「毎日会いたい友達がいる 毎日学ぶよろこびがある」をスクールコンセプト掲げています。大切にしていることや、取り組みなど、校長先生にお話を伺いました。
掲載されている、ビタミンママ本Vol.98「わが子の将来を左右する幼児期の過ごし方」の詳細は→コチラ▶︎
新しいスクールコンセプトは
「毎日学ぶよろこびがある」
相模女子大学小学部はこれまで、「毎日会いたい友だちがいる、毎日受けたい授業がある」をスクールコンセプトに掲げてきました。2024年度からは、教師中心の「授業」から、児童が自ら行う「学び」へと方向を変えていくことを明確にするために、「毎日会いたい友だちがいる、毎日学ぶよろこびがある」に変更しました。日本の寺子屋は当時世界最高水準の「学び」を重視した教育を行っていましたが、明治維新を機に、政府は欧米の教育に追いつくために、画一的な詰め込み型の教育を推し進めてきました。それが今でも続いています。
しかし21世紀の教育は、学習者が自ら学ぶ「探究型学習」に向かって進んでいます。本校が今目指している教育はまさにこの教育です。「教育」という言葉を英語にすると、Educationがまず頭に浮かびますが、そのほかにもInstructionやTeachingという言葉があります。Educationは「引き出す」ことを意味し、反対にInstructionやTeachingは「中に組み立てること」や「教え込むこと」を意味しています。もちろん「探究型学習」にはEducation が重要です。
学び手の力を信じて、学び手が持っているものをゆっくりと確実に引き出してやることが大切です。そのために、本校では全教師が「探究型学習」の目的や方法を理解することを目指して学んでいます。そして児童と共に新しい学びとしての「探究型学習」を推進し、実践しています。
原型を保ちながらひとつになる
「肉じゃが教育」を目指す
小学校教育の特長はさまざまな教科がひとつの鍋の中で混ざり合って、相互に特徴的な味を出しながら、決して溶け合うことなく、ひとつの料理として成り立っている「肉じゃが」のようなものです。主役のジャガイモは国語。そして算数は肉、社会は玉ネギ、理科はにんじん、音楽はシラタキ、図工は醤油で体育は砂糖、英語やプログラミングはお酒やみりんのようなものです。
つまり、子どもたちが、それぞれの具材である各教科で学んだ知識や技術を活用しながら、「探究型学習」を進めていくことが、子どもたちにとってより豊かな学び、すなわち、おいしい「肉じゃが」になると我々は考えているのです。
つなぐ手:教科学習では学ぶことができない
子どもたちの「生きる力」を育む
「つなぐ手」は相模女子大学小学部独自のプログラムです。オリンピックの金メダリストをはじめ、夢に向かって突き進んできた方のお話しを聞く「夢をつなぐ」。相模女子大学茶道部の学生との茶道体験や古典落語を聞くなどの「伝統をつなぐ」。和食のマナーや、栽培学習、イワシの調理を通して命をいただくことを学ぶ「命と食をつなぐ」。グループでゲームをしたり、話し合いで物事を決めたりする「心と心をつなぐ」。
この4つの「つなぐ」を柱に構成されます。取材時は鰹節やダシの製造販売を行う株式会社にんべんの方を招き、5年生が本枯節の削り方やダシのひき方を学んでいました。「学びには終わりがありません。ひとつの興味から次の興味へ移っていく。そんな学びの深さを知ってほしい」と小泉先生。
探究学習:まずは「見つめる」ところから始まる
教わるのではなく自ら学ぶ
相模女子大学のスクールコンセプト、「見つめる人になる。見つける人になる。」は探究学習の根幹だと小泉先生。「見つめる」ところから今まで気づかなかった新しいものや考え、そして生き方を見つけることができると言います。「自ら進んで見つめないと、見えてこないものがあります。目で見るだけじゃなく、五感を使って感じること。教師が教える授業では得られない学びです(小泉先生)」。
相模女子大学小学部では2020年度から4年生以上が探究学習に取り組んでいます。低学年の総合で培った体験学習をもとに高学年の探究が展開されます。6年生は「探究発表会」で3年生以上の児童に向けて発表します。テーマはさまざまで、なかには「小学生がここまで調べたの?」と驚かされる発表も少なくないそう。