キリスト教の建学の精神に基づき、緑豊かな校内で学ぶ自由学園初等部。「自ら学ぶ姿勢」を育む教育を実践しています。大切にしていることや、取り組みなど、校長先生にお話を伺いました。
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主体的に学び行動することが
求められる時代に
本校は1927年、知識の詰め込みばかりではない、自らが考え、行動することができる人材の育成をめざして創立されました。いわゆる大正自由教育運動の時代です。その後、膨大な知識を短期間に詰め込めるだけ詰め込むことをよしとする時代もありましたが、100年近くの時を経て、今また、一人一人の個性を大切にした主体的な学びを求める時代がやってきたと考えています。
初等部では、創立者の教育理念である「生活即教育」の実現に努めています。学びは日常の生活の中にこそあり、身体を動かし、五感を働かせて学ぶことの楽しさを子ども時代に見出してほしいと願っています。そこで、教室で行う学科の勉強はもちろん、学校を飛び出し、本物に触れ、体験することを重視した学習も積極的に行っています。
また、本校では、コミュニケーション能力を高めるため、グループワークを多く取り入れています。一人一人が違う考え方をもっていることを理解し、お互いに考えていることを出し合い、考え、まとめていくことの大切さを、グループワークを通して学びます。私たちはそれらを教えるのではなく「見守る」姿勢を大切にしています。
豊かな自然が教えてくれる
日々の生活の中の生きた学び
本校には、東京と思えないほどの豊かな自然環境があります。四季を感じられる木々や草花、鳥や虫たちにもたくさん出会うことができます。敷地内には畑や田んぼもあり、子どもたちが大切に育てた野菜やお米は、収穫しておいしくいただきます。
こうして豊かな自然の中に身を置くことで、子どもたちの興味はおのずと食べることや生き物に広がっていきます。秋には落ち葉の掃除もたいへんですが、子どもたちは熱心に取り組んでいます。枯れた葉っぱのカサカサという音、落ち葉をかき集めていく嬉しさのようなものを感じ、それが国語や理科、図工などにも生かされていきます。
毎年開かれる「学びの発表会」は子どもたちが、いま関心を持っているテーマについて広く深く、教科横断的に学んだことを発表する場です。これこそ、自由学園の学びの集大成といえるでしょう。
学びの発表会(低・中学年)
身のまわりにある「なぜ?」から考えを深める
1年間の学習のまとめとして、全校をあげて行われる「学びの発表会」。学年ごとに関心のあるテーマについて個人やグループで取り組んだ成果を発表する、学園を代表する学習の一つです。教室、体育館、小ホール、食堂、グラウンド……、校内外のあらゆる場所を使い、児童の保護者を招いてにぎやかに行われます。
1年生から6年生まで、全学年の発表が一度に見られることも、この発表会の見どころです。6年間をかけて自由学園での学びがどのように積み上げられていくのかを、この目で見て、感じることができます。学園の子どもたち全員を家族のように見守る保護者にとって、その成長を実感できるかけがえのない一日でもあります。
学びの発表会(高学年)
地球の未来に想いを馳せ自分たちの想いを伝える
最初は身の回りの小さな気づきからのスタート。そこから興味を深め、調べを進め、たどり着いた答えをどう伝えるのか? 子どもたちは自由学園で過ごす6年間をかけてそのアプローチの仕方をじっくりと学んでいきます。
2023年の学びの発表会。3年生は、「ともに生きる」とは何かを考えました。人と動物、人と自然、人と人……。体育館での展示のほかにも、全員で手話をつけた歌の発表やブラインドサッカーの体験も企画しました。6年生になると、環境問題やSDGsなど、地球全体の問題へと視野が広がっていきます。社会や理科、家庭科など、教科横断的な学びは学校の中だけにとどまらず、さまざまな実体験を通じてさらに深められていきます。