昭和小学校の「読書」の授業
6年生が1年生に絵本を読み聞かせ

昭和女子大学附属 昭和小学校
【自主性を尊ぶ教育で「世の光」となる人に】
建学の精神「世の光となろう」のもと、「目あてをさして進む人」「まごころを尽くす人」「からだを丈夫にする人」という3つの目標を掲げ、心と体を健やかに育んでいます。

取材した日は、「読書」の授業で「6年生が1年生に絵本の読み聞かせをする」という特別な日です。図書館や教室のあちらこちらで、6年生のお兄さん、お姉さんに絵本を読んでもらっている1年生は本当に嬉しそう。すっかり甘えてお膝に乗ってしまう子や、読み聞かせが終わっても、一緒にいたくてなかなか離れられない子もいます。

同校では、1年生が入学してすぐに6年生とペアを組み、1年間6年生からいろいろなことを教わることが伝統です。この日の授業でも、自分が低学年のころに好きだった本や印象に残っている本の中から選んだ2~3冊を、6年生がそれぞれ担当の1年生に読み聞かせました。6年生にとっても思い出に残る時間です。


▲6年生の読み聞かせに1年生は集中して耳を傾けます(昭和女子大学附属 昭和小学校:世田谷区)

昭和小学校では、全学年の国語の授業のうち週1時間を「読書」としています。普段は司書教諭の荻野先生が学年に合わせた読み聞かせを行った後、図書館で子供たちが自由に選んで読書に親しみます。これによって、図書館の貸し出し数がどんどん増え、現在の図書館の貸し出し数は1日に200冊以上。小学校卒業時に司書の大塚先生から一人ひとりに6年間で借りた本の一覧が渡されます。6年間の貸し出し数は一人400冊以上が平均で、多い子では800冊を超える子もいるそうです。

荻野先生の読み聞かせは「心を育てる読書」がテーマ。「友達や家族、自分自身を大切にできる、世界・社会に目を向ける、子どもの心を開放させ、友達と笑いあえる、そんな本を選んでいます」。クラスの友達関係や子供たちの心の状態に合わせ、「授業を教師主体から児童主体に」という狙いもあって、読み聞かせの後には、子供たちで意見や感想を話し合います。

▲荻野先生の読み聞かせを1年生は6年生と一緒に聞きました。同じ本も学年を変えて読むと、感じ方に成長がみられるそうです(昭和女子大学附属 昭和小学校:世田谷区)

「結論は求めません。友達の意見を聞くことで、考えを深め、さらに自分の考えを相手に伝える力を育てたい」。6年間の読書の記録をつける「読書記録カード」には、低学年では1冊につき1行だけ、学年が上がると7行の感想を書きます。高学年になると「感じたことを伝えたい」という思いが文章に込められるようになり、「書く力」「人に伝える力」が育っていると感じるそうです。


▲6年生の読書カード。1年生のときの記録も残っています。
「1年生にとっては6年生に読み聞かせしてもらったことが大切な思い出になり、自分も優しい6年生になりたいという気持ちが芽生えます」と荻野先生 (昭和女子大学附属 昭和小学校:世田谷区)

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