。

子どもたちの非認知能力を高めよう 横浜市青葉区 ビタミンママ

この7大要素に加えて、高い「自己肯定感」をもつことが、生涯を通じて求められる本質的な力であり、「非認知能力」と呼ばれるものです。
近年、この非認知能力を育むことこそ、これからの社会を生きていく上で重要なことと位置づけ、教育の現場でもさまざまな取り組みが目立つようになりました。

令和2年度から始まった新しい学習指導要領でも、「何をまなぶか」「どのようにまなぶか」はもとより、子どもたちの「生きる力」を確実に育むことを目指しています。
たとえ先の見えない世の中でも、自ら課題を提起し、考え、判断し、行動できるよう、そして、それぞれの人生を豊かに過ごせるよう、そのためには、非認知能力を高めていくことが大切だといえます。

「生きる力」につながる 非認知能力を高めよう

コミュ力 コミュニケーション能力の略で、相手に考えや思いを適切に伝えるための力
自制心 自らを律し、物事の優先度を主観的のみならず、客観的にとらえ、対応する力
創造性 自分なりの感性で物事・考えを組み立て、何らかの形として見せるための力
状況判断力 自らの五感による刺激や能力を駆使し、そのときにすべきことを判断する力
社会性 社会の一員として適切に振る舞い、周囲の理解を得られるように配慮する力
想像力 頭の中で物事の本質的な意味や意図、背景や影響など、前後関係をイメージする力
GRIT(やり抜く力) 度胸、粘り強さ、自発性、執念の頭文字であり、モチベーションを維持する力
自己肯定感 生まれ育った環境や、さまざまな体験・経験によって培われる、己の存在価値や意義を自分自身で認める感情であり、心のベース

知的好奇心を刺激することが
非認知能力を高め、脳を育む

非認知能力を高めるには、日常・非日常問わず、さまざまな体験・経験を通じた学びの場を提供することが大切です。
心のままに思い切り遊ぶこと、知らない土地に出かけること、音楽を楽しむこと、新しい言語に出会うこと…。知的好奇心を刺激するさまざまなことが、非認知能力を向上させます。

そして、知的好奇心は脳の成長の原動力ともいわれています。
東北大学加齢医学研究所教授の瀧 靖之先生は、「2歳半から5歳は物事の好き嫌いがはっきりし始める年頃。そのため、この時期までになるべく多くの事象にふれさせることで、子どもは好みにとらわれることなく、興味の幅を広げることができる」といいます。

さらに、「何かに熱中することで知的好奇心が満たされると、子どもの自己肯定感が高まります。
自己肯定感が高い子どもは、主観的幸福感(自分は幸せだと感じる感覚)が高く、脳の可塑性(外部からの刺激で脳が成長すること)も高まることがわかっており、素晴らしい相乗効果が期待できます」(瀧先生)。

自己肯定感を高める方法については、以下の季刊誌に掲載しています。▼▼▼

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非認知能力 習い事

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お話を伺ったのは

東北大学加齢医学研究所 教授瀧靖之先生

医師。医学博士。大規模脳画像データベースから、脳の発達、加齢を明らかにし、生活習慣が脳に与える影響などを研究。学会賞、論文賞など多数の受賞歴を持つ。『16 万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)など著書多数。