排尿時に痛みを感じたり、尿に濁りがあったら医師に相談を
膀胱の中での細菌繁殖が原因
膀胱に細菌が侵入して繁殖し、粘膜に炎症を起こす病気が膀胱炎で、男性より圧倒的に女性が多いです。それは女性の尿道が短く(約2cm)、大腸菌などの細菌が尿道から侵入しやすいためです。
細菌が入っても排尿で膀胱から排出できますが、トイレの我慢や、水分摂取が少ないと、膀胱の自浄機能が低下し膀胱炎を起こしてしまいます。
多くの人は仕事や家庭のことで忙しかったり、旅行や引っ越しなど普段と違うことをしていたり、「飲まない・我慢する・疲れる(抵抗力低下)」という背景が多いです。
症状は主に、排尿時や排尿後の痛み、30分~1時間ごとの頻尿、炎症の刺激による残尿感、尿の混濁などです。炎症の程度によっては、真っ赤な尿(肉眼的血尿)が出てびっくりして飛んでくる人もいます。
抗菌薬は処方された分を きちんと飲み切りましょう
尿検査で、尿中の白血球が一定以上の数値であれば膀胱炎と診断されます。
治療でまず大事なのは、水分摂取をたくさんすること(1日で2000cc以上)。ほとんどの膀胱炎は細菌感染症なので、治療薬は抗菌薬の内服です。
早いと翌日、通常3~4日で症状はよくなりますが、服用を自己判断で中断すると残っている細菌により再発したり、耐性菌と呼ばれる抗菌薬の効きにくい細菌ができたりして、難治性の膀胱炎になってしまうことがあります。
医師の指示通りに服用して、完全に治るようにしましょう。
トイレを我慢せず体を温め 清潔に保つことが大切
予防のためには、お茶や水などの水分をこまめにとって(1日で1500ccが目安)、尿の量を増やし、トイレは我慢せずに行くことが基本です。体が冷えていたり、疲れがたまっていたりすると抵抗力が低下するので、体を温めてしっかり休みましょう。
原因となる細菌は大腸菌が7~8割と言われています。排便後は前から後ろへ拭くようにしましょう。温水洗浄便座は大腸菌を周囲にまき散らしますので、繰り返し起こす人はあまり使わないようしましょう。
気にして洗いすぎる人もいますが、やりすぎると粘膜を痛めて逆に膣炎や膀胱炎も生じ易くなりますので気をつけてください。女性は生理前後や性交後になりやすい人もいます。なりやすい時期には上記の注意をしっかりと行ってください。
普段と違うスケジュールの時や、忙しいときは膀胱炎になりやすいので、「飲む・行く・休む」を忘れないようにしましょう。
監修
深澤りつクリニック
院長 深澤 立先生