患者さんの話は否定せず、励まさない 悩んだら考え込まず医師に相談を
うつ病は誰でもなりえます
2015年に行われた厚生労働省の調査によると、日本人の15人に1人は生涯のうちで一度はうつ病を経験しているという結果が出ていることからもわかるように、強いストレスを受け続ければ誰でもなりえる病気です。
女性は男性に比べて1.5~3倍かかりやすい傾向があり、患者数は年々増加しています。
うつ病になると「自分がうつだということを知ると家族が心配する」と、気持ちを背負ってしまい言いだしづらくなることもあります。無理に先を促さず、本人の話したいペースに任せて話を聞き、十分に休息をとれるよう見守りましょう。
治療には家族の協力が大切
うつ病の患者さんの話は「否定しない」ことが重要です。
患者さんは何かにつけ物事を悪い方向に捉えがちになりますが、脳の機能に異変が起きて考えが偏っているだけです。励ますような言葉もよくありません。うつ病になる方は、すでに頑張りすぎてうつ病になっていますから、励まされても「これ以上頑張れない」という気持ちから、症状が悪化してしまいます。
また、うつ病はさまざまな要因が関わっていて特定は難しいものです。「なぜ」ではなく、「今できること」を考えるようにしましょう。
うつ病の時は気分転換の外出や好きだったことをするよう促しても、「楽しい」と思える脳の機能が低下しているのでかえって疲れさせてしまいます。本人に何かを楽しむ意欲が出てくるのを待ちましょう。
退職を考えたり、離婚などを口にされる患者さんも多いので、重要な決定事項は「もう少し症状が良くなったら考えよう」と先延ばしにしましょう。
自分が気に病まないためには焦らないこと
うつ病の治療に寄り添うご家族のメンタルにも注意が必要です。
「うつ病にかかった家族のため」と頑張ってしまったり、家族がうつになったことを言えずに抱えてしまったりすることも多く、治療が長期間になるほどご家族の心身の負担も大きくなります。
うつ病は長い時間をかけてよくなっていくものですから、患者さんもご家族も焦らないことが大切です。また、患者さんは家族の前だからこそ、頑張りすぎたり感情的になったりすることがあります。患者さんの感じる問題に共感しながらも、考え方に巻き込まれないようにしましょう。
患者さんとの接し方や治療で悩んだら、ご家族も一人で考え込まずに医師に相談しましょう。
監修
溝ノ口しらはえメンタルクリニック
院長 望月 航 先生