豊かな自然に抱かれた、開放感あふれるキャンパス。桐蔭学園小学校では、自ら課題を見つけ、仲間と対話しながら瞳を輝かせる子どもたちの姿があります。
伝統校という枠組みを脱ぎ捨て、「一人ひとりの才能」を拓くための大胆な教育変革を推進する同校。未来を見据えた新たな教育の現在地について、校長先生にお話をうかがいました。
「自ら問いを立て、仲間と対話して解決していく」が当たり前になった教育改革の現在地

主体的な学びの結晶「桐蔭まつり」。子どもたちが自ら課題を見つけ、対話を通じて行事を作り上げます。
桐蔭学園小学校が目指すのは、社会に出た時に活躍し、社会を自らの力でよりよく変えていける子どもの育成です。
桐蔭学園小学校は現在、単なる進学準備の枠にとどまらない教育改革を進めています。私たちは日々の学びを通じて、思考力・創造力・チャレンジ力・メタ認知力・思いやり・エージェンシーという「6つのコンピテンシー」を育んでいます。
この改革は2019年にスタートし、現在では在籍するすべての子どもたちが新しい教育方針のもとで育った世代となり、学校全体の雰囲気が大きく変わりました。自ら問いを立て、仲間と対話しながら解決していくスタイルは、もう「当たり前」のことになっています。
その象徴の一つが「桐蔭まつり」の進化です。例えば、廊下の混雑をどう解消するか。子どもたちが自ら課題を見つけ、解決策を発案して運営する。その改善は子どもたち中心です。毎年企画も運営もスムーズになり、目に見えて課題が改善されていく様子は、まさに改革を通じて育まれた「自ら考え行動する力」の結晶だと感じています。
6年生が発案!前例のない「防災宿泊体験」

6年生の発案から始まった「防災宿泊体験」。半年以上の話し合いを経て、自分たちの手で実現させました。(桐蔭学園小学校)
昨年11月には、初めての試みとして「防災宿泊体験」が行われました。実はこれ、学校が用意した行事ではありません。一部の6年生たちが、「もし災害が起きて帰れなくなったら、どう過ごすべきか経験しておきたい」と提案したことから、企画がスタートしたのです。
初めての試みでしたが、私たち教員がレールを敷くことはしませんでした。「お風呂はどうする?」「食事はどう準備する?」。5月から半年以上かけて、子どもたちは何度も話し合いを重ね、企画を練り上げていきました。
もちろん、当日は予定通りにいかない場面もありました。でも、それでいいのです。ひとつひとつの課題に向き合い、実現させたあとの子どもたちの表情からは、確かな成長を感じることができました。
課外活動「でるくいプログラム」で伸ばす、子どもたちの好奇心

授業の枠を超え、興味があることを突き詰める「でるくいプログラム」。発表の場は校内に留まらず、外部のステージにも積極的にエントリーします。(桐蔭学園小学校)
桐蔭学園小学校の学びを体現する活動のひとつが「でるくいプログラム」です。「興味があることを突き詰めよう!」というこの学びは、通常の授業を超えた専門的な内容で、子どもたちの好奇心をのびのびと引き出しています。
合唱団やソーラン、鼓笛隊、チアダンスのように、放課後などに練習を重ね、全国大会や海外遠征に挑む通年型もあれば、夏休みのサマープログラムや英語研修といった単発型もあり、その形は多岐にわたります。
「出る杭は打たれる」なんて言うけれど、私たちは「もっと出ちゃおう」と伝えています。「出る杭」になるために必要なのは、自分の「やりたい!」を信じて一歩踏み出す勇気。その小さな芽を、私たちは全力で応援しています。
新たな挑戦、学年の垣根を超えて共に学ぶ「探究ゼミ」

2025年度始動の「探究ゼミ」。3年生から6年生が学年を超えて混ざりあり、新たな化学反応が生まれます。(桐蔭学園小学校)
桐蔭学園小学校が大切にしてきた探究学習を、さらに発展させるべく2025年度からスタートしたのが「探究ゼミ」です。前期に「情報探究」や「総合探究」で基礎を学んだあと、後期は3年生から6年生が学年を越えて活動する――。私立小学校でもめずらしい、独自のスタイルを採用しています。
ゼミのテーマは「スポーツ」「数字」「発明」など多岐にわたります。共通の“好き”を持つ仲間が集まることで、高学年の背中を見て中学年が刺激を受けるといった、「化学反応」が随所で生まれています。
一人でできることは限られていても、多様な個性が集まれば大きなことができる。ゼミという小さな社会の中で、その手応えを学んでほしいと願っています。
子どもの成長を実感するための「多面的な評価」
桐蔭学園小学校には、いわゆる「通知表」は存在しません。その代わりに、専用のアプリを通じて「単元到達チェック表」という形で、単元ごとの細かなフィードバックを保護者のみなさまにお伝えしています。
ペーパーテストの点数だけでなく、提出物や発表の工夫、学びに向かう姿勢といった多面的な評価を大切にしています。「どのような力を身につけるための活動なのか」というプロセスを共有した上で、到達度を確認していただく。数値による結果の善し悪しだけでなく、子どもの成長の足跡を、保護者のみなさまにも実感いただければと考えています。
正解のない時代、大切なのは自ら問いを立て、仲間と共に歩む力です。子どもたちが自らの『出る杭』を誇り、失敗を恐れず挑戦し続ける。そんな活気あふれる学びの場を、これからもご家庭と共に育んでいきます。